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「暇潰し?」
「おう!今日ぐらいは、羽を伸ばせ。門が閉まっているということは、そうゆうことだ!」
徐庶《じょしょ》は、意味ありげに笑い、孔明を見る。
「うん、では、どこぞで、語り合うか」
ああ、諸葛亮よ、と、徐庶は、頭を抱えた。
「お前なぁ、ほんと、たまには、息抜きって事しないと、体に響くぞ」
「いや、私は、今のところ、大丈夫だが……」
「どこが、大丈夫なのだ。ああ、全くもって、やはり、噂通り、嫁御の尻に敷かれておるのか」
「別に、敷かれる事は、ないのだが?噂?」
お前の嫁御は、黄承彦《こう しょうげん》の、娘なのだろう?と、徐庶が耳打ちしてくる。
「いかにも、そうだが?」
「だろう?」
と、念を押す、徐庶のにやけ顔に、孔明は、はっとする。
(ああ、噂……とは、あれのことか。)
「いや、あのな、徐庶!噂は、噂であって!」
焦る孔明に、やっぱりと、徐庶は、何か納得していた。
孔明の妻、月英は、赤い髪の色黒醜女、と、世の中に広まっていた。父親である黄承彦が、娘に悪い虫が付かぬよう、あえて醜女と、傍聴していたのだ。
お陰で、月英は、表に出られず。さらに、孔明と夫婦になっても、孔明が醜女をもらったと、世間では、笑い話にしてくれるわで、月英に関する噂は絶えなかったのだ。
今では、噂が独り歩きして、醜女で、悪妻。夫を顎で使い、尻に敷いている、と、本人が聞けば、どれだけの事が起こるだろうか、想像するも恐ろしい話になっていた。
それを、孔明も、知らぬ訳がなく、またかと、ばかりに顔を曇らせると、よし!と、弾けた声が返って来た。
「諸葛亮よ!せっかく時《とき》が出来たのだ。お前さんの家へお邪魔して、語り合うぞ!」
はあ?
つまり、それは、単に、噂の悪妻醜女を見たいと言うことだろう。
と、孔明が言う前に、徐庶は馬にまたがり、お前も早く来いと、言ったのだった。