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それから数ヶ月が経った。
季節は冬へと向かっていた。
11月中旬。本格的に寒くなった。
そんな中私は
「大山さん!」
今日は、待ちに待ったデートなのです!
あれから、偶にLINEをし
今日は約束していた日だった。
「行こっか」
私達は駅に待ち合せた。
「ここから15分くらい歩くみたい。どうする??」
私はこの先に続く坂を見ながら大山さんに言った。
「歩いても良いし、ゴンドラ乗ってもいいし」
そう、私達は遊園地に来ていた。
目的は、イルミネーションを見に。
時刻はまだ16時で明るかった。
「時間もあるし、登ろう!」
私は歩いて遊園地に向かう事を提案した。
大山さんとの遊園地はとても楽しかった。
私が運転しながら、大山さんが動画を回しながらふたり叫んだゴーカートも
寒い中、待ち時間で沢山話したジェットコースターも。
どれも新鮮で楽しくて、とても幸せだった。
この人に、恋してるんだって思った。
「今日は、時間つくってくれてありがとう」
「こちらこそありがとう」
そう言って、私はこの日のデートを終えた。
それからというもの、大山さんとは月1のペースで遊びに出かけた。
3月25日。
今日は、大山さんの26歳の誕生日だった。
明日、朝早くからテーマパークへ行くので今日は、大山さんのお家に泊まる事にした。
一緒に料理をしたり、マリオカートをしたり。
今この時間が、とても幸せだと感じた。
今日は、今日こそは気持ちを伝えようと思った。
私達は、一緒に遊びに行くものの付き合ってはいない。
だけど、大山さんは私のことを好きでいてくれてる自信があった。
私が、好き?って聞くと、濁したようにいつも好きと言ってくれたから。
私は、横で目をつぶっている大山さんを見ながら
「大山さんが好きです」
「…」
「付き合って?」
と言った。
こんなにストレートに相手に伝えるのは、初めてだった。
凄く緊張した。
「…言わない?」
「え?」
大山さんはなにか考え込むかのように、そう答えた。
「会社の人に」
「あー」
なるほど。
「色々めんどくさいじゃん」
「うん!勿論!」
「じゃあ、約束ね」
「うん!」
私達は今日、付き合い始めた。
「俺さ、独立を考えてる」
「独立って?」
「会社を建てようかと」
「…」
そんな話を大山さんから聞いた。
「今の会社にいても、成長見込めないしね」
そうだった。
この人は、18歳から社会人になって
今ではすっかりベテランで、教えてくれる人よりも教える人になっていた。
「そうだよね、この会社にいたら大山さん勿体無いし!」
同じ会社じゃなくなるのは、少しだけ寂しかったりもした。
だけど、大山さんの成長のため。
私は応援したいと思った。
「でも上手くいくかも分からない」
「うん」
「失敗するかもしれないし」
「私は、大山さんを応援するよ!支えたい!」
隣にいたい。
「ありがとう」
大山さんは少し、か弱い声でそう言った。
私、勉強しよう。
独立するってどういう事なのか、どういう知識が必要なのか。
支えられるように頑張りたい。
私には、その選択肢しか無かった。
無いはずだった。