プリンの刑という言葉が、何を意味しているのかはわかる。
金曜に準備室で、未亜さんが言った台詞だ。
更に前にも、プリンが会話に出てきた気もする。
でも今、亜里砂さんが言ったのは、この金曜の方だろう。
『以前の方のプリンの刑も、意味は同じなのだ。ちなみに七橋先生のところで裕夏さんと会った後、自己嫌悪した未亜を、悠が慰めた時の事なのだ』
そうだ、あの時だ。
あの時は、プリン1個の刑だったけれど。
『その時の被害者は、未亜1人だからなのだ。今回は私と未亜、美洋の分だから、3人分なのだ』
何かが、わかりかけてきたような気がする。
でも、まさかという気もする。
『その予測で、あっているのだ』
おい、本当か。
『本当なのですよ』
何か、ため息でもつくような感じで、未亜さんの台詞。
『基本的には、魔法使いとか術使いは、他人を恐れているのですよ。いくら特別な力が使えると言っても、人数の暴力には勝てないのです』
『だから基本的には、自分の力を隠すのだ。隠して、普通という仮面を被るのだ』
未亜さんと亜里砂さんが、交互に説明する。
『自分の事にもなるのですが、特に読心能力なんてのは、他人に嫌がられるのですよ。私の場合も、能力の詳細は里の関係者と美洋、あとは、ここにいる1年生位にしか言っていないのです。川俣先輩は、感づいているのですが』
『川俣先輩も猫又だから、弱い感知能力があるのだ。ただ私や未亜は意識しない限り、声とか音とかと同じ次元で人の思考が聞こえてしまうのだ』
声の無い台詞は、交互に続く。
『そんな訳で、よほど大丈夫な相手でないと、能力を教えたりしないのですよ』
『私もなのだ。同じ魔法使いでも、読心系の魔法使いは魔法を隠したりするのだ。彩香とか美洋、そして悠は、例外中の例外なのだ』
『私と亜里砂は、方法は違えどほぼ同じ能力を使えるから例外なのですけれどね。隠しても、お互い見えてしまうので』
うん、その辺までは理解できる。
また未亜さんが、ため息をついた気配があった。
『そこまで理解できるなら、もう少し先まで考えて欲しいのですよ』
『そうでなくても読心系は被害妄想気味で、他人が苦手な奴になるのだ。常に人の思考が見えているから、疑い深くも、被害妄想気味にもなるのだ。そのくせ人の思考が読めるから、表層だけは上手く繕えるようになるのだ。仮面を被るのが上手くなるのだ』
『私も、話していて楽なのは、美洋くらいだったのです。美洋は小さい時から私を知っているし、それなりの経緯で理解もあるのですから』
『私に至っては、同年代でそういう友達は今までいなかったのだ。彩香が初めてで、次が悠だったのだ』
僕は、やっと話の構造を、色々理解した。
『美洋も、ある意味では同じなのですよ。里では有力者の娘という立場が強すぎて、また里は女系社会で男性が少ない事もあって、対等な異性の友人というのがいなかったのです。この学校も、里の続きのようなものです。だから悠が、最初の対等な異性の友人だったのです』






