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【前回のあらすじ】
新人の西谷に『紫部屋』の意味を聞かれ、岳山は先輩の言葉を借りてごまかしつつ、203号室へ向かう。
「……203号室、ここだな」
部屋を開けて中に入る。
退室後の部屋は通常、ベッドの布団はグシャグシャ、ゴミはあちこちに散乱などとにかく散らかっているものだ。
そういう経験もあったのか、部屋を見渡した俺は違和感を覚える。
「どこも変じゃない」
そう、変じゃない。
むしろ普通の退室後の散らかった部屋だ。
呆気に取られていたその時だった。
?「岳山くん、何してるの?」
一瞬ビクッとしたが、すぐ後ろを振り返るとそこに立っていたのはここのホテルのオーナーだった。
「あっいえ今から掃除しようかなって…ははは」
そのような言葉が咄嗟に出たが、退室後の部屋だ。特に間違ったことは言っていない。間違っているのは『紫』の方だろう。
「あーそうかい。ところでこの部屋はモニターで何色だった?」
….!まさかオーナーからその言葉がでてくるとは!
面接時、俺はオーナーに対して『とても温厚な人』だという印象を持っていた。
だからこそ一度だけ『紫』について聞いたことがある。
しかし、オーナーはいつも温厚な笑顔を俺に見せたまま話を逸らした。
俺は怖くなった。
温厚のはずのオーナーの顔がほんの一瞬無表情になったのだ。
これは触れてはいけない話題だと本能で察した俺はそれ以来『紫』について言及していない。
そんな出来事があったのにもかかわらず、オーナーは先ほどの質問をしてきた。
間違いなく『紫』についてだ。
ここでどう答えるかでこの先の展開が変わりそうだ。
続く