テラーノベル
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家に帰ってからも、頭の中が静かにならなかった。
机にカバンを置く。
制服のまま椅子へ座る。
部屋はいつも通り。
時計の針だけが、一定の速さで進んでいる。
その規則正しさが、妙に落ち着く。
「……整理しよう」
小さく呟く。
今日あったことを、一つずつ思い返す。
屋上。
呼び出し。
犯人。
⋯らっだぁ。
そして、
『……被害者?』
あの一言。
全部おかしかったけど、一番引っかかったのはそこだった。
普通なら。
自分が殴られるかもしれない状況なら怖い。
逃げたい。
助けてほしい。
そう思う。
それが普通だ。
でも、らっだぁは違った。
怖がっていなかった。
我慢していたわけでもない。
慣れていた。
いや。
もっと違う。
「あれが……当然だと思ってる」
だから、
『普通じゃない』
そう言っても伝わらなかった。
価値観が違う。
そんな一言で片付けられる差じゃない。
「……どこから、」
いつから、そうなった。
何があれば、
“自分が全部受け入れるのが普通”
なんて考え方になる。
最初の屋上事件のとき。
あの頃には、もう始まっていたのかもしれない。
⋯あるいは、もっと前から。
「……積み重ね、か」
一回じゃない。
何年も。
何十回も。
“それが正しい”
と、学習してしまった結果。
そう考えると、全部繋がる。
そこまで考えて。
すぐに首を振った。
「違う」
違う。
説明はできる。
理屈は分かる。
でも。
だからといって、救える方法が分かるわけじゃない。
「⋯答えが出ねぇ⋯⋯」
机に肘をつき、額を押さえる。
原因は見える。
過程も見える。
解決方法だけが見えない。
「……なんで」
小さく笑う。
こんなことで笑う自分もどうかしている。
でも。
諦める理由にはならない。
「理解できないなら、」
窓の外を見る。
夜の街に、ぽつぽつと明かりが灯っている。
暗闇の中の、微かな希望みたいに。
「理解できるまで考えりゃいい」
それが自分にできることだ。
生徒会長⋯きょーさんみたいに引っ張ることも。
ゾム先輩みたいに真っ直ぐ寄り添うことも、たぶん俺はできない。
だから。
俺は考える。
あの人が、らっだぁが、自分で「助けて」なんて言える日が来るまで。
考え続けようと思った。
それが、俺があの人を救える唯一の方法だと思ったから。
NEXT=♡2000
コメント
2件
それが当たり前って思っちゃうの怖いねぇ、 続き楽しみに待ってます( •︠·͜•︡ )
田中なす@末
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田中なす@末
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らみょん
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