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何も無くなったような気がした。
学校が終わって、何もせず帰る。
家は相変わらず誰もいなくて。
料理くらいしろよ、と思われるかもしれないが私は下手くそだった。
片付けが苦手だから、お母さんが作ってくれるのはありがたいけど手間がかかると言ってた。
だから家に帰ったらとりあえず、漫画を読んだりアニメ見たり。
今までの延長にどっぷりと浸かって、ただただその世界に入り込んだ。
でも、親が働いているのにこんなことしているのは申し訳ない。
だからバイトを始めた。
最初は週3の放課後の時間の少し。
でもまだ時間があるから+週5で別のバイトを始めて掛け持ちし始めた。
剣道みたいなスケジュールで働けばいい。
しかもお金が貰える。
剣道よりよっぽどいいじゃん。
私の気持ちはすごく明るかった。
月に1日しか休みがない時もあるくらいバイト漬けだったけど、
それでも夜友達とSkypeしたり、バイト終わりにみんなで集まって鍋したり。
ゆっくりと体の痣は見えるところから消えていった。
今、
私はかなりの幸せ者だと思う。
友達にも恵まれてるし、仕事の同期も仲良い人に巡り会えて、好きな仕事の先輩と結婚した。
しかも背が高い。
今まで会った人間の誰にも感じたことがない、カヲルくんを一目で好きになったあの感覚を3次元で味わった。
それが今の旦那さんになった人。
この人は私の話を聞いて、
「大変だったね」
「普通?どの辺が?」
「俺がどれだけ平凡な人生だったか身に染みました」
と笑った。
決して「可哀想」とは言わなかった。
結婚して10年。
色々変化はあるのだけれど、
子供の頃に受けた記憶は忘れない。
むしろ時間が出来ればできるほど鮮明に、色濃く、思い出すこともあって、その“痣”は簡単には消えない。
自分より上の年齢の人を「大人」
下の人を「子供」
と私はよく言うのだけれど、私の周りの大人はたぶん幼すぎたのだと思う。
年齢重ねていくにつれて、また変化もあって、いい人になっていく人も多いだろうし、親というものも子供と一緒に成長していくものであって、生まれた瞬間から完璧は無理。
私のたかだか30年足らずの人生で、これを語るのはおかしいかもしれないのだけれど、
相手を人だと思っているだろうか?
聖人君子や神様のような存在が善と思いがちな気がするけれど、それを他人へ押し付け過ぎてはいないだろうか。
悲しいと思ったのは、
昼のワイドショーで母親が「子育てに疲れたから1人にして欲しい」って言ってる!とあたかも世間で当然かのように言っていて、その母親を1人にさせてあげる方法を考えていかないといけませんね。とやっていたこと。
これを見た子供は何を思うと思いますか?
大人ですよね。
子供の気持ちくらい読み取りましょうよ。
うちの子はそんな風に思わない!
そう思わないように躾けたのお前ら大人だから、蓋をするなんて簡単です。
子供を舐めないでください。
そんな苦しいなら子供産みたく無くなる。
じゃあ産まないでください。是非。
産まれたって、親が求めていない自分を子供が1人で奮起するためには地獄のような苦痛しかありません。
人生が楽しいかどうか、これは本当に分からないものですが、ただ毎日、好きな人と笑ってご飯食べて喋って寝て。
これだけでもかなり幸せなことだと思います。
暴力は良くないだとか、性犯罪がどうだとか、ネグレクトだとか正直どうでもいいんです。
ただお願いだから、
子供が1人で唇を噛み締めた時の顔だけは親がちゃんと見れる距離にいてあげてください。
近すぎても遠すぎてもわからないその距離をちゃんと保って。
それが我々、大人の役目で、下手な能書きもくだらない知識も要りません。
この物語を「可哀想な子」ではなく、
「自分が関わるべきだった子」として読んでください。
どうしてあげたら良かったのか。
この子は何を望んでいたのか。
何が最善だったのか。
そして、もう二度と、
どんな子も“独りで唇を噛む”ような思いをしないように。
私たち“大人”が、それを防げる存在でありますように。