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2.中学校の夢①
目が覚めた僕は下駄箱にいた。
その事がまだ僕は夢の中にいることを知らせていた。
下駄箱が木のものでは無いことから中学校であることが分かった。
そして今僕がいるのは1年生の下駄箱。
だからきっとここは中学校1年生の夢の中なのだろう。
下駄箱にいるってことは…体育の時間…?帰りの時間……?
僕は何しに来たんだろう。
そんなことを考えていると、僕は下駄箱の扉を開けた。
そこには、僕の革靴はなく、代わりに泥が入っていた。
僕は立ち尽くした。
おばあちゃんに買ってもらった大切な革靴。
もうこの世にはいないけど、誕生日にくれた最後のプレゼント。
それがないことに僕は苛立ちを覚える。
そうだ、中一の時物が隠されていた。
でも本体の僕は、そんな考えとは真逆に涙を流す。
情けなく大粒の涙が頬を伝う。
「どうして僕がこんな目に合わなきゃいけないんだ。」
独り言をつぶやく僕は気づいたら膝から崩れ落ちていた。
どうして、どうして。と何度も何度もつぶやく。
助けてよ、と本体の僕が言う。
『情けない。泣くなよ。』
そう伝わるはずない言葉を思うと、本体の僕はきょろきょろする。
急に何をしだすのかと思った。
でも何も分からずただその様子を身体の中から見守ってるしか出来なかった。
きょろきょろするのをやめた僕は立ち上がって、靴を探し始めた。
探しながら、人が1人もいないから今が放課後だと察した。
校舎にただ僕1人。
違う人の下駄箱、ロッカーの中、色々なところ探して、最後にゴミ箱の中を見る。
そこには泥で汚された革靴が雑に捨てられていた。
僕はまた溢れそうな涙を必死にこらえて革靴を丁寧に拾い上げる。
泥を軽く払ってから水道で水洗い。
冷たい水道水が靴についた泥を勢いよく流す。
嫌なこと全部こうやって流れればいいのに。そんなことを考える。
3分くらい水で流すと、革靴の泥が取れた。
水で濡れたままの革靴に足を入れる。
水が靴下にも染みて気持ち悪い。
僕はため息をひとつこぼしてから帰りの道を歩き始めた。
校門を出るくらいにまた空間の歪みが起きた。
あぁ、次はいつに飛ぶんだろう。
もう夢から覚めることを諦めた僕はそんなことを考えながらゆっくりと目をつぶった。