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2章:生と死。
18話:負けて、認めて、また負けて。
朝日秀蘭
→痛覚 創造を具現化する能力
導奇秋
→視覚 生死を導く能力
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「た、倒した…?」
「まだだ!!!」
それに応えるようにダインが叫ぶ。
だが…構えた銃はボロボロ…と崩れていく。
おそらくさっきの電撃で、過大な電流が一気に流れたためだろう。
「ダイン…。」
「…。俺の…負けだ。もう、好きにしろ」
誰にも認められなくて、教授さえ手にかけて、主からの銃も崩れて、
まるでこの銃が俺の崩れた人生を表しているみたいだ…。
ははっ…滑稽だな…。
いっそのこと…殺してくれ…。
「ダイン…ねぇ、大丈夫?」
急におとなしくなったダインを心配したのか、夏希が優しく話しかける。
「…。情けなどいらない…。俺は、…主に…誰かに認められたくて。なのに、こんな、こんな結末で、贈り物も壊れて、」
「どうしろってんだ。」
「認められたい…か。」
そう夏希が言葉を漏らすと、アルバムを開いて思い出を頭に巡らせる時のような顔で語り出す。
「私は、ダインのしたことを許さない…。でも、その気持ちは分かるわ。」
「は…?」
「忌子の私は、変わり者の肩書きを背負って生きてきた。それで似ていると思ったの。」
夏希が声を震わせて言う。きっと、ご両親のことを思い出しているんだ。
「変わり者と、秀才故の孤独。原因や状況は違うけど、周りから避けられて、仲間はずれにされたってことでしょ?」
図星なのかダインは目線をずらす。
「…でも、ダインは、それを強みにした。」
「…え?」
「それって認めたくないけど…すごいことなんじゃない?…私には出来ないから」
ダインが膝をついて崩れる。驚いた顔をしながら頬に水が伝っているのが見える。
「だから!認めたくないけどって言ってるでしょ」
「は…ははは…。」
そう笑いながら涙を拭った。そして心なしかどこか救われているかのような。解放されているかのような表情を私たちに向け、もう一度。
「…。俺の…負けだ。」
「ダイン…」
「技術的な事だけじゃない。俺は、今まで全てを他人のせいにしてきた。俺は違うってな。」
シュウの瞳が動く。
「だが…俺の一番の違いは心だったみたいだ…。だから、なんて言うか…」
ダインは好きな子が目の前にいるかのようにそっぽを向きながら、
と、素直になりきれない言葉を残した。
きっとダインにとって初めての出来事がこれからも続いていくのだろう。
その苦しくても希望溢れる未来が、津波などの色んなことで消えないことを願う。
「ええ!?な、なんて言うか…昨日の敵は今日の友?ってやつ、すごくむずむずしない!?」
「あぁ、えっと…お前にも。すまなかった。」
「えぇー!?」
あまりにも驚くシュウに困るダインをほったらかし、シュウは騒ぎ立てる。
悪意は無いのだろうけど、だんだんと耳を赤めていくダインを見て、その様子にまた笑みを一つ、二つとこぼしていく。
「う、ウカイハ様!?」
そう言いながら、ウカイハは私たちの輪の中に入ってくる。
…なんだか不適な笑みで少し怖い。
「そ、創造神…。」
「其方は我の土地で騒ぎを起こしたんじゃ。少しばかり…」
「裁判でもさせてもらうぞ…」