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私の部屋は八階で、人の目には触れなかったけれど、どの部屋にもカーテンをかけていた。なんとなく、夜はカーテンを閉めたくて。


八畳か十畳はありそうな空間に、壁の半分ほどを占める窓が浮いているだけ。


窓の正面の壁一面はクローゼットになっていた。


「玄関のそばが嫌なら交代するよ」


「ううん」


いつまでいるかわからないのに、そこまでしてもらうわけにはいかない。


太陽は荷物を置き、窓の前に立って外を見た。


「俺も引っ越したばっかで足りないものもあるし、そのうち色々揃えよ」


腰を伸ばす彼の視線の先には、金色に輝く満月。


私も荷物を下ろし、彼の背中を眺めた。


無意識に、ふふっと笑みがこぼれた。


太陽が振り向く。


「なに?」


太陽の肩越しに浮かぶ満月。


「今の太陽を見たら、奥さんが悔しがるわね」


「元、ね」


「こんなマンションに住めるほどの成功がわかっていたら、きっと別れなかったでしょうね」


「どうかな。離婚して満月と出会っていなかったら、成功してたかわかんないから」


太陽が一歩、一歩と私に近づく。


「さっきも言ったろ? 胸を張って満月に会いに行きたくて、頑張ったんだ」


一歩、また一歩。


「だから、俺がこうしてここにいられるのは、満月のお陰だ」


太陽はくしゃっと笑ったかと思ったら、すぐに真剣な表情に変わり、私を抱き締めた。


「会いたかった……」


ゾクリ、と背筋が泡立つ。


「私も会いたかった――!」


考えるより先に、気持ちが音になった。


彼の背中に腕を回す。私たちはしっかりと抱き合い、どちらからともなく首を傾け、唇を重ねた。


太陽の手が私の頬や首、耳を撫でる。その間も、キスは止まない。


侵入してきた彼の舌に、自らの舌を絡める。


喉の奥まで蹂躙されるほどの激しさに、私は思わず顔を背けた。酸素を肺に送り込む。


「ベッド、いこ」


太陽は私の腰を抱き、部屋を出て、隣の部屋に私を押し込んだ。


さっきの部屋よりも広く、壁際に大きなベッドだけが置かれている。


掛け布団がめくれて、無造作にスウェットが放ってある。太陽が、朝起きたままのベッドに、なんだか急に恥ずかしくなった。


このままここで抱かれてしまったら、本当に後戻りできなくなる。


明日の朝には、私のパジャマも一緒にベッドの上にあるかもしれない。


そんな光景を思い浮かべて、それが当たり前のようになってしまう不安が込み上げてきた。


「ねぇ、待って」


性急に私のコートやジャケットを脱がしにかかる太陽に、私は待ったをかけた。


「ホントにいいの? 私、もう四十三だよ? もうすぐ四になるのよ? 年上がいいなと思う程度なら、一緒に暮らすなんて深みにハマるようなこと――」


「――深みにハマりたいんだよ!」


スカートのファスナーを下ろされ、ストンと足元に落ちる。


肩を押され、私はベッドに座る格好になった。太陽が膝をつき、私の膝を割って身体をねじ込んだ。


「ちょ――っ、まっ――!」


止める間もなく、ストッキングとショーツが勢いよく引き下ろされる。


私の足を片足ずつ担ぐと、彼は私の秘部に顔を寄せた。


「太陽!」


私はひっくり返りそうになり、腰の横に手をついて耐えた。そうしたことで、彼がナニをしているかがよく見えてしまった。


見せつけるように舌を出し、敏感な膨らみを舐め上げる。


彼の視線は私を見上げていた。


見つめられたまま、何度も何度も舐められて、恥ずかしくて気持ち良くて、恥ずかしい。なのに、視線を逸らせない。


「あっ――、ん……っ!」


足に力が入り、彼の肩にしがみつくように膝が曲がる。まるで、もっとしてとせがんでいるようだ。


「こうゆう体勢だとイキにくいってホント?」


熟れた膨らみにちゅうっと吸い付きながら、太陽が聞いた。口の中に含まれながらも、舌先の動きは止まらない。


「知ら……なっ――」


「――じゃあ、検証してみよ」


そう言って目を細めると、太陽は指を蜜口に当てがった。


「それっ、だ――」


指で膣内を弄られながら膨らみを舐められると、もうまともな言葉は発せられない。


「ひゃ、あ……っ」


がくがくと膝が揺れる。


身体の筋肉や神経が太陽に与えられる快感に集中してしまい、身体を支えている腕に力が入らない。


「あ――、あん! やぁ……っ!」


腕が耐えられなくなって、私は身体を捻ってベッドに倒れ込んだ。


生温かな刺激が遠のき、蜜に濡れた秘部が冷気に晒される。


私は肩を上下させて忙しなく呼吸を繰り返した。


カチャカチャと彼がベルトを外す音が聞こえたけれど、反応する余裕もない。


閉じた足を再び開かれると同時に、身体が浮いた。


腰を持ち上げられて、ずいっとベッドの奥へと身体を押し上げられる。


太腿の下には膝を畳んで座る太陽の足があって、爪先が浮いた。

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