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最終章 新しい命とその後
エピソード13
「お兄ちゃんのおかげだよ!ありがとう。」と未来は感謝の言葉をかける。
あの、飲みの場以降すっかり父と直人は、仲良くなり今日はあの居酒屋でサシ飲みしている。
「俺もあの時、内心ひやひやだったよ。けど、父さんは直人さんの志を聞いて許そうと思ったんだろうな。」と感想を語る。
「赤ちゃん、安心して生まれてきてね。」
未来はお腹を擦りながら、こう呟く。
「私もおばあちゃんか。なんかあっという間だな。」と母はいう。
「未来もお母さんになるのよ。しっかりしなさいよ。」と続けて母はいう。
「分かってる。この子の為ならなんだって出来ちゃう気がする。」と未来は嬉しそうに応える。
その頃、居酒屋では。
「直人さん、釣りは好きかい?」と酔った父は聞く。
「まだやった事がないんです。」と直人はいう。
「ここから、少し行ったところに荒川という川があるんだけど、そろそろ鮎釣りが出来る。直人さんもどうだい?」と父は聞く。
「いいんですか?やってみたいです!」と直人は嬉しそうに応える。
それから、時は流れ。未来の出産の日を迎える。
俺は、任された雑用をこなしていた頃母から、一通のLINEが届く。
未来が産気づいて今、産婦人科に向かっているところとのこと。場所は、俺と未来がお世話になった実家からほど近い産婦人科である。
俺は雑用をちゃちゃっとこなしそそくさと切り上げ、産婦人科へと向かう。
中では、家族一同勢揃いしていた。
「今来た。未来の様子は?」と俺は聞く。
「今、必死に力んでる。」と母はいう。
「直人さん、未来を祈ろう。」と父は不安がる直人の肩に手を掛けながら慰める。
「未来…」と直人は祈る。
それから、二時間ほど経とうとした頃。
天使の産声が院内に響きわたる。
看護師さんが家族に伝える。
「今、無事に元気な男の子が生まれましたよ。」
すぐに家族一同は、未来と生まれた男の子のいる場所に向かう。
「未来。やったわね。」と母は涙目でいう。
「未来!よく頑張ったね!」と直人は未来の手を握りしめいう。
「未来。おめでとう!」と俺は、鼻を啜りながらいう。
「未来は試練を乗り越えた!神は乗り越えられる試練しか与えない。」と父が締めくくる。
「ありが…とう。」と未来が応える。
未来は自分の子を見て、微笑みかける。
「私、この子の名前、決めたよ。」という。
「逞しく未来に進んで欲しいという思いを込めて”逞未(たくみ)“。」と嬉しそうにいう。
「逞未。いいじゃないか!」と俺は涙を手で拭きながらいう。
「直人さん、逞未だよ。手を握ってあげて」と未来はいう。
直人は逞未の手に人差し指でつんつんとすると逞未は握りしめる。
「逞未ちゃん。」と母は微笑みかけいう。
「逞未。おじいちゃんだよ?」と父は話しかける。
未来が生まれてから24年後のことだった。