_ねぇ敬人、それは本当かい?
2人きりの静かな病院で僕はそう問い掛ける。
僕は色んな人を裏切ってきた。なのに、
「嘘だよ、ンな事信じるなよバーカ。 」
と言われた日。その時、精神的にやられていた時だったので、過呼吸で倒れてしまったらしい。
「_あぁ、起きたか。」
嫌いな匂いの中に包まれ、敬人の声が聞こえてきた。
「…あぁ、敬人か。」
「あのなぁ英智、しっかり注意して行動しろ。」
敬人の説教を受けている時、僕はある事に気づいてしまった。
「……敬人、今日、女の家に行った?」
僕の幼馴染である敬人から女の匂いがしたのだ。僕の予想が的確だったのか、敬人は顔を顰めてしまう。
「…実はな、あるファンの人に連れて行かれたんだ。」
「_ねぇ敬人、それは本当かい?」
「俺が嘘をつく理由が無いだろう。」
敬人が言ったことは信じ難かったが、信じる信じない以前に、僕の心にモヤモヤが出来てしまった。何が気に入らないのだろう、敬人はただの幼馴染で_… あぁそっか、僕はただの幼馴染で少し仲が良いだけ、何を期待してたんだろう、僕。その時、僕の瞳から一筋の光が落ちていく。
「…!どうしたんだ、英智。まだ体調がよくなかったか。」
「…ごめんなさい、」
「…は?」
「こんな僕が、君みたいな人を好きになっちゃってごめんなさい、」
「嘘、だろ…? 」
「…えっ、」
「なら、良かった。」
そう微笑みかける敬人は、今までにないくらい幸せな顔で、誰にも見せたことのない笑顔の様に見えた。
「…改めて言わせてもらう。天祥院英智、俺はお前が好きだ。」
僕はまだ今の現状を完全に理解できていなかったが両思いだったって事はわかった。
「…あぁ、敬人、僕も好きだよ。」
「わ、わ、わぁっ!!!すみません!!」
戸の開く音がしたと同時に焦るつむぎの声が聞こえた。
「あ、あ、青葉っ!??!」
「…ふふっ、」
焦る敬人に僕は思わず笑みを溢してしまう_♡
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