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若井はトイレのドアの前に立ったまま、少し迷う。
中からはさっきまで吐いている音が聞こえていた。
少し眉を寄せて、手で コンコン とドアをノックする。
「……涼ちゃん?」
少し間をあけて、
「大丈夫?」
でも――
返事はない。
若井は少し顔をしかめる。
中は静かになっていた。
(……大丈夫か?)
そう思ったとき。
ジャーッ
トイレを流す音が聞こえた。
若井は少し後ろに下がる。
数秒後、
ガチャ。
ドアが開いた。
出てきた涼ちゃんは、
さっきよりさらに顔色が悪い。
髪も少し乱れている。
目も少し潤んでいて、
吐いた後なのが分かる。
若井と目が合う。
一瞬、空気が止まる。
若井は少し気まずそうに、
視線を少し逸らす。
「……大丈夫?」
さっきより小さい声。
でも。
涼ちゃんは何も言わない。
少しだけ目を伏せて、
そのまま 若井の横を避けるように通る。
廊下をゆっくり歩いて、
リビングへ戻っていく。
若井は振り返ってその背中を見る。
涼ちゃんはまたカーペットのところまで行って、
さっきと同じ場所に座り込む。
そしてそのまま、
また 横になった。
何も言わない。
リビングにはまた、
静かな空気が戻った。
RanJam
#病み