「ネックレスを着けると、ペンダントトップが心臓に近い場所に来るじゃないですか。恋人とお揃いのネックレスをする事で……『私の心は恋人だけ』っていう意味になるかな、って思って……」
言っているそばから、恵菜は顔がカッと熱くなるのを感じる。
穴があったら入りたいし、純に顔を向ける事さえ恥ずかしい。
「そうか。そんな理由だったんだな……」
彼女の頭上が温もりに包まれ、彼を見上げると、純は目を細めてチラリと綺麗な歯並びを覗かせながら、恵菜の頭を撫でていた。
「恵菜から素敵な理由を聞いたし、ネックレスにしようか」
二人は、手を繋いだまま、ペアネックレスのショーケースへ移動した。
「恵菜は、どんなデザインのネックレスがいい?」
「二人で一緒に付けるとしたら…………小ぶりでシンプルなデザインがいいかな? って思います」
様々なデザインのネックレスを見やりながら、ネックレスを指している。
スティック型のペンダントトップ、コロンと小さなリング状のシンプルなデザインを始め、コインをモチーフにしたもの、ハワイアンジュエリーのようなデザイン……。
煌びやかなショーケースにディスプレイされているアクセサリーたちに、恵菜の心が昂る。
「あ…………こういうデザイン、好きです」
恵菜は、気になったデザインのネックレスを見つけた。
プックリとしたリング状の小ぶりなペンダントトップは、ピンクゴールドとメタリックブラック。
ハワイアンジュエリーの模様がグルリと彫り込んであり、表面にはダイヤモンドがそれぞれ一粒埋め込まれている。
チェーンは二つともシルバーで、ペンダントトップとチェーンの地金は、ゴールドやプラチナではなく、サージカルステンレス製。
恵菜と純がショーケース越しに見ていると、ショップの店員が近付いてきた。
「サージカルステンレス製のアクセサリーは、医療用ステンレスで、肌に優しく、金属アレルギー持ちの人でも、アレルギーが出にくいんですよ。丈夫で、変形、変色しにくいですし、お手入れも簡単なアクセサリーです」
「わぁ……知らなかった……」
「俺も」
初めて聞いたステンレス製のアクセサリーに、二人は思わず唸った。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!