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「本橋夫妻は腕時計が好きで、所々のパーツを色違いにした、揃いの腕時計をしてるんだよなぁ。豪から話を聞いて、恋人と同じアイテムを持つって、いいなって思ったんだ」
「あ、そういえば、奈美は前にファクトリーズカフェで会った時、ゴツめの腕時計をしてました。あれは、ダンナさんからのプレゼントだったんですね……」
恵菜は、ドリンクを口に含み、遠くに視線を向けたまま、笑みを湛えた。
「今まで、過去の彼女とペアアクセサリーとか身に着けたいとか、何かカッコ悪くて一度も思った事ないんだけど、恵菜が恋人だからこそ、揃いのアクセサリーを持っていたいって思ったんだ」
純がそう思ってくれるだけで、恵菜の心がホワっと温かくなるのを感じる。
「すごく……嬉しい…………です……」
横浜の景色に視線を向けていた恵菜が、純の表情を見て目を細めた。
「じゃあ、カフェを出たら、さっそく探してみようか」
「はい……!」
恵菜は、嬉しそうに表情を浮かべていると、純が手を伸ばし、穏やかな波を思わせる彼女の髪に触れ、そっと撫でた。
***
カフェを出た二人は、先ほど純が立ち止まって見ていたジュエリーショップへ足を運んだ。
ペアアクセサリーを多く扱っている店内は、白を基調としたシンプルな空間で、眩い銀の光で溢れている。
店の奥には、高級なワインレッドのソファーとローテーブル、シックなショーケースが設置されており、そこはブライダルジュエリーのコーナーになっているようだった。
二人は店の手前にある、比較的手頃な価格帯のペアジュエリーのショーケースの前に立ち、ネックレスやリング、ブレスレットを見やる。
「恵菜はどんなアクセサリーがいい? やっぱり女性はリングなのかな」
「う〜ん…………そうですねぇ……」
彼女は、小首を傾げながら、人差し指を頬に当てながら逡巡している。
「リングも素敵ですけど…………ネックレスがいいです」
「へぇ。女子はリングが好きそうなイメージだけどな」
純は意外に思ったような口調で答えると、恵菜は彼から視線を外し、俯きながらネックレスがいい理由を話し始めた。