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私には、最近気になる人がいる。
その事を山下くんは勘づいていた。
【大山さんの事、気になってる?】
その日、山下くんとLINEをしていた。
正直図星だった。
山下くんとは、今までの事もあったし
バイトの事も誰にも話してないみたいだし
信頼はしていた。
デリカシー無いけど。
山下くんと大山さんはとても仲が良い。
多分、あのふたりが1番仲が良いと思う。
年上の先輩も言うのもあるが、社宅で約1年一緒に生活した仲だったからだと思う。
だから思い切って、言ってみることにした。
【少し】
そう返事をした。
【へーー、連絡先教えようか】
そう、山下くんから返事が来た。
【いいのかな、誰こいつってなんないかな】
【ならないでしょ。それにいつも音ちゃん音ちゃん言ってるし】
【え、私の事何か言ってた?】
正直、大山さんとはあまり会話した事がない。
と言うか、会わないしまず。
それなのに連絡先貰ってもいいのかな。
【知らね】
知らねって、、。
すると直ぐに、大山さんの連絡先も送られてきた。
【ありがとう。多分LINEしないけど】
【なんでよしろよ!】
【いやーー】
【俺がお前の手助けした】
【まあ】
【今度呑み行こう】
出たよ。
【はいはい。あてかさ、あだ名決めていい?】
私はそう送った。
【なんの?】
【山下くんの】
私はそう返事をした。
こんなに仲良いのに、山下くんって呼ぶのも違和感。
【いいけど】
【じゃあ、やまぴーで】
そして山下くんから帰ってきた返事は
【ださ】
だった。
あれから私は、勇気をだして大山先輩にLINEをした。
【山下くんから連絡先教えてもらいました。佐倉です】
と。
返事は割と速く返ってきた。
【おお、音ちゃん】
【LINEしても大丈夫ですか?】
【大丈夫だよ〜】
文字から伝わる優しさ。
それが大山さんだった。
大山 爽(おおやま そう)。
それが先輩の名前だった。
私の4つ上なので、現在25歳。
仕事が凄くできると、社内でも評判だった。
新人は、ほとんどが大山さんが教えているという。
朗らかで、顔から伝わるとても優しそうな先輩で。
面白くてノリも良い。
初めの印象が、とても良かった。
それから大山先輩と毎日LINEをした。
仕事の話、それからバーベキューの話も。
ついにそのバーベキューの日が明日になった。
集合は18時らしいが、その前にふたりでお出かけする事になった。
タピオカを飲みに行こうと。
私が今、絶賛タピオカブーム中。
大山さんもタピオカが好きなようで
おすすめのタピオカ屋さんがあったので、どうしてそこに連れて行きたかった。
大山さんとの集合時間は14時だった。
こんなにどきどきウキウキした気持ちになったのは、とても久しぶりだった。
14時。
大山さんと待ち合わせをし、おすすめのタピオカ屋さんを紹介した。
ご馳走してもらった。
「めっちゃ美味しいじゃん」
大山さんは、子供のように喜んでくれた。
その後、カフェに行って色んな話をした。
大山さんは、東京生まれ東京育ちの人で、18歳の頃からこの職業をしていて、今の職場が2社目だと言う。
18歳から働いてるなんてすごいな。
だからまだ25歳なのに仕事もできるのか。そう思った。
「音ちゃんは、山下の事が好きなの?」
「え?、」
にこにこ笑う大山さん。
「違うの?」
「いや山下くんとはただの同期で、仲良くしてもらってるだけです!」
「ほんと〜?この前横浜の方にも泊まったんだって?まあ俺、結婚式で帰れなかったけど」
「そうですね」
「俺は、音ちゃんが山下の事好きなのかと思ってた」
「いやいや!全然タイプじゃないんで」
そうはっきり答えた。
大山さんだけじゃない。周りもきっと、同じことを思ってるに違いない。
私達は本当に仲が良いから。
「でも、ふたりで遊びに行ったりとかしてないですよ」
それは事実だった。
すごく電話が来て、誘われるけど。
未だに全部断ってるし。
あの鍋パーティーは、大山さんもいるって聞いたから行っただけで。
例外だし。
「そうなの?」
意外!って言う顔をしている大山さん。
だけどこれで誤解が解けた。
私が気になってるのは大山さんであって、、
それからバーベキューの時間まで、沢山のことを話した。
とてもどきどきして、新鮮な気持ちになれた。
「山下からLINEきた」
大山さんはそう言った。
「今どこにいるかって」
すると、すぐに大山さんに電話が掛かってきた。
「山下だ」
「出てください」
私はそう言った。
「はい」
大山さんは電話に出る。
なんなのさぁーー、今ふたりでお茶してたのに。
「今ー??どこだろ〜」
笑ってる大山さん。
きっと、今どこですか、みたいな事をやまぴーが言ってるに違いない。
「さあーー?」
少しからかう大山さんを私は見ていた。
電話を切った後
「もう山下いるって」
と言った。
時計を見ると、まだ16時半だった。
「速くないですか?」
「なんか早く来いって言ってる」
「えーー」
「どうする?」
「じゃあ、、そろそろ向かいましょうか」
仕方ない。
私と大山さんはふたりで、やまぴーがいる場所へ向かった。
「あ、いたいた」
大山さんが見た先を私も見る。
すると先には、にやにやしているやまぴーと山村さんがいた。
山村さんは、大山さんの同期。
「こんにちは」
私は2人にそう言った。
やまぴーは私に
「どこ行ったん」
と言った。
「タピオカ飲みに」
とだけ答えた。
すると、少し雨が降ってきた。
「タピオカ俺も飲みたいなぁ」
と山村さんが言った。
「じゃあ今度行きますか?」
と、私は言った。
「えまじ!行きたい!」
とテンションが上がった山村さんだった。
「じゃあ、バーベキュー向かいますか」
大山さんがそう言って、私達4人はぼちぼち向かった。
大きな交差点を4人で渡る。
前に山村さん、私の右にやまぴー、左に大山さんが並ぶ。
「ねえ山下くん」
「山下くん?やまぴーだろ?」
と、やまぴーは言った。
皆の前で恥ずかしい。
「…明日私誕生日だけど?」
「知ってるよ」
「え、覚えててくれたの?」
「その為の今日だろ」
「え、そうなの?」
「俺カレンダーに書いてるし」
「え!なんで」
「いや、お前が俺のノートに書いてたんだろ」
「あ」
そう言えば、去年の新人研修の時、やまぴーのノートに私の誕生日を書いたような。
バーベキュー会場に着いた私達。
そこで待っていたのは、今年入った新入社員4人だった。
うち、ひとりは女の子。
後輩にはなるが、年齢は3つ上なのでなんとも言えない。
残り3人は男の子で、これもまた後輩だけどひとつ年上になる。
つまり、やまぴーと同級生。
「準備しますか」
買い出しに行ってくれた新入社員たち。
私達は、お肉やら飲み物やら準備を始めた。
「音ちゃん全然呑んでないじゃーん」
そう言ってきたのはやまぴーだった。
「なによ」
私は食べる専門だっての!
都心でのバーベキュー。
少し雨が降ったり止んだりしていたけど、景色もとても綺麗だった。
「最近仕事の方はどうなん」
やまぴーは私に話しかけてくる。
「別にー?」
大山さんと山村さんは、お肉を焼いてくれた。
「お前痩せた?」
「分かる?」
そう、私はあれから4キロほど痩せた。
仕事が忙しくて。
「なに?坂口になんか言われてんの?」
「坂口さんではないけど、」
坂口さんとは、私の10個上の上司である。
「じゃあ誰?」
「誰かな」
「俺が言ってやろうか〜?」
「いいし」
そういう事さくっと言っちゃうんだから。
やまぴーはお酒を呑みながら笑ってそう言った。
「そんなんだから彼女に振られるんでしょ」
「関係ないわ」
「ふーん?実家にはもう帰んないの?」
「あー、冬帰るよ」
「へー」
「一緒来る?」
またまたー
「行かんわ!」
私はやまぴーの顔も見らず、ただお肉を食べた。
その後は、みんなで楽しくバーベキューを終え駅に向かった。
雨がポツポツと降ってきた。
私が傘を差す。
山村さんは、傘を忘れたようだ。
すると大山さんが山村さんに自分の傘を渡し、私の傘の中に、肩を丸めて入ってきた。
「音ちゃん入れて〜」
それを隣で見ていたやまぴーが
「大山さん、ずるいっすよ!俺も入れてよ」
と言ってきた。
いやいや定員オーバーだし。
私が濡れるし。
「音ちゃんはどっちがいい〜?」
大山さんはそう言った。
「えっと、、」
究極な質問にとまどう。
「俺だろ俺」
自信満々に言ってくるやまぴー。
「…大山さんかな!」
と、私はどや顔でやまぴーに言った。
ちょっと凹んだ素振りを見せるやまぴーだった。
なんかそれが、面白かった。
するとやまぴーが、左側にあったお店を見て
「その店入ろーぜ」
と言った。
そこは、今流行りの人をダメにするソファで有名なお店だった。
「俺最近、これ買ったんすよ」
そう言ったやまぴーの指さす方向には、とても大きなクッションソファがあった。
「でかくね?」
大山さんが言った。
「これに座ってゲームできるし、寝れるんすよねぇ」
「これいくらしたの?」
「5万っす」
やまぴーと大山さんの会話を私は聞いていた。
「音ちゃんこれどう?」
そう言って、あたしにぬいぐるみ?を見せてきた。
そこには、この店のソファの素材を使ったぬいぐるみ?抱き枕?のような沢山の動物達が並んでいた。
「可愛いね」
と、私はやまぴーに言った。
「なんの動物が好き?」
と、やまぴーに言われたので
「んーー、くま?」
と答えた。
すると近くにいた定員さんが話を聞いていたのか、くまありますよ〜と答えてきた。
「くまもあるってよ〜、どれか選んで。誕生日プレゼント」
「え?」
「どれがいい」
「やまぴー買ってくれるの」
「いいよ」
とても嬉しかった。
「え〜なにがいいかなぁ」
優柔不断な私はかなり迷った。
すると
「じゃあ俺達が選ぶから、その中から選んで」
とやまぴーが言って
大山さんと山村さんとやまぴーがそれぞれひとつずつ、可愛いと思うぬいぐるみを手に取った。
んーー、この中でいちばん可愛いのは、、
「よっしゃ!」
私は3人の中からひとつ選び、結局その3人がお金を出しあって私に買ってくれた。
お店を出て私は
「ありがとう!」
と皆にお礼をした。
とても可愛いものをげっとした。
それは、やまぴーが選んだお猿さんのぬいぐるみだった。
「今日からこの子と一緒に寝るね!」
と皆に私は言う。
「これを俺と思って?」
と、やまぴーが言ったのを、私は無視した。