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#普通
野々さくら
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ありあ
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大まかな事情を聞き終えた龍河は、小さく息を吐き、改めて銚子へ向き直った。
「あと、お母さんには聞きたいことがあるんです」
銚子は静かに頷き、龍河の目を見つめ返す。
「なんでしょうか?」
龍河は一枚の資料を取り出し、そこに書かれた名前を指でなぞった。
「あなた、御船愛子・・これは間違いないですか?」
一瞬の沈黙。
銚子は迷うことなく答えた。
「ええ、間違いありません」
龍河は表情を引き締める。
「未解決事件調査隊の霊視コーナーで
あなたは一体、何を視たんですか?」
その問いに、銚子の表情が曇る。
唇がわずかに震え、視線が床へ落ちた。
言葉を探すように口を開きかけるが、声は出ない。
部屋を重苦しい静寂が支配した。
その空気を破ったのは忍だった。
「馬場、やめておけ」
龍河は思わず振り返る。
「え?」
忍は静かに首を横へ振る。
「人には触れてほしくないことの一つや二つはある
無闇に詮索するのは野暮ってもんだ」
龍河は言葉を失い、握っていた資料へ視線を落とした。
「編集長・・・」
その時だった。
銚子が静かに顔を上げる。
「いいえ」
まっすぐな眼差しで忍を見据え、穏やかに微笑んだ。
「話させてください」
忍は驚いたように目を見開く。
「お母さん・・・無理なさらなくても」
銚子はゆっくりと首を振った。
「私のせいで娘が危険に晒されて
あなた方にもご迷惑をおかけしました」
深く息を吸い、覚悟を決めたように言葉を続ける。
「みなさんには聞く権利があります
そして、私には話す義務があります」
その言葉に、信愛は思わず母を見つめた。
「お母さん・・・」
忍は静かに頭を下げる。
「ありがとうございます。ですがご安心ください
ここで聞いた話を記事にしたりはしませんので」
銚子は安堵したように微笑んだ。
「助かります」
隣で黙っていた多摩雄が、心配そうな表情を浮かべる。
「いいのか?銚子」
銚子は静かに頷いた。
「いいの・・・」
そして何かを思い出したように、ふっと顔を上げる。
「あ、あと大事なこと忘れてたわ」
信愛が首を傾げる。
「大事な事?」
銚子は優しく微笑み、佳苗と千歳へ視線を向けた。
「佳苗ちゃん、千歳さん」
二人の名前を呼ぶ声は、感謝で震えていた。
「信愛を救ってくれて、本当にありがとう」
そう言うと、銚子は深々と頭を下げた。
佳苗は照れくさそうに頭をかきながら笑う。
「信愛を助けるのは当たり前じゃん
それに私は座敷童子だもん」
その無邪気な返答に、さくらが吹き出した。
「きゃはは♬ホント気に入ってるね佳苗♬」
茜も笑いながら頷く。
「ほんとそれ(笑)」
佳苗は胸を張って笑顔を浮かべる。
「だって幸せあげるんだもん♬」
その明るい空気とは対照的に、千歳だけは俯いたまま、一言も口を開かなかった。
銚子は不思議そうにその姿を見つめる。
「千歳さん?」
ゆっくりと顔を上げた千歳の瞳には、自責の色が宿っていた。
「私はやっぱり悪霊なんですよ・・・」
部屋の空気が再び張り詰める。
銚子は思わず息を呑む。
「え?」
千歳は苦しそうに唇を噛み締め、震える声で続けた。
「私・・・信愛に止めてもらわなかったら
確実にあいつらを殺してたと思います」
千歳は俯いたまま、震える声を絞り出した。
「結局私はどこまで行こうと悪──」
その言葉を最後まで言わせることなく、銚子が優しく首を振る。
「あなたは悪霊なんかじゃないわ」
千歳はゆっくりと顔を上げ、戸惑いの表情を浮かべた。
「え?」
銚子は穏やかな笑みを浮かべる。
「だってそうでしょ?」
信愛へ視線を向けながら、一つひとつ思い返すように続けた。
「自分を救ってくれた信愛を、何度も助けてくれた
詐欺師の時も、事務所の時も、そして今回も」
再び千歳を見つめる。
「あなたは救ってもらった
恩を忘れずに人を助けられる子よ」
その言葉には迷いがなかった。
「そんな子が悪な訳ないわ」
信愛も力強く頷く。
「そうだよ、千歳」
朝陽も勢いよく前へ身を乗り出す。
「そ、そうですよ!」
焔垂も腕を組みながら笑みを浮かべた。
「確かに過去には人を襲ってた
かもしれないけど、過去は過去」
そのまま肩をすくめる。
「つーか千歳さんは被害者だったんだから」
仲間たちの言葉に、千歳の瞳が少しずつ潤んでいく。
「みんな・・ありがとう」
小さく呟くその声には、張り詰めていたものが溶け始めていた。
銚子は静かに息を吸い、改めて千歳を真っ直ぐ見据える。
「善悪で区別するなら、貴方は立派な善霊よ」
そして深く頭を下げた。
「過去の発言は訂正させてもらうわ」
千歳は目を瞬かせる。
「過去の発言?」
銚子は申し訳なさそうに目を伏せた。
「貴方に対して、危害を加える可能性がゼロではない霊が
自由に行き来出来る状況は非常にまずい
そう言った事を、ここで訂正させてほしい」
ゆっくりと顔を上げる。
「人を傷つけたという過去があるだけで
あなたに『悪』というレッテルを貼ってしまった」
その声は、心からの後悔に満ちていた。
「ごめんなさい」
千歳は慌てて首を横へ振る。
「いえ、そんな・・・」
すると佳苗が満面の笑みを浮かべ、勢いよく千歳へ飛びついた。
「千歳は全然悪なんかじゃないよ♬」
ぎゅっと抱きつき、頬をすり寄せる。
「私の大好きなお姉ちゃんだよ♬」
千歳は驚いたように目を見開き、それから自然と笑みをこぼした。
「ありがとう、佳苗」
そう言って優しく佳苗の頭を撫でる。
その光景を眺めながら、焔垂が微笑んだ。
「こうして見てると、本当の姉妹みたいだな」
茜も柔らかく笑う。
「確かに」
張り詰めていた空気はいつの間にか消え去り、部屋には穏やかで温かな時間だけが流れていた。
コメント
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うわ、この回は胸が熱くなりました…!龍河の詰め寄りから、忍のフォロー、そして銚子さんの覚悟の語りへと流れる展開が本当に自然で。特に、千歳が自分を責めるシーンでの銚子さんの「あなたは善霊よ」という言葉にはグッときました。過去の「危害を加える可能性がゼロではない」という発言を自ら訂正して謝る姿に、人の成長と変化を感じます。佳苗の「大好きなお姉ちゃん」発言も可愛すぎました…!この家族のような関係性、大事に育んでほしいです。