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わをん
85
M_Yuzu
286
個別での撮影がひと段落して、岩本が楽屋に戻ると、そこには先に撮影を終えた阿部がいた。
「あ、ひかる、お疲れー」
読んでいた本から目を上げて、阿部は声をかける。
「お疲れ。早かったね」
「うん、めっちゃスムーズだった」
岩本は話しながら寄ってきて、阿部の隣に座った。
「…ひかる、近いんだって」
阿部が困惑して言う。2人の関係については、深澤と佐久間以外は知らない。だから彼は、他のメンバーの手前、距離感には気を付けていた。が、岩本はどちらかというと関係をオープンにしたいようで、時折距離感を狂わせてくるのである。
「でも今日は、俺と阿部とふっかだし問題ないじゃん」
3人部屋なので、自分達以外は今日は深澤しかいない。それを言われて阿部も、まあいいか、と思い直した。
阿部は再び本に目を落とし、岩本はスマホを眺めだす。しばらく2人は思い思いに過ごした。
先に集中力が切れたのは、岩本だった。椅子の背もたれに背をつけて、大きく伸びをする。
阿部はまだ読書中だった。
「ねえ、阿部」
「んー?」
声をかけると、阿部は視線を上げないまま返事をした。
「ちゅーしたい」
机に伏し、本を開く阿部の腕を引いて言う。
「…却下でーす」
阿部は岩本を見もせず、切り捨てた。
「なんでよ」
「なんでって…おかしいだろ」
本を閉じた阿部は、呆れた顔で岩本を見る。
「まだ、ふっか帰って来ないよ。順番遅かったから」
岩本は食い下がった。阿部は一つため息をつく。
「…まあ、キスくらいなら…」
いいか、と彼は折れた。
阿部は、20分前の自分の判断を後悔していた。
ちょっと唇を合わせて、それで終わりなはずだったのに、何度も求められる内にだんだんと深いキスになって。最初からそのつもりだったのか、途中で火がついたのかはわからないが、一瞬の隙をつかれてテーブルの上に座らされたかと思ったら、抵抗も虚しく組み敷かれて、半裸にされて、そして今の状況である。
「っは…、ひかる、も、やめ…」
下腹部に覆い被さる岩本を、押し返そうとしながら阿部は、弱々しく静止の言葉を口にした。
「…止めんの?もうガン勃ちなのに?」
岩本は低く囁いて、屹立した陰茎の裏側に舌を這わせる。
「ぅ、あっ、そこ…っ、はッ」
身体を駆け巡るぞくぞくした感覚に、阿部は仰け反った。
「どうする?やめる?」
執拗に同じ箇所を刺激しながら、岩本が尋ねる。
「んっ…は、ぅ、も…イク、出ちゃう…」
「出ちゃうから、止めよっか」
今にもイキそうになっていた阿部に対して、彼は愛撫を止めた。
「…っ、ひかるっ、なんで」
あと少しだったのに寸止めされて、阿部はもどかしげに言う。
「阿部がやめてって言ったんでしょ」
岩本の言葉に唇を噛む。
確かに言った。こんな所でするのはおかしいと思ったから。けれど、もう今はそんな事どうでも良かった。
「んぅ…っ、やめ、ないでぇ…っ、イかせてっ」
溜まったものを、吐き出したくてたまらなくて、阿部は懇願していた。
「ん。よく言えました」
岩本は満足げに呟くと、再びはち切れそうな熱い塊に舌を絡めた。阿部が声にならない声をあげて、腰を反らせる。彼の快感のツボはだいたい把握していた。弱点を攻め立てる。
「は…っあ、そ…こ、ダメぇ」
舌先で尿道を刺激してやると、身体をビクビク痙攣させる。ダメ、と言いながらも、その表情は甘く蕩けていた。
「んんっ、は、っあ、イ…ッ」
一瞬、阿部が息を止める。足の指がそり返り、身体が引き攣る。
次の瞬間、大量の白濁液を放出した。
「あ、っは、ぅ」
「すごい出るじゃん。濃いし。最近、抜いてなかった?」
放出した感覚があまりにも気持ちよくて、余韻で阿部は軽くイッている。
岩本は、垂れ流される体液を指で拭うと、阿部の後孔へ塗りたくり、自身をあてがった。そして一気に奥まで挿入する。
「んあっ、ダメ…っ」
阿部が甘ったるい声を上げる。挿入されただけで、また絶頂した。
岩本が腰を使いだす。ピストンに合わせて、嬌声が上がる。何度イっても阿部はすぐまた反応した。
「んっ、ひかっ、る、んぅっ」
「イキっぱなしじゃん。そんなにいい?」
彼は奥を突きながら、だらしなく精液を垂れ流す阿部の自身を握った。
「ッ…!」
中と外からの刺激で、阿部は声もなくまた欲を吐き出す。
「はぁっ、ん、むり…っ、もうむりィ」
ぼろぼろ涙をこぼしながら喘ぐ。快感が次から次へと押し寄せてきて、頭がおかしくなりそうだった。
「…可愛いよ…っ、亮平」
岩本は荒い呼吸をしながら、阿部の目を見て言った。
「なっ、いっ、ま、呼ぶとかっ、反、則っ」
阿部は唐突な名前呼びに、真っ赤になって狼狽える。同時に後孔が締まった。中も熱くうねって、岩本を引きちぎろうとするかのようだ。
「っあ、嬉しいからって、そんな締めんなよ…っ」
「…ッ、ば、か、ひかるのっ、ばか…っ」
甘い吐息と共に罵られ、その可愛さに岩本は微笑む。愛おしさが胸に溢れる。
「…このまま、いい?」
達しそうなのを感じ、小さく尋ねた。
「んっ、ぜんぶ、だしてっ」
阿部が細い脚で腰を抱いてくる。
スパートをかける。阿部の嬌声と、岩本の息遣いが絡み合う。
程なくして、繋がった部分の最奥を目掛けるように、熱い体液が放たれた。
「は…、ん、ひかる…」
自分の中に大量に流れ込む熱を感じ、阿部は恍惚とした表情で、天井を仰ぐ。
ゆっくりと岩本が身体を離す。逆流してくるものを処理して、阿部をテーブルから下ろした。軽いキスをして、2人は脱力感を覚え椅子に身体を預ける。
愛おしい時間だった。それは間違いない。
が、
時間が経つにつれ、頭がクリアになって来ると、阿部には沸々と怒りが湧いてきた。
だるい身体に鞭打って、のろのろと立ち上がる。下着と脱がされた服を着直して、岩本を見る。彼も壁に向かい、身支度を整えていた。
「………バカひかる!」
阿部は声を上げると、岩本の尻に蹴りを入れた。岩本は一瞬前につんのめって、慌てて振り向く。
「なっ、えっ?さっきまで、クッソ可愛かったのに」
「…うっさい!もう2度と楽屋でキスしないし、ひかるの隣には座んないからな!」
困惑する岩本に、赤面しながら阿部は言った。
「えぇ。阿部だって楽しんでたじゃん」
「っ、」
指摘されて一瞬言葉に詰まる。途中から思考停止して、ただただ気持ちよくなっていたのは事実だった。しかし、それを向こうから言われるのも面白くない。
不貞腐れた顔で黙る阿部を、岩本は宥めるように抱きしめた。
「えっと、今日、終わったら、ウチ来るよね?」
そして尋ねる。
「帰るとか言わないよね?」
「………今日、久々にひかるに会うから、俺もそのつもりで色々、考えて過ごしてきてたんだけど、」
「あ、もしかして”調整”してくれてた?」
それがあって、あんなにイキっぱなしだったのかと岩本は腑に落ちた。と、同時に、そんな”調整”をしてまで、自分との時間を楽しもうとしてくれていた阿部を愛おしく思う。
「そっか」
嬉しそうににこにこする岩本とは対照的に、阿部は相変わらず不貞腐れていた。
「…俺が我慢した時間返してよ!もう!こんな雰囲気も何もないとこで、すると思わなかった!」
岩本の腕を振り解こうと、もがきながら言う。
「なんで我慢できないの!?馬鹿!!」
「そんな怒んないで」
まあまあ、と岩本が宥めるが、阿部はその腕の中から抜け出そうと更にじたばたした。
が、まるで抜け出せない。
「…もー!俺、非力過ぎ!なんなの!」
ついには自分に怒って、諦めた。
「……今日はもっとゆっくり、いちゃいちゃしながらしたかったのにさ…」
そして視線を伏せて、小さく言う。
「そ、そっか。じゃあ、今日はめちゃくちゃ甘やかすから、どう?」
あまりの可愛さに、もう一度抱きたくなるのを堪え、岩本は提案した。阿部は口を尖らせ、でもちょっと赤面しながら、上目遣いに彼を見る。
「…俺が満足するまで、甘やかしてくれないと、許さないかんね」
呟くように言って、彼は岩本に抱きついた。
(あー、可愛い)
岩本はしみじみ思いながら、阿部を抱き返す。
と、そんな時、岩本のスマホに通知が来た。
深澤だった。
阿部から離れて、LINEを開く。
“終わった?”
短い一言。
「!」
それを見て岩本が固まっていると、次のメッセージが送られて来る。
“照に言いたいことがあるので、俺が戻るまで待ってるように”
“あと、同期のあんな声を俺に聞かせるな”
深澤からのメッセージを読んで、岩本はそっとスマホを伏せた。
恐らく深澤は、なんらかの理由で一度戻ってきたのだろう。そして、中で行われていることを知り、部屋に入らず退散した…
「LINE、ふっか?」
「あー、…うん。なんか、終わった後で俺に話があんだって」
色々動揺していたが、平静を装って岩本は言った。とりあえず阿部には、バレたことは黙っておこうと思った。
「だから、先に俺んち行ってて。待ってて」
「わかった。…早く帰ってきてよ?」
小首を傾げて阿部が微笑む。
岩本は阿部を抱きしめて、深澤の説教が早く終わることを心から祈った。
コメント
4件
💜のお話は説教だけなのかなー?気になる🤔
