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#あべさく
めかぶぷりん
8,223
29
雪月❄️
363
83
いつまで経っても、阿部からも目黒からも連絡がない。
🤍「ねえ、いくらなんでも遅くない?」
💜「確かに。確認に時間がかかるとはいえ、ずっと連絡してこないのは変だね」
💙「もうお昼すぎたし」
🧡「すっごい集中してるんとちゃう? 阿部ちゃん、周り見えんくなるし」
💛「めめも一緒なのに? あいつが、阿部が飯くわないの止めないわけないじゃん」
🤍「だよね。そしたら連絡くれるはずだし……何かあったのかも」
ラウールの言葉に、皆が顔を見合わせる。
バッとスマホを取り出してすぐに耳に当てる深澤と向井。けれど、聞こえてくるのはコール音だけ。
💜「出ない……」
🧡「めめも出えへん」
そう言った向井の頬から、ツーと血が滴り落ちた。
🧡「え……?」
💙「康二、それ!」
🤍「傷はもうないのに、何で血が出てるの!?」
その血はすぐにドロッと溢れ出して、まるで動脈を切っているかのような量になる。
❤️「みんな離れて!」
キッチンから出てきた宮舘の声に向井以外のみんながバッとそこから離れ、宮舘から出た冷気が向井の血と頬を凍らせる。
すると血は止まり、それ以上の出血はなかった。
突然の出血、それも先ほど傷があったところから。これはもう、間違いない。あの女から攻撃を受けている。
🩷「けど、何で攻撃されてんのかわっかんねえ!」
💙「全員、伏せてろ!」
渡辺の号令に合わせてしゃがみ込み、渡辺が赤いオーラを纏うと周囲に無数の花びらが出現した。
腕を振ると旋回する花びら。それは部屋中を巡っていく。ぐるぐると廻る中で、一枚だけ切れた花びらがあったのを渡辺は見落とさなかった。
💙「涼太!」
❤️「わかった」
その一点に集中して冷気を送ると、何かが凍り付いたのが分かった。捉えたそれに這わせるように氷を張り巡らせると露わになった。
🩷「なんだこれ? 糸?」
その糸は向井の頬から外へと向かっていて、宮舘が凍った糸に触れると粉々に砕け散った。
「あら、気付かれちゃったわね。残念」
体中に糸が張り巡らされ、腕も、足も、手も、背中も、服が切れて血が滲み、血が糸をつたっている。
それは目黒も阿部も同じで、二人の呼吸は浅く弱い。
🖤「……阿部、ちゃんを、離せ……」
「あらあら、しぶといこと。よっぽどこの子が大事なのね」
阿部の隣に立ち、阿部の頭を自分の方に引き寄せている紅歪。
目黒はもう、指一本動かすことができない。それぞれの傷から出ている血は微量だというのに、傷の多さから血が抜けすぎて、意識が朦朧としてくる。意識を保っていられるのも時間の問題だ。
実際、阿部はもう顔を上げることすらできなくなっている。
「私はあっちで遊んでくるから、二人の時間を楽しむといいわ」
スゥっと紅歪が消えていく。
完全に紅歪の姿が見えなくなって、目黒は阿部に声をかけた。
🖤「阿部ちゃん……しっかり……大丈夫、っ……もうずっと、連絡してない、から……みんな、来てくれる……から……阿部ちゃん……もう少しだよ……」
💚「……め、め……」
🖤「阿部、ちゃん……」
💚「……めめは、だいじょ、ぶ……?」
どう見ても阿部の方が辛そうなのに、それでも目黒を心配する。目黒のことは、蔓が目黒の足に絡みついて回復させてくれていて、傷は目黒の方が多いけれど、回復しているから思ったよりも平気なのが逆に辛い。
阿部の方に蔓を向かわせたいのに、少しでも体から離れると蔓は途端に切られてしまう。
🖤「俺は、平気だよ……」
💚「……そっか……良かった……」
ふにゃっと笑う阿部。こんな時でも、彼は笑うのだ。心配かけないように。大丈夫だと示すように。
🖤(阿部ちゃん……絶対に、阿部ちゃんだけは守らないとっ)
そうして阿部を見つめていると、阿部の胸の辺りで何かがぼやーっと浮かび上がった。はっきりとはわからないけれど、何か緑色のものが見える。
あれは、なんだ。
凍った糸を砕き、暫し、部屋の中に沈黙が流れた。
向井への攻撃が終わっていなかったこと、阿部と目黒への連絡がつかないこと。嫌な予感しかない。
💛「とにかく、警察署に行こう。全員、さっきラウが作ったピアスを付けろ。阿部と目黒がどんな状態か分からない以上、事は一刻を争う」
💜「敵は恐らく、佐久間と康二が会った女。異能は糸を使って血を抜くものだと思う。不測の事態に備えて、メンバー分けしておこう。照と舘さん、翔太と佐久間、俺とラウと康二。なんかあったらこの組み合わせで動くこと。敵との相性を考えたら、照と舘さんと翔太と佐久間が戦闘に入る。俺とラウと康二は、阿部ちゃんとめめを見つけるのが優先」
それぞれが、了承の返事をする。
💜「あの糸、目に見えないのが厄介だ。バラバラになって対峙するのは得策じゃない。警察署まではみんなで行く」
💛「阿部がいない分、情報がなくて不確定なことしかない。だから、焦るな。いつも通りでいい。そうすれば道が開ける筈だ」
こういう時、自分たちがどれだけ阿部を頼っていたのかを痛感する。敵の情報、位置、内部構造、作戦の内容など。あげていったらキリがないほど、阿部に頼り切っていた。もちろん、作戦は深澤と岩本も含めて立ててはいたけれど、やはり阿部の頭脳に頼る部分が多い。
それでも、やらなければ。
全員が車に乗り込むと、警察署を目指す。車の中は静かだった。車を叩く雨音だけが響き渡っている。
雨で視界が悪い中、到着した警察署。車を停め、見慣れた筈の警察署を見上げる。
🩷「なんか……めっちゃ不気味だね」
💙「お前、怖いこと言うなよ」
🩷「だって、電気消えて暗いし、めっちゃ雨だし、なんか出そうじゃん」
完全に腰が引けているメンバーが多いけれど、ここで立ち竦んでいる暇はない。宮舘と深澤が背中を押して中に入っていった。
外から見た通り、中は真っ暗だった。
エントランスに入った瞬間に見えたのはあちこちに吊るされている干からびた人々。警察官やたまたま警察署に来たであろう一般人、犯人らしき手錠をかけられた人物など、その数は数えきれない。
💙「ひいぃ」
🧡「なんやねん、ここ、お化け屋敷かいな!」
🤍「やだー、むーりー!」
💜「ここここれを通ってくの!? 無理無理無理無理!」
❤️「ちょっとみんな、落ち着いてって言われたでしょ。ねえ、照」
💛「怖くない怖くない怖くない怖くない」
❤️「うーん……これは良くないね。みんな怖いの苦手だからな。割と平気な目黒と阿部がいないのが、ね」
パンっと強く手を叩くと、他のみんながビクっとした。
❤️「みんな、ここに何しに来たの。怖がりに来たの? 目黒と阿部を捜しに来たんでしょ。そんな情けない姿、二人に見せるわけ?」
それが発破となったらしい。
みんなの目つきが変わったので、吊られている遺体を避けながら歩き始めた。
🩷「どこ向かってんの?」
💜「いつも使わせてもらってる会議室。多分、映像借りたんならそこで見てると思うんだよね」
この警察署にはお世話になっていたから、よく知っている。場所は熟知しているから迷うことはない。
そのまま真っすぐ進んでいく。
張り巡らされている糸に触らないように気を付けながら。
そうして、階段広場に来た頃だった。
階段上からコツコツとヒールの音が響く。
「いらっしゃい。怖がりが多いって聞いていたのに、案外すんなり来たわね」
階段上に立っているのは、紅歪。佐久間と向井が、あっと声を上げていたので、二人が
遭遇した女で間違いない。
💛「へぇ? こっちの事は全部知ってるって口ぶりだな」
「知ってるわよ~? 情報を持ってるのはあなたたちばかりじゃ、な・い・の。さあ、私と一緒に踊りましょう」
ふわっと感じたものに、宮舘が自身を中心に冷気を広げるとこちらに向かってくる数本の糸が瞬時に凍ったのが分かった。
❤️「仕掛けがわかれば、大したことないね」
💛「全部燃やしていいんだろ。だったら敵じゃねえな」
💜「じゃ、作戦通りに!」
そう言うと深澤とラウールと向井はダッと別の方向に走り出し、それを阻もうと伸びてくる糸を岩本の炎が溶かし、その間に深澤たちはその場から離れた。
「あら、やるわね」
💙「あんま見くびんなよ」
🩷「俺らを相手にしたこと、後悔させてやるよ!」
戦いの場から抜けてきた深澤たちは、ラウールが異能で作ったペットボトルロケットサイズのロケットを飛ばして通り道にある糸を切って進んでいく。
🧡「おおー、めっちゃ楽やな!」
🤍「すごいでしょー」
💜「まだ気を抜くなよ! この先も仕掛けがあるかもしれないからな!」
岩本達が敵を引き付けてくれているから、こちらに障害はない筈。だから一気に廊下を駆け抜けて行けば、よく知る部屋が見えてきた。
💜「あった! あれだ!」
部屋の前で立ち止まった。部屋のドアに糸が幾重にも張り巡らされていて、ドアノブが見えない為にこのままでは中に入れない。
💜「阿部ちゃん! めめ! いる!?」
ドンドンとドアを叩く。
🖤「……ふっか、さん……」
掠れたような目黒の声。
🧡「めめ! 今、出したる!」
深澤が右手を出すと鋼で剣が作られ、握った剣を振り下ろして斬ると、糸ごとドアが切り裂かれた。
斬ったドアを向井が蹴り飛ばして中を見れば、部屋の中央で動かない阿部と目黒の姿が目に映った。
首から下のところどころに切り傷があり、浅い呼吸をして動かない。
一歩、中に入ろうとして足を上げた向井は、そのまま後方にバク転をして飛びのいた。
🤍「え、康二くん?」
🧡「そうなんべんも同じ手ぇに引っかからんて!」
💜「えっ、えっ、どういうこと?」
🖤「……入っちゃ、ダメです……動いたらなのか、わかんない、ですけど……変な動きしたら、すぐ糸に切られます……」
🤍「めめ、苦しそう。早く助けないと」
🖤「……俺より、阿部ちゃんを……! 阿部ちゃんがずっと、動かない……!」
💜「阿部ちゃん?!」
目黒よりも奥にいる阿部はすでに意識を失っているのか、こちらを見ようともしない。
🤍「え、でもどうしたらいいんだろ。入ったら切れちゃうんでしょ?」
🧡「入んないでこの仕掛けみたいなんを解除するんやろ。俺の岩と、ふっかさんの鋼でいけんかな?」
試しに、向井が小さな岩を作って浮かせ、それを部屋の中に飛ばすと、すぐにパアンッと弾けて砕けた。
🧡「うへっ。岩も砕くんか。あの糸かったー!」
💜「こっちもやってみるか」
鋼でできたナイフが深澤の手に握られ、それを投げると、何かがナイフに当たって床に落とされた。
💜「切られはしないけど、落とされちゃうのか……うーん、どうしたらいいかな……」
💚「……ふ、か……」
💜「っ阿部ちゃん?! 阿部ちゃん、大丈夫!?」
💚「……こーじの、重力、で、俺、とめめ、囲って……ラウ、は、攻撃、当たらない場所、探して……ふっか、の鋼、で、糸の制御、してるもの、壊せば……」
今にも消え入りそうな阿部の声。それでも、どうしたらいいのかわからない自分たちに指示をしてくれる。
ラウールと向井の目がうるうるとする。
🤍「やろう。僕、頑張る!」
🧡「阿部ちゃんとめめは、俺が絶対守ったる! ふっかさん、遠慮せずにやってや!」
💜「おっけ。頼んだよ、ラウ、康二!」
向井が手を前に出すと、目には見えないけれど阿部と目黒を重力の膜が取り巻いた。
🧡「これで阿部ちゃんとめめの周りは攻撃を通さんくなったで」
💜「じゃー、行くよ!」
深澤の周囲に、無数の鋼の刃が出現した。
手を前に出すと、それらの鋼の刃が一斉に室内に向かって行った。次々に糸が当たって落とされたり弾け飛んだりしていく。
そんな中で、深澤は鋼の刃を途切れないように飛ばし、ラウールは眼鏡をかけて目を凝らす。
🤍(阿部ちゃん、攻撃が当たらない場所を見つけてって言ってた。多分、そこを糸で攻撃したら使えなくなっちゃうんだ。見てたら、ふっかさんの鋼はいろんな方向に飛んでる。ってことは、糸が出てる場所もバラバラなんだ)
だからヒントになるのかと思うと、本当に阿部ちゃんは凄いなと感心してしまった。
それを、捕らえられた状態で見抜くなど。
じっと見つめる。阿部と目黒の方に向かう糸や鋼の刃もあったけれど、それらは二人に到達する前に潰れたり落ちたり天井に向かったりと、重力が歪んでいるというのがよく分かる。
そうしていると、一つだけ弾かれない鋼の刃があった。それは館内放送用のスピーカーの近くで、あそこに違いない。
🤍「ふっかさん! スピーカーを壊して!」
💜「よしきた!」
先ほどまで飛ばしていた鋼の刃よりも二回り大きな刃を作成し、その周りを無数の小さな鋼の刃で囲う。
それを勢いよく飛ばすと、それまでと比べものにならないスピードで糸が刃を弾き飛ばしていくのだが、囲っている刃の数が多くて撃ち落としきれずにいる。
そのままスピーカーを撃ち抜くと、阿部と目黒の体が床に倒れ込んだ。
🧡「めめ!」
💜「阿部ちゃん!」
深澤が警戒しながら入って来たものの、糸からの攻撃はなくて大丈夫そうだという事で警戒を解き、近づくとしゃがんで阿部の体を膝に乗せて抱き上げる。
目黒を抱き起こそうとした向井だったけれど、すぐに手で制されてしまい、目黒は自力で上半身を起こした。
🖤「大丈夫……」
床から葉をたくさんつけた蔓が伸びてくると、葉っぱに水滴が沸き上がり、阿部の口元に葉っぱを持っていくとその水を飲ませる。
🖤「これで、傷は治ると思う」
🤍「あとは帰ったら舘さんに鉄分いっぱいのご飯、作ってもらわなきゃね」
🧡「せやな。ココアであったかい飲み物も淹れたろ」
🤍「めめは平気なの?」
🖤「蔓がずっと回復してくれてて、見た目より平気」
🤍「ああ、《翠滴-すいてき-》だっけ。夢幻ノ杜で聖雨を浴びてから使えるようになったやつ」
🖤「そう。蔓の水がだいぶ体の中に回ったから、回復し続けられる」
🤍「え、めっちゃ便利だね」
🖤「自分だけ助かってすごい罪悪感あるけど……」
💜「阿部ちゃんは、めめだけでも助かって良かったって言うと思うけどね」
🖤「……そうですね」
💜「……さて、あっちはどうなってるかな」
コメント
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本当に最高な展開で痺れます✨ 私の好みドツボで有難うございます🤣 🖤が自分よりも💚助けたくて逆も然りで尊い😭 新たな力身につけてて♡