TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

人魚姫

一覧ページ

「人魚姫」のメインビジュアル

人魚姫

15 - 絵

♥

21

2025年10月16日

シェアするシェアする
報告する


ルーシャンはベッドに腰掛け、手の中の鍵を見つめていた。

太陽はまだ夢の中なので、世界は暗い。ただ、カーテンの隙間から月光が忍んでいた。

(…小瑪…貴男は何者なの?)

人魚であって、謎の人に人間の姿をもらったのか。それとも……

──…あのにいちゃん、人魚を殺したらしいよ

声変わりをまだ迎えていない高めの声が、耳の内に響いた。

(あれは…あの人魚は、…?)

親指で鍵を撫でる。

(小瑪が…)

あの絵の人魚は小瑪なのか…小瑪が殺した人魚なのか…

(違う!)

ギュッと、鍵を握り込む。

(小瑪は殺していない! 違う…伝えられているものが、すべて真実とは限らないっ)

しかし、殺していないという証拠もない。

(違う…違う……でも、どっちなの…)

ルーシャンの心は落ち着かなかった。考えれば考えるほど、不安が募る。

瞼を下ろせば、最近よく流れる影像…暗闇の中で、白金プラチナの髪を風にたゆたわせる人魚が微笑んでいた。

銀色の鱗が一枚一枚、太陽の光を弾く。

そこに、小瑪が現れ、誰にも見せたことのないような柔らかい笑顔を輝かせた。

二人、手を取り合う。

(ダメ…)

ルーシャンは背を丸め、歯を食いしばった。

小瑪と人魚は親しく笑い、しかし、小瑪の手には禍々しくも美しい小刀ナイフが……

『ダメ───!!』

両拳でベッドを打ち、突っ伏した。ベッドが軋む。

ルーシャンは痛切に悲鳴を上げた。が、音はない。

眼裏の小瑪も、殺してしまった人魚を抱いだき、虚空へ慟哭していた。



すぅ、と、瞼を押し上げる。

カーテンの隙間からは、陽光が射していた。

いつの間にか、眠り込んでいたようである。

(…………)

右手を開くと、古いにしえの鍵が転げた。掌に型がついている。

ルーシャンは起き上がり、部屋を出た。

一階へ下りてみるも、小瑪の姿はない。どこかへ出掛けているようだ。

同じ屋根の下にいながら、小瑪に会えない。

元々の生活がそうであったのだろうが、ルーシャンが起きる頃にはすでに出掛けていて、寝る頃に戻ってくる。

当たり前に、ルーシャンは独りだった。そんな時、いつもあの部屋で人魚の絵を見つめている…時間の感覚が薄れてしまうほどに。

(……お父様やお母様は、知っているのかしら…?)

この日も、絵の前にいた。

床に座り込み、茫洋と見上げている。

(…知らないのは、私だけ…?)

遠い故郷の両親に尋ねるには、人間の姿を捨てなければならない。そうなれば、二度と地上には戻ってこれないだろう。

(……貴方は誰? 小瑪ではないなら、一体…)

ルーシャンは無感情な表情をしていた。

(…小瑪とは、どういう関係なの?)

銀色の人魚。

頭を巡るのは、幸せそうな二人と、激しく嘆く小瑪。

(いつまでも、小瑪を虜にしないで…!)

ルーシャンの双眸は、嫉妬に燃ゆる。

「…君は、本当に詮索好きだね。いつか、災いを招いてしまうよ」

抑揚のない声に、ルーシャンは息を詰めた。




loading

この作品はいかがでしたか?

21

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚