テラーノベル
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そこからは、あっという間に全てが終わった。
ぺいんとさんの葬儀は近親者のみで行ったらしい。僕らは参加しなかった。できなかった。
今日は墓参りに来ている。
約1ヶ月前、桜並木のそばで静かに眠る彼を見つけたとき、どれだけ焦ったか。どれほどに涙を流したか。
ぺいんとさんは、確かに笑っていた。
喫茶店で話してくれた、青い親友さん。救えなかった人。
きっとぺいんとさんは、その親友と共に旅立ったのだろう。
桜の木の下で。
でも、最期にお話したかったなぁ。
クロノアさんもトラゾーさんも、めちゃくちゃショック受けてたんだからね。
今でも思い出す度、目頭が熱くなる。
でも、もう切り替えないと。
涙はぐっと堪えるから。
それじゃ、さようなら。
ほんのひとときの幸せを、ありがとうございました。
貴方も、お幸せに。
「懐かしいな」
「今となってはいい思い出だよ、本当に」
明るい青に黄色がかった空、早朝の初夏。
まだまだ涼しくて、爽やかな風が通り過ぎてゆく。
いつか、君と競争した丘の上。
人生を大きく変えた、草原の中。
大きな一本杉の木漏れ日の下。
「彼らが心配?」
ま、そんなとこかな
結局置いてきちゃったから、申し訳なくて
「大丈夫だろ、ずっと見てたから分かる」
「先にいって待ってようぜ」
それもそうだな
深い青の彼が、俺の前に歩み出る。
「言ったろ?」
「俺はお前を、1人にしないって」
ああ、確かに言った
約束を守ってくれて、ありがとな
ずっと待っててくれて、ありがとう
さぁ___
「___いこう」
【おわり】
コメント
1件
完結おめ!! りとの書くrd pn新鮮でしたわ。 それが感動系とかなったらもう… ( ? )