テラーノベル
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結衣の脅迫に屈した翌日の放課後。
駿は、誰もいない旧校舎の空き教室に連行されていた。
「よし、メガネとマスク外して! 制服の第一ボタン開けて、このパーカー羽織って!」
「う、うん……」
結衣はカバンから、私物の青いパーカーと……なぜか、青い革製の首輪(チョーカー)を取り出した。
「ちょっと水瀬さん!? これ、なんですか!?」
「何って、チョーカーだよ。今期の『今日好き』のテーマは“あざとギャップ”! 普段インキャな新堂くんが、こんなのつけてハニカミ笑顔作ったら、プロデューサー陣は一発でノックアウトよ! ほら、つけて! 笑顔!!」
パシャ、パシャパシャ!
スマホのシャッター音が響く。駿は死ぬほど恥ずかしかったが、秘密を守るために必死でカメラに視線を向け、少し照れたような笑顔を浮かべた。
――その結果。
「……受かっちゃった」
「よっしゃああああ!!! 一次審査合格!!」
数日後、結衣が勝手に応募した駿の写真があまりにも良すぎて、番組スタッフから速攻で『一次書類選考通過・二次面接のお知らせ』の通知が届いたのだ。喜ぶ結衣とは対照的に、駿は絶望で顔を真っ青にする。
「嘘だろ……。面接なんて行ったら一発でバレるよ……」
「諦めるのは早ーーい! 今日から二次面接に向けて『今日好きアピール特訓』を開始します!」
結衣は黒板にドン!と大きく『第一印象』と書き殴った。
「いい? 『今日好き』の面接で最も大事なのは、女子メンバー(面接官)をキュンとさせる第一印象のセリフと、スマートな誘い方! 今から私が女子メンバーの役をやるから、新堂くんは私を2ショット(2人きりのトーク)に誘う練習をして!」
「ええっ!? む、無理だよそんなの……」
「声が小さい! ほら、あの写真を撮った時の“あざと格好いい笑顔”を思い出すの! はい、スタート!」
結衣がツンとした顔で腕を組み、面接官(女子メンバー)になりきる。駿はゴクリと唾を飲み込み、あごのマスクを少し下げて、緊張で震える声を絞り出した。
「あ、あの……水瀬さん。さっき、海で目が合った時から、ずっと気になってて……。もしよかったら、後で僕と……2人きりで、話してくれませんか?」
恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、あの写真と同じ、守ってあげたくなるような、だけど真っ直ぐな瞳で結衣を見つめる。
「…………っ」
いつも強気な結衣が、突然言葉を詰まらせた。駿のあまりの破壊力に、結衣の頬がみるみるうちに赤く染まっていく。
「み、水瀬さん……? ダメ、かな……?」
駿が少し不安げに首を傾げると、結衣はバッと後ろを向いてしまった。
「あ、今の……今の笑顔とトーンは、ずるい……。完璧すぎて、私が心臓止まるかと思ったじゃん……!」
「え? 合格ってこと?」
駿はキョトンとするが、結衣は真っ赤な顔のまま、慌てて荷物をまとめ始めた。
「今日の特訓はここまで! 次は……次は『手繋ぎのタイミング』の練習だからね! 覚悟しときなさい!」
そう言って、結衣は逃げるように教室を飛び出していった。静かになった教室で、駿は
「手繋ぎ……?」
と呟き、自分の手を見つめて呆然とするのだった。
コメント
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わあ、第2話、もうめちゃくちゃ胸がときめきました…! 結衣ちゃんが強気なのに、駿くんの“あの笑顔”を前に真っ赤になって逃げ出すシーン、何度も読み返しました。あの「心臓止まるかと思った」は本心ですよね、きっと。手繋ぎ練習とか次回が待ち遠しすぎます! 新庄さんの描く距離感が絶妙で、こちらまで照れてしまいます🤍
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玲奈
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