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「んわぁ……おいひそう…っ、!!早く食べたぁい……!」
「ふふっ、慌てなくても食べ物は逃げないよ? 冷めないうちに一緒に食べよっか」
最後に、純一の繊細な胃に刺激が強すぎないよう、ミルクをたっぷりと注いでマイルドに薄めたコーヒーをテーブルに並べる。
「うん!りひとさん、ありがと~っ!」
「どういたしまして。さあ、召し上がれ」
数分後────…
二人とも満足のいく朝食を終え
手際よく皿を片付け終わると、いよいよ待ちに待ったデートの準備を始めた。
俺は寝室のクローゼットを開け
落ち着いたトーンの暗めのブラウンのチェスターコートを取り出して羽織った。
インナーには、首元まで綺麗に覆う上品な黒のタートルネックを合わせている。
30歳という、世間的にはアラサーと呼ばれる年齢な反面
身だしなみや服装にはそれなりに気を遣ってきたつもりだ。
何より、純一の隣を歩くとなれば、いつだって「自慢できるかっこいい男」でありたい。
その一心で、同系色のスマートなスラックスを選び、足元は艶やかに磨かれた黒の革靴をチョイスした。
全体のトーンをダークカラーで徹底的に統一した、シックで大人びた装いだ。
いささか落ち着きすぎたトーンかもしれない、と鏡の前で少し苦笑する。
30歳という年齢相応の、カチッとした知的な大人っぽさを意識したつもりだったが
リビングからドタバタと足音が聞こえてきて、その選択は正解だったと確信させられた。
「りひとさんおまたせ!このお洋服どうかなぁ…?似合う?」
純一の姿を見た瞬間
俺の胸の奥がドクンと大きく跳ね上がった。
今日の純一は、清潔感のある白のインナーの上に、袖口に少しボリュームの溜まる
絶妙なオーバーサイズのカーディガンを羽織ったスタイルだった。
インナーの白トップスの首元には、きらりと繊細に光るシンプルなシルバーネックレスが揺れており
それがどこか無防備で細い首元をこれでもかと引き立てている。
ボトムスには太めのゆるいシルエットのパンツを合わせた
こなれ感と親しみやすさのある「ゆるさ」が印象的なコーディネートだ。
それが、純一の持つ、女子のようになだらかで柔らかな雰囲気を完璧に引き立てていた。
綺麗めで清潔感があるのに
どこか「守ってあげたくなる」ような圧倒的な無防備さと愛らしさがある。
普段の、社会人として無理をして着こなしているスーツ姿からは想像もつかないギャップだ。
いや、純一に至ってはどちらの姿も幼げで猛烈に可愛いのだが。
「……なんか、外に出したくないくらい可愛く着こなすね、純一は」
思わず本音が漏れると、純一は一瞬きょとんとした後、みるみるうちに顔を真っ赤に染めた。