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「今までの事を許してくれよ百合・・・お願いだ」
「ずっと前からあなたを許していたわ・・・」
彼女はさらにぴったりと肌を密着させて言った
彼女の言葉に隆二のまた胸が詰まり、涙がこみ上げてくる
「認めようとしなかっただけなの、いつまでもあなたを憎みつづけるなんて無理だったのよ、こんなにも愛してしまったんですもの・・・」
「ああ、百合・・・」
隆二の唇は再び百合の白い喉を伝い、指は肉にくいこむほど強く、彼女の体を締めつけた、妖精の滝で隆二が優しく彼女を導いたあの初めての夜と違って、今夜の二人は何年も心に鬱積していた気持を一気に爆発させた
「百合・・・俺の可愛い百合・・・」
「愛してるわ、隆二」
ああ・・・彼女にこの言葉を何度囁かれても飽きないし、言われる度に信じられないような新鮮な響きを感じる
「ごめんなさいね・・・この屋敷に来てからずっとあなたに辛く当たって・・・」
百合は隆二の腕に枕の中でそう言った
「俺に謝るなんて、よしてくれよ百合、当然の報いなんだ、言い訳はできないけど・・・」
「わかってるつもりよ、ずいぶん考えたわ・・・あなたも人間なんだ、神さまじゃないんだと思うようになってから、許せるようになったわ」
「神さま?」
隆二はぴくりと眉を上げ、さもおかしそうに瞳を輝かした
「そんな風に俺を見てたのかい?」
百合もつられて笑いだす
「最初はね・・・別世界から来た強くて魅力的なヒーローだと思ったわ、だからこそ簡単には許せなかったの、全部最初から計画していたことだと思ったんですもの・・・」
隆二の微笑が消えた
「そんなつもりじゃなかった! 誓ってもいい!!寝たきりの妻や・・・いろんな義務や責任しかない生活に嫌気のさしていた俺の前に・・・天使が現れたんだぞ、俺はその日のうちに君に恋に落ちた・・・いや落とされた、君に夢中になってしまった、他人に対してあんなに激しい熱い思いを抱いたのは、生まれて初めてのことだった」
ガバッと隆二が百合に覆いかぶさって目線を合わす
「君に沼る恋とはどんなものか教えよう、自分自身がどんどん深みにはまってしまって・・・ぬけ出せなくなってしまう感覚、君から離れなくちゃいけないとわかっていても・・・そう考えるだけで我慢できなかった」
百合は隆二にキスをした、綺麗な瞳が潤んでいる
「私一人被害者ぶってたけど、私にも責任はあるわ・・・私もあなたにのめり込んだんですもの」
隆二はフッと微笑んだ
「いや、百合・・・ やっぱり悪いのは俺だよ、まだ子供だった君に大人の愛を押しつけた・・・その結果がどういうことになるか、俺はよく知っていた・・・嘘はついていないつもりだったけど・・・結婚しているとも言わなかった・・・君の前で良い男でいたかったんだ、悪いのは俺だ」
「今はもう子供じゃないわ・・・」
「ああ・・・そうだな・・・愛している百合・・・」
「私もよ、隆二・・・」
二人はまた熱いキスを交わした、途端に隆二の股間が硬くなった、信じられない、彼女が相手だとこんなにすぐ回復するなんて・・・ああ・・・やっぱり彼女は俺の運命の相手だ、これからは本当に彼女を大切にしよう
隆二は百合をぎゅっと抱きしめた、そしてこれからの人生を考えた、これまでの自分は死んだ妻と出来ちゃった婚をしてから、会社と家族の責任だけで生きて来た、そして面白味の無いつまらない大人になってしまっていた
このまま面白くも無い仕事を生きていくためだけに、これからの一生を過ごすのなら、檻の中に入れられて生きていく様なものだと思っていた
そんな時に彼女に出会った、今は彼女がこの腕の中にいる、今までの苦労を思い出すと涙が溢れて来た、これからは彼女のためだけに生きよう、彼女と結婚して幸せな家庭を作ろう
こんなにも生きる気力を貰える・・・彼女の言うことなら何でも聞き入れよう
そう思った矢先・・・百合が隆二をじっと見つめて言った
「でも私・・・和樹も愛しているの・・・理解してね、ダーリン」