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次の日、栞ちゃんは昨晩のことをほとんど覚えていないようだった。お酒を飲みすぎたからだと栞ちゃんは言っていたが、普段一緒にいる時もあまりお酒を飲んでいない栞ちゃんが二日酔いだなんて信じられないような話だった。しかし、私は水野くんのことを栞ちゃんに早く話したくてウズウズしていため、あまり深くは考えなかった。そして昨晩のことを栞ちゃんに報告した。
「昨日ね、水野くんっていう男の子と仲良くなったんだ」
栞ちゃんはとても珍しいものを見たかのような顔になり、私に聞いてきた。
「楓が男の人と話すの珍しいね。いつも怖いからって近づかないのに」
私は水野くんは周りの男の子とは違ったと話した。それを聞いた栞ちゃんはもう一度驚いたような顔をして、何やらニヤついた顔で私を見て言った。
「なるほどね、楓は水野くんに恋しちゃったんだ」
自覚していたものの、いざ自分以外にに言われるととても恥ずかしくて、顔が真っ赤になってしまった。
私は洗いざらい全て吐かされた。連絡先を交換したことや、今週末に遊びに行くことまで全て。栞ちゃんは私に1つの提案をした。
「じゃあさ、一緒に勝負服買いに行こ!うんと可愛くなって、水野くんに告白しよ!」
告白は少し早いが、私も水野くんとのデートは可愛くしたい。センスのいい栞ちゃんが一緒に選んでくれることはとても心強かった。私達は2人の講義が終わった後ショッピングモールに行く約束をした。
正直、私は私服に自信がない。周りにもセンスがいいと言われたことはないし、もう少しどうにかしたらと高校時代遊びに行った友達からはよく言われた。自信がないことを栞ちゃんに伝えると栞ちゃんは私に似合うという服を何着か見繕ってくれた。その中でも私が1番素敵だと思ったのは、水色で花柄のワンピースだった。栞ちゃんも私に似合うと言ってくれて、私はそのワンピースを買うことに決めた。
ついに、日曜日。水野くんとのデートの日だ。私は栞ちゃんに選んでもらったあのワンピースを着て待ち合わせ場所に向かっていた。初めてのデートが楽しみすぎて家を早く出てしまったため、約束の時間の1時間前には到着してしまいそうだ。しかし、水野くんは私が待ち合わせ場所に着く前にもう来ていた。
「水野くん、遅れてしまってごめんなさい」
「大丈夫、まだ約束の時間になってないし」
「水野くんはなんでもういるんですか?」
「楽しみすぎて眠れなかったんだ、佐藤さんと遊ぶの初めてだし、佐藤さんも早くない?」
「私も楽しみにしていて、早く起きてしまったんです」
「じゃあ、一緒だな。そのワンピース似合ってるよ。可愛い」
水野くんに褒めてもらえたと内心大喜びの私だったがこのままだとニヤけてしまいそうで、慌ててお礼を言った。敬語が抜けてないまだぎこちない会話だが、私は恋人同士のような会話に胸をときめかせた。
その日、私達は水族館に行ったり、カフェでお茶をしたりして楽しく過ごした。いつのまにかお互いが名前を呼び合い、気軽に話すことができた。
私がふと時計を見ると腕時計は19時を指していた。
(もうそんな時間なのか)
颯くんと一緒にいると時間を忘れてしまいそうになる。このままこの日が終わらなければいいのにと思ってしまう。しかし、そうもいかずもう帰ろうかという話になった時だった。
「楓、俺と付き合ってくれない?」
私は耳を疑った。
(こんなかっこいい人が私を好きになってくれるわけない)
信じられなかった。颯くんは続けた。
「今日1日楓と過ごして、すごく楓に惹かれたんだ」
とても嬉しかった。その想いに応えようと私は返事をした。
「はい、こんな私でよければお願いします。颯くん」
その後、楓くんは送ってくれると言って私の横を歩いていた。ホテル街を通った時だった。颯くんは1つのホテルの前で急に止まり、私に聞いた。
「いい?」
一瞬、その言葉が何を意図したものか分からなかった。しかし、水野くんの恥ずかしそうだけど我慢できないような顔をみてようやくその言葉の意味が分かった。不安だった。今日付き合ったのだからもう少し後でもいいと正直思った。しかし、別に結婚してからじゃないと嫌という考えを持っているわけではないし、むしろ彼が私の処女を貰ってくれるのなら、喜びの方が強かった。
「いいよ」
私はただ、そう返した。
そこからは結構スムーズだったと思う。颯くんは私の慣れていない様子を気にすることもなくひと言、優しくすると伝えて私に触れてくれた。初めては痛いと聞いていたが、私は全く痛みを感じなかった。ひとつになれたという喜びと快感が全身を駆け巡った。今夜は人生で1番幸福な日だと直感的に思った。