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いきなりプライベートな質問をしてしまった。
「ああ、そうだよ」
「えっ、あっ、ああ、や、やっぱりそうですよね」
自分で聞いたくせに心臓がバクバクしている。
動揺で顔が引きつっていないか心配になる。
こんなイケメンに彼女がいないわけがないのだから、当たり前の答えが返ってきただけだ。
「って……本当は言いたいけどね。残念ながら違うよ。僕には彼女はいないから」
えっ……ええっ!!
そ、そうなの? 本当に?
彼女がいるの、いないの、どっちなの?
確かに店長には彼女がいないとみんなが噂していたけれど、本当のところは謎のまま。もちろん独身だということは事実だけれど、好きな人がいるかどうかまでは……誰も知らなかった。
「あの……綾井店長なら素敵なお相手がいらっしゃるのかと思っていました」
真意を確かめるように言葉を続ける自分を、少しいやらしく思った。
「素敵なお相手か。そうだね、いるといいんだけどね。でも、本当にいないんだ。30歳を越えたいい大人だから、結婚相手がいても不思議じゃないのに……寂しい男だよね」
寂しい男なんて……
店長の口からそんなことを言わせてしまったことにハッとし、あまりにもプライベートな質問だったと反省した。
「で、でも、うちの店の女性はみんな店長のファンですし、来店されるお客様も店長と話す時はみんな目がハートになってますから。この間なんか、ものすごい美人のお客様が『店長さん素敵ですね!』 って言ってたんですよ~。私、勝手に、すごくお似合いだな~なんて思ってたんです。だから、綾井店長ならいつでもすぐに彼女ができます! 私が保証します!」
私ごときが店長を励ますなんて100万年早い。なのに、あたふたしてベラベラと喋り、もしかして綾井店長に嫌われてしまったかも知れない。
「ねえ、琴音ちゃん。こっち向いて」