私たちは先頭にある、操縦室に向かった
橙色の彼と一緒に歩いていると
『なんや、俺ら大変やなぁ…』
いつもと変わらないその声に私は少し腹が立った
なぜこんなことが言えるのか精神を疑った
そして、彼を見たとき、そんなことを考えた自分が馬鹿だと思った
彼は私をただ、安心させたかっただけなんだ…
いつものイタズラのような、優しいように笑う彼の姿はない
目に光が見えない…
彼自身絶望しているのだろう
そんな中でも、私のことを考えてくれている…
…本当に私は馬鹿だ…
よくよく思い返すと、先程の彼の声は少し震えていた気がする…
私は何も話せなくなった
2人ともただ歩いていると違和感を感じた
2人で辺りを見渡してみると違和感の正体が分かった
『…みんながいない…』
そう、クラスメイトが見当たらないのである
さっきまで聞こえていた泣き声、喚き声、怒り、悲しみ…全てが無になる
まるでそこには元からいなかったかのように…
しかし、足元を見てみると水が辺りに広がっている
これだけが先程までのクラスメイトがいた形跡になる
私はその水を見ただけでも安心してしまった
しかし彼は違ったようで
顔が真っ青になり、汗がすごい
彼は震えた声で
『…今…誰が操縦してるんだ?…』
と言った
私もハッとした
さっきまでいたクラスメイトのように操縦室の生徒も消えているかもしれない
誰も操縦していなければこの船は一体どうなってしまうのだろう
つい先程までの安心が一瞬にして恐怖へと変わってしまった
私たちは目を見つめあった後、一目散に操縦室に向かって走り出した
『…準備はちゃくちゃくと進んでいるか』
椅子に座っている男が聞くと、醜いカエルのような男が
『はい、もちろんにございます…ただいまほとんどの魂が集まりました』
場が冷たい空気に凍りつき
『ほとんどだと?』
座っている男は冷徹と言わんばかりの声で問い詰める
『はい、申し訳ございません…何者かに邪魔をされておりまして…早急に終わらせます…』
そう言うとカエルはどこかえ消えていった
『…邪魔…か…』
男は席から立ち後ろにある階段を登っていく
そこにはひとつのドア
中に入ると
真ん中にベッドが置いてある
『…まさか、お前の仕業ではないだろうな…』
…そこには…息絶え、深い眠りにつく醜く美しい姿があった
『…ははははっ…やはり、お前の仕業であろう…
…お前に何が出来る…
…ただ醜く、哀れな少女よ…
…私は…そんなお前が…憎くて仕方がない…』
男はそう言い放つが、何故か優しそうな手つきで少女の頭を撫でる
そして、顔を近づけ、少女の唇にそっとふれた
『…愛してる』
そう言い残し彼は部屋から出た…
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続き楽しみです! 無理せず頑張って下さい!
続き待ってます!ゆっくりでも待ってるよ!
誰なんだ……? 椅子に座った男は絶対悪役だと思うけど………続き楽しみにしてます!