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その日の昼休みのこと
千嘉「さてと…今日はどこでお昼食べようかな……」
隣を見ると今朝転校してきた歌葉さんがお昼を食べようとしていた。
よし、今度こそ仲良くなるんだ!
千嘉「ねぇねぇ!私も一緒にお昼食べてもいいかな?」
歌葉「……構わないけど」
友だち「千嘉!何してんの?早くお昼食べに行こう!」
そうだ……
歌葉さんに夢中で忘れてた……
いつもあの人たちと食べてたんだった。
歌葉「呼ばれてるけど…行かないの?」
千嘉「ううん、今行く…ごめんねお昼の邪魔して……またあとでね!」
友だち「転校生なんか気にしなくていいじゃん…なんか綺麗すぎて逆に怖くない?」
友だち「それになんかお嬢様っぽくてアタシはあーいうタイプ苦手~」
千嘉「だ……だよね~」
こうやって合わせて生きていくしかないんだ一生……
もう疲れたけど、こうするしかない
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歌葉「…………なんであの人だけ普通に話しかけてこれるのかしら」
転校するのは慣れている。
どこに行ってもこの容姿のせいでイジメを受けて転々としていた。
けれど叔父も叔母も嫌な顔せずに家においてくれた。
誰も話しかけてこないと思ったのに隣の席の天空さんは休み時間の度に話しかけてきた。
千嘉『髪の毛サラサラだね!』
千嘉『趣味って何かある?私はね天体観測をよくしてるよ!』
千嘉『歌葉さん!さっきの音楽の授業感動した!綺麗な歌声だった!』
あんなに嬉しそうに話しかけてきた人初めてだった。
それにこの容姿を見てもまるで御伽話のお姫様みたいだと褒めてくれた。
それに多分根が優しい子なのだろうとも思った。
上辺だけの仮面を被った友だちに囲まれていた。
私に向ける笑顔と彼女たちに向ける笑顔が全然違っていた。
かといって転校生の自分がでしゃばる場所ではないとわかっている。
歌葉「わかってる………わかっているわ」
お弁当を黙々と食べてお昼休みが終わる。
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掃除の時間ーー
千嘉「歌葉さん!ごみ捨てに行くんでしょ?案内してあげるよ」
歌葉「さっき先生に聞いたけど…」
千嘉「でも途中で迷子になっても困るし……行こう!」
なんともふざけた理由だ。
普通高校で迷子になる人なんていないだろう。
南総高校はそんなに広くもないのに迷子になったら困るとはどう考えてもおかしな理由だ。
ごみ捨て場は昇降口を出てグラウンドまで行きその裏側にある。
歌葉「案内ありがとう…助かったわ」
千嘉「ううん、大丈夫だよ~」
歌葉「ねぇ……天空さん……なんでそんなに私に話しかけられるの?」
千嘉「え?なんでって……話したいからでしょ?それ以外の理由ないよ」
好奇心から色々なことに首を突っ込みがちで本当にそれ以外の理由がない。
興味があるかないかで決めているようなものだ。
千嘉「もしかして……話しかけられるの迷惑だったりする?私好奇心旺盛なタイプだから気になるとすぐに首突っ込んじゃうから…本当にごめんね!嫌だったら謝るから!」
歌葉「別にそこまでは言ってないでしょ…」
千嘉「そうなんだけど…… 」
歌葉「あなたの周りの人は皆私に苦手意識を持っているから……私なんかとつるんでると嫌われちゃうんじゃないかって」
それであっさりした感じの返答をしてたんだ。
転校初日なのにそこまで気を使わせてしまったなんて。
千嘉「ごめん…気使わせちゃったよね?」
歌葉「いいのよ…慣れてるから……教室戻りましょ」
そう言って歌葉さんをその場をあとにした。
私は少し遅れて彼女の背中を追う。
こんなにいい人なのにどうして皆避けるんだろう。
皆も歌葉さんも私も全員同じ1人の人間なのに。
見た目だけで人を判断できない。
見た目がよくても中身がダメなことなんてたくさんあった。
今まで散々そんなのを見てきた。
今の私を取り囲んでる人たちがそうだ。
私は流されないように必死に耐えているだけ。
ひたすら本音を隠して合わせていればいい。
つまりは操り人形のような人生だ。
千嘉「仲良くなるのってこんなに難しかったっけ……なんか空振りぶりばっかだな」
折角隣の席になったんだもん!
私だけでもいいから歌葉さんの友だちになってあげたい。
私は知っているから……
1人は……寂しいってことも……辛いってことも…誰も気づいてくれないってことも
容姿はその弱い部分を隠すメイクの1つだ。
人は強くなるためにメイクをするように誰もが弱い部分を見た目で気づかれないように容姿で隠すのだ。
とにかく気を使わせないように…アタックを続けるしかない!
千嘉「絶対仲良くなってやる!」
翌日から私は歌葉さんと仲良くなるための熱烈なアタックを繰り返すことにした。