🖤side
走って部屋に戻る。
胸の動悸が収まらない。
渡辺先輩って、全体的に細いけど、肩幅なんかは結構しっかりしてたかも。色が白くて肌もツルツルで綺麗だった。
首から下は誓って見ていない。
渡辺先輩もすぐ隠してくれたし。
男兄弟しかいないから、女性の裸には免疫がなくて、死ぬほどドキドキした。
机に向かい、普段そんなことは絶対にしないくせに、俺は参考書を取り出した。
🖤「明日の予習でもしよう…」
コンコン。
ドアがノックされ、ラウールが返事も待たずに入って来た。
🤍「めめ。何してるの?」
🖤「え!あ!勉強、勉強」
🤍「ふぅん?変なの」
ラウールは人の部屋だというのにズカズカと入って来ては、おもむろにリモコンを取って、テレビをつけた。
🖤「自分の部屋で見ろよ」
そう言いつつも、つい俺もテレビ画面に目をやる。テレビには、キラキラしたステージで歌って踊るアイドルたちが映っていた。
🤍「俺たちもなりたいね。あんなふうに」
🖤「なろうな。一緒にアイドルに」
二人でうっとりと画面を眺める。
俺たちは、伝説のアイドルになるためにこの学園へ入って来た。素乃学園は、教育機関でもあるが、知る人ぞ知る有名なアイドル養成所でもあるのだ。
その情報は一般にはあまり知られていないし、大々的に募集もされてない。
それでも全国から噂を聞きつけて駆けつけて来た練習生たちがこぞって中等部へ入学して来る。そして中学の3年間をかけてふるいに掛けられるのだった。
ラウールと俺は中学時代はそんなに仲良くなかったけど、お互いに高等部への進学が決まったのを知って友達になった。
そして、春休みに揃って入寮して、夜な夜な将来の夢について語り合った。
どんなアイドルになりたいか。
憧れのアイドルは誰か。
話は盛り上がり、あっという間に大親友になった。
あと3年。
あと3年をこの学園の厳しいレッスンに耐え抜けば必ず光溢れるあのステージに立てる。
高校入学時点で、伝統ある佐久間プロダクションへの入所は決まっている。
でも、一緒にデビューできるかはわからない。
芸能界に入ったら仲間ではなく、ライバルになるかもしれない。
それでも今は二人でこうして仲良く夢を目指して頑張りたい。
俺たちは熱い気持ちで、テレビを見つめていた。
コメント
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2人ともいい関係だなー😊⟡.·夢に向かって色々と勉強したり語り合ったりと‼️応援する‼️2人は絶対、アイドルになれるよ‼️