テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#リゼロ
すず
144
33
第10話『死者の旗』
平原に沈黙が広がった。
誰もが伝令の言葉を理解できなかった。
「今、何と言った…?」
白虎将軍が聞き返す。
伝令は震えながら答えた。
「秦将・王騎の旗です!」
あり得ない。
その場にいた者の多くがそう思った。
王騎は既に故人。
中華中に知られた事実だった。
じゃぱぱの表情も険しくなる。
のあが小声で言った。
「歴史が変わってる…?」
「いや。」
もふは首を振る。
「まだ分からない。」
やがて地平線の向こうに軍勢が現れた。
黒い秦軍の旗。
そして、その中央。
確かに王騎軍の象徴であった巨大な旗が翻っている。
魏軍にも動揺が走る。
「本当に王騎軍だ!」
「そんな馬鹿な!」
白虎将軍は歯を食いしばった。
秦軍まで現れれば戦況はさらに不利になる。
「全軍後退!」
「態勢を立て直せ!」
魏軍が少しずつ下がり始める。
一方、近づいてくる秦軍。
先頭の将が馬を進める。
巨大な体格。
独特の威圧感。
兵たちが道を開く。
柳国の兵士たちは息を呑んだ。
そして将が兜を外す。
そこにいたのは――王騎ではなかった。
「やはり。」
李牧から受け取っていた情報を思い出しながら、じゃぱぱは呟く。
現れた男は笑う。
「驚きましたかなァ。」
秦軍の将。
騰だった。
王騎の副将として名を馳せた男。
今は秦の大将軍である。
騰は王騎軍の旗を見上げた。
「この旗は王騎将軍の意志を受け継ぐ証。」
「死者が蘇ったわけではありませんよ。」
柳国の兵たちは安堵する。
魏軍も少し落ち着きを取り戻した。
しかし騰の次の言葉で空気が変わる。
「ただし。」
「秦はこの地を見過ごすつもりはありません。」
騰の視線が虹桃軍団へ向く。
「正体不明の第八国。」
「あなた方について聞いています。」
じゃぱぱも前へ出た。
二人の将が向かい合う。
秦の大将軍。
虹桃軍団の総大将。
騰は微笑んだ。
「敵ですか?」
じゃぱぱも微笑む。
「今のところは違う。」
「今のところ。」
「そっちもでしょ?」
騰は楽しそうに笑った。
その様子を見ていた白虎将軍は顔をしかめる。
目の前には秦軍。
そして虹桃軍団。
このまま戦えば魏軍が挟撃される。
彼はついに決断した。
「全軍撤退だ!」
号令が響く。
魏軍三万は戦場から離脱を開始した。
こうして柳国は滅亡の危機を免れた。
だが。
騰は去る魏軍ではなく、虹桃軍団を見つめ続けていた。
「面白いですねェ。」
その目には警戒と興味が混じっていた。
一方のじゃぱぱも理解していた。
魏軍との戦いは終わった。
しかし次に始まるのは――秦という巨大な国との関わりだった…。
コメント
1件
おお…王騎の旗ってだけで戦場の空気が一気に変わったのすごかったわ。まさか騰が来るとは思わなかったから、兜外したときちょっと鳥肌立ったね。秦軍が味方か敵かまだ分かんない感じ、めちゃくちゃ続きが気になる🔥 じゃぱぱと騰の会話の空気感も渋くて好きだわ。