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ひとしきり話した後、夜も遅い時間だったため泊まらせてもらう事になった。急に来たのにごめんね、と言うとむしろ嬉しいよ、こんなこと珍しいよねとふにゃりと笑う。俺も自然と口角が上がっているのに気付き、キモいなと思いさっと手で隠す。幸い涼ちゃんは布団を運んでいてこちらを見てもいなかった。安堵と信じたいため息を1つついた。
さっきから、なんだか調子がおかしい。来る前に涼ちゃんの顔が思い浮かんだのはまだしも、近づいただけで顔が熱かったり心臓の音が大きくなるなんて……。ハグを求められた時なんて記憶があやふやなくらいだ。その後、断ったのにベットを使わさせられ、一晩中涼ちゃんの匂いのする布団に包まれていた。すぐ下ですやすやと眠る君の寝息も合わさり、途中でバックハグみたいだとハッとしてしまってから一睡も出来なかった。
明け方、やっとまどろみ始め、今日も仕事なのになんとか3時間は眠ることが出来た。目が覚め、ほんのり甘い食欲のそそる匂いの方向に行けば、涼ちゃんが台所で牛乳を注いでいた。
「あ、おはよ〜元貴!折角だし朝ごはん一緒に食べよ!」
頷き、テーブルを見やる。皿の上にはこんな量朝から食えないと言うほどのパンケーキが。甘い匂いの正体はこれか。歯磨き新しいの置いてあるから使って、と言われるがままに洗面台に向かう。全然寝てないはずなのに、こんなにテンションが上がって覚醒しているのは初めてだ。そのままうっきうきであれほどのパンケーキを食べ切り、なんと涼ちゃんの服を借りて仕事に一緒に向かった。ぶかぶかだね、と笑って袖をつまむ君とまともに目が合わせられなかった。
先に来ていた若井に挨拶をする。2人揃って来ているのや、俺の格好を見て、
「え、何。涼ちゃん家に泊まってたの?それともお2人、もしかして匂わせですか?」
とからかわれてしまった。普段ならいじりも服を借りることもよくあるためスルーしている。だが今日は変に意識してしまい自分の姿が反射で見える度に心臓の音がうるさかった。涼ちゃんはどうなんだろう。打ち合わせ中にダメだと思いつつチラ見してしまう。いつも通りには見えるが、俺が若井といる時だけ表情が曇っていたように感じる。気の所為か。いけない、また見てたと集中しようとしてもどこか話が遠くに聞こえる。この日だけでなく、この後1週間ほどずっとうわの空で、流石に危機感を覚えてきたので若井に家に行っていいかと一報を入れた。すぐに了解の返事が来て、なにかが変わるという妙な緊張に背筋が伸びた。
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読んで下さりありがとうございます!
段々2人の距離が縮まって来ましたね。今回は対話もベースに取り入れているので良かったら注目してみてください。
フォロワー様、100人突破しました!本当にありがとうございます!!嬉しさで早速記念作品を書いています。是非そちらも読んで頂けたらと思います。これからも頑張ります。
次も読んで頂けると嬉しいです。