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わをん
85
M_Yuzu
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花火を観にこないか、と阿部に誘われた。
何でも打ち上げ場所が少し変わったとかで、阿部の部屋のベランダから、見やすくなったらしい。
手土産を買って訪問すると、阿部が笑顔で出迎えた。
促されるまま部屋に上がり、持って来た紙袋を手渡す。
「ありがとう。何?」
「鰻の弁当。食べよ」
「鰻?やったぁ!楽しみ〜」
袋を覗き込んで阿部が笑う。岩本もその反応が嬉しくて微笑んだ。
「そういえば、良いね、浴衣」
荷物を置いて、改めて岩本は言った。阿部が振り返り、表情を明るくする。
「良いでしょ?夏っぽいでしょ」
腕を広げてくるりと回ってみせる。藍色ベースで花火が描かれた浴衣だ。
「うん、夏っぽい。似合ってるし」
岩本が言うと、阿部はにっこりと微笑んだ。
「ひかるも似合ってるよ」
阿部は岩本の周りを一周して言う。気分だけでも花火大会にしようと言う阿部の提案で、今日のドレスコードは浴衣だった。岩本はシンプルな無地のしじら織の浴衣を選んだ。
「たまにはいいよね、浴衣も」
「そうだね」
2人は言い合って笑った。
阿部の部屋は意外と物が多くて、片付いているのに雑多な印象を受ける。
彼の興味のある物をぎゅっとまとめた、宝箱のような感じだ。
中でも本が多い。大きな本棚があるにも関わらず、収まりきらない本もある。
「興味あるのあったら、好きに読んで良いよ」
岩本が本棚を眺めていると、キッチンから阿部が言った。とは言え、何だか難しそうなラインナップばかりで、彼は曖昧な返事をした。
「さあ、飲もう〜、食べよう〜」
阿部がグラスとワインを手に戻って来た。
ダイニングテーブルに向かい合ってついて、2人はワインで乾杯した。
デパ地下の惣菜と岩本差し入れの鰻を食べながら、取り留めのない話をする。昔話から近況まで。久々にゆっくり会うのもあり、話は尽きない。
いい具合にお腹が満たされ、ほろ酔いになって来た頃、窓の外が明るくなって、ドンっと音が響いた。
「始まった」
阿部が言って、席を立つ。
ベランダに出ると、ビルとビルの間に大きな花火が上がった。
「へえ、すごい。こんなに見えるんだ」
阿部の隣に並んで、岩本は呟く。思った以上に特等席だった。
「良いでしょ」
阿部が微笑んでいう。薄明かりの下で見る阿部は、儚げな雰囲気を纏っていた。
小さな花火が複数、一気に空に咲く。
辺りが一瞬、明るくなった。ワンテンポ遅れて、ぱらぱらと音がついて来る。
開いた花火が、さらさらと流れて闇に溶けていった。
2人はベランダの柵にもたれて、無言で夜空を見上げる。
岩本はチラリと隣の阿部を見た。頬杖をついて少し笑みを浮かべて、空を見ている。
阿部の左肩に岩本は手をかけた。そして顔を寄せる。阿部は何か言おうとしているのかと思い、その声を聞こうと身体を彼の方へ傾けた。
が、岩本は何を言うでも無く、ただ阿部の唇に唇を重ねた。
「…花火、見て」
唇を離すと、阿部がぽつりと言う。
「見てるよ」
岩本は答えて、もう一度口付けた。さっきより少し長く。
「…ひかる」
「誰も見てないよ。花火見てるから」
少し咎めるような阿部に、岩本は低く囁いて腰を抱き寄せた。そして、今度は少し深い口付けをする。
大輪の花火が上がった。
花開いた瞬間、隣のベランダから感嘆の声が上がる。隣人も花火を観に出て来たのだろう。
人の気配に阿部は一瞬反応したが、キスを止めることはなかった。
酔っているからか、意外にも彼は嫌がるそぶりを見せない。顔を見合わせると、熱を帯びた瞳で岩本を見た。頬を撫で、耳元に唇を寄せる。 ふわりと漂う石鹸のような香りが、岩本の欲を煽った。
「…いいの?このままだと俺、我慢できなくなるけど」
最後通告のつもりで言う。阿部は目を伏せた。
「我慢しなくていいよ」
小さく囁く。その表情は妖艶な魅力を纏っていた。
岩本は阿部の背を柵に押し付け、再び口付けた。
唇で唇をこじ開けて、舌を捩じ込む。阿部は、それを素直に迎え入れた。舌を絡め、口内を蹂躙する。
花火の音。人の声。街の喧騒。その中に甘い吐息が紛れる。
はだけた胸元に指を滑らせると、阿部が反応した。直接触らず、周りを優しく撫で回してやると、もどかしげに浴衣の袖を掴んでくる。たっぷり焦らしてから、勃ちあがった敏感な先端を摘むと、くぐもった声を上げた。
しつこく愛撫されると、より感度が増して来る。それでも阿部は、隣人の気配を気にして、必死に声を出さないようにしていた。しかし声を我慢すればするほど、気持ち良くなってしまう。
「ん…っ、ふ…ぅ」
甘噛みされると、ビリビリと電気が走るような感覚になる。唇を噛んで、声を漏らさないようにした。
阿部が脚を落ち着きなく、もじもじさせているのに岩本は気付いた。
浴衣の合わせから手を差し入れ、脚の間にある塊に触れる。既にそこは硬くなって、下着を濡らしていた。
熱いそれを布越しに扱く。阿部が身体をビクリと強張らせた。と、じんわりとまた下着が濡れる感覚があった。
「今日、いつもより感じてる?」
尋ねると阿部は、恥ずかしそうに目を逸らす。肯定の沈黙であることは、容易に分かった。
「ん。可愛い」
岩本は阿部の上気した頬に、軽くキスをする。
「俺のしてくれる?」
そしてそう囁いた。
阿部は言われるがまま、岩本の足下に膝立ちになる。裾をはだけて、下着を少し下ろす。溢れでた欲の塊にキスをして、口に含んだ。
夜風が吹き抜け、頬を撫でていく。自分が今、屋外にいることを自覚する。
みんな本当に花火を見ているだろうかと、ふと疑念が浮かぶ。隣人が、隣のマンションの住人が、向かいのオフィスビルのビジネスマンが、自分達に気付いていたら。衆人環視での行為を妄想すると、体の芯が熱くなった。
インモラルなことをしている自分に、阿部は興奮した。
根元まで咥えて、ゆっくりと唇で扱く。だんだん硬さを増して膨張する。口の端から涎を垂らしながら、一心不乱に奉仕した。
「っ、もう良いよ」
浅く呼吸しながら岩本が言って、阿部の頭を撫でた。
「そこ、立って」
促されて阿部は柵を掴んで、岩本に背を向けて立つ。岩本は阿部の浴衣をたくし上げ、下着を下ろした。軽く脚を開かせて、湿らせた指で軽く入り口を解す。
「…挿れるよ」
「ん、早く、きて…」
甘く催促され、岩本は熱い自身を後孔にあてがった。そして身体の奥深くを目掛けて、挿入する。
「っはあ…っ」
阿部が深く息を吐く。
花火がテンポ良く連続で上がり出した。そろそろクライマックスなんだな、と岩本はぼんやりした頭で思った。
「あっ、んん…っ、は、っぅ」
岩本が動き出すと、思わず阿部は声を漏らした。はっと我に返り、なんとか声を抑えようと、口を結ぶ。甘い吐息を漏らしながら、空を見上げると、大きな花火がいくつも夜空を照らした。
「は…なび、き…っれい」
貫かれながら阿部はぽつりと口にする。
「うん?」
「ぁ、っは、はなび、が、っきれ…だねっ、て」
甘ったるい声音で言う。岩本も空を見て、そうだね、と微笑んだ。
だんだんとピッチが速くなる。既に堪えきれずに、阿部は声を漏らしていたが、幸い花火の音に紛れ、隣人の耳には届かなかった。
岩本の息遣いも荒くなる。
腰を掴む手に力がこもった次の瞬間、彼は阿部の中に熱いものを放出した。
「ん…ぁ…」
身体の奥に感じた熱に、幸せを噛み締めながら阿部も果てる。岩本が身体を離すと、力が抜けてその場にへたり込んだ。
今までのものより一際大きな花火があがる。
ビルの谷間に花開いたそれは、空気を震わせるような音と共に、夜の闇に溶けていった。
余韻を含んだ静寂が訪れる。
花火大会は終演のようだった。
「立てる?」
岩本が手を差し伸べる。阿部はその手を借りて立ち上がった。着崩れた浴衣を少し整える。
「ひかる…」
彼は岩本の首に腕を投げかけ、顔を突き合わせた。
「…もっかい、しよ」
そう囁く。
「今度は、ひかるの顔見て、ぎゅってしながらしたい。だから…」
「…仰せのままに。お姫様」
可愛いことを言って誘ってくる阿部に、岩本は相好を崩して言った。そして彼を抱き上げる。
「可愛い声、いっぱい聞かせて」
「それは、ひかる次第じゃない?」
挑発的な阿部の言葉に、岩本はにやりと笑う。
「言うね。なら、声が枯れるまで鳴かせてやるから」
「どうかな〜」
岩本の肩に頭を預けて、阿部は目を細めた。
部屋に戻り、ちらりと横目に時計を見る。
時間はたっぷりある。
これから始まる甘い時間を思い、2人は幸せそうに微笑んだ。
コメント
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もう!!🫣🫣🫣🫣 もっとやってくれ!!🤦🏻♀️💛💚
ひゃああ第16話「NIGHT DANCER」読み終わったよ〜!😭💕✨ 浴衣デートからのベランダ花火鑑賞、もうそれだけでエモすぎるのに…まさかの展開!!「我慢しなくていいよ」って囁く阿部が妖艶すぎてやばかった〜🥺💖 花火の音に紛れる吐息とか、隣人の気配を気にしながらってシチュエーションが最高すぎる…! ラストの「もっかい、しよ」って誘う阿部と「仰せのままに。お姫様」って返す岩本の甘々っぷりに完全に持ってかれたよ…!!!! にゅうひん☆さんの書く2人の空気感、毎回尊すぎて泣く😭💕