テラーノベル
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「なぁ舞、夏だし、海行かないか?」
彼の部屋のソファーで寄り添って映画を見ていたら、ふと思いついた様子でそう話しかけられた──。
「……海? うん、いいよ」と、何気ない調子で頷くと、
「ハワイの海な。プライベートジェットで連れて行ってやるから」
まるで予想だにしていなかった答えが返ってきて、「ハ、プ……」と言ったきり、次の言葉が出てこなくなった。
「ハワイにプライベートジェットでだって、聞こえただろ?」
「……聞こえたけど、プライベートジェットで、ハワイにって……」
そこまで言って、再び口ごもる。
車だってこないだ四台目の、あの真っ赤なキャデラックのオープンカーとか買ってたのに、まさか他にもジェット機まで持っていたなんて……と、驚きが隠せなかった。
「行くだろ?」
「……ああ、うん……」
困惑気味で返して、さすがにテレビにまで出てる鷹騰社長だけあるだなんて、他人事のようにも思った……。
ハワイには、世間もお盆シーズンで比較的お休みが取りやすい八月の半ばに行くことになった。
──出発当日、空港からジェット機に乗り込むと、プライベート仕様の豪華さに唖然としないではいられなかった。
まるで空飛ぶリムジンって感じで──。
「こんなの持ってるなんて、ほんとスゴすぎる……」
座席数が少ない分スペースが大きく取られた、ゆったりとした広めのシートに隣り合わせで腰かけて、興奮が覚めやらない調子でそう呟くと、
「持ってるんじゃないぜ?」
と、彼から返事が戻った。
「えっ!? 持ってるんじゃなくて? だって、プライベートジェットだって……」
「ああ、プライベートジェットをチャーターしたんだ」
「……チャーター?」と、聞き返すと、「貸し切りみたいなもんだ」と、彼が答えた。
「車が何台もあるのに、さすがにジェット機にまで手は出さないだろ」
「……ああ」と頷いて、(こないだ四台目のクルマも買ったばっかりで……)とは思ってたけど、さすがにジェット機までは所有してなかったんだ……それって、ちょっとよかったかなと思う。
彼があんまり想像の上を行くような人だったりすると、あまりに自分との価値観の違いを感じて、付き合い辛くなってしまうこともありそうだったから……。
コメント
1件
わあ、ハワイにプライベートジェット…! 現実離れしてるのに、舞ちゃんの「えっ…」って戸惑う感じがすごくリアルで、思わず笑っちゃいました🤭 でも「持ってるんじゃなくてチャーター」ってサラッと言う彼、かっこよすぎません? それに舞ちゃんが「価値観違いすぎて辛いかも」って不安になる気持ち、すごくわかる…。甘いだけじゃない、等身大の感情が詰まってて、続きがすごく気になります🌙🤍
#恋愛
アウラウラ
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芽花林檎
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