赤side
入院開始日から数週間が経った。
最初の頃は不安でここから出たくて沢山桃くんに言葉を伝えていたけど一行に出れる気配はなくて、無駄足掻きをしても疲れるだけだと最近は自分の気持ちを抑えて過ごしている。
今日は院内学級へ登校する日。
桃『赤おはよ』
赤『おはよ…、』
桃『今日は行けそう?』
赤『う、ん』
桃『しんどくなったら先生に言って戻ってきていいからな』
赤『わかった…』
・
桃くんが病室を出ていってから布団でゴロゴロしていると青ちゃんが入ってきた。
青『赤くーんおはよう』
赤『おはよ…』
青『緊張してる?笑』
赤『んー、』
青『教室まで一緒に行こうかなって迎えに来たんだけど行けそうかな?』
赤『うん…』
青『じゃあ行こうね』
青ちゃんと一緒にまだ把握しきれてない廊下を歩く。
赤『ね、ねえ』
青『んー?』
赤『筆箱とか持ってないよ』
青『筆箱もノートも教科書も教室に置いてあるから大丈夫だよ〜』
赤『そーなんだ、』
・
青side
朝桃くんに言われた通り赤くんの顔をベットで見た時からずっと表情が曇ってた。
本人が行こうと思ってることは凄いことだから無理に止めず肯定してあげる。
赤くんと話しながら教室へ向かった。
青『ついたよ』
赤『…うん、
緊張から服をぎゅっと握って声も震えてきちゃってる。
青『僕も少しだけ一緒に居ようか?』
赤『…うん、』
まだまだ暗いけど一瞬表情が明るくなった。
青『ちょっとまっててね』
ナースステーションと繋がる携帯電話のようなもので赤くんの傍に居ることを伝える。
青『よし、行こっか』
赤『…こく』
僕の手をそっと掴んできて優しく握り返してあげると僕の歩幅に合わせて歩いてくれた。
・
赤side
がらがらと音を立ててドアが開く。
教室内を見ると俺のドアの音に気付かず課題に集中する人も居れば俺の事をガン見する人も居た。
遅れてきた俺が悪いけど視線が怖くて息が詰まる。
青『赤くん大丈夫だよ。少し向こういく?』
先『あ、貴方が赤くんなんだね〜!』
先生らしき人が俺の目の前に来て目線を合わせて話し始めた。
青『ちょっと人見知りで…笑』
先『青さんとは知り合いなんだよね!』
赤『…こく、』
先『うんうん、じゃあ自分の席いけるかな?』
赤『…、』
ぎゅぅっと青ちゃんの手を握る力を無意識に強めてしまう。
青『僕も少し一緒に居る約束をしたんですけど隣に居ても大丈夫ですか?』
先『いいですよ〜』
許可が出て良かった。
先『じゃあ、黄くんの隣に座ってもらおうかなぁ』
先『黄色い髪色の男の子の隣座ってね』
黄色い髪の人を探すとその子と目が合った。
席に着くと男の子が会釈してくれた。
俺も会釈すると男の子はさっきまで解いてたであろうプリントに戻る。
先『じゃあ赤くんはこのプリントやってね!分からなかったら私に聞いてね』
赤『…はい、』
問題を見ると数学の問題だった。
勉強は苦手で教えて貰ってもすぐ忘れてしまうからこの単元も覚えてない。
前半は簡単でスラスラ解けていたけれど7問目から難しくて手が止まる。
聞きたいけど緊張して聞けない、。
<とんとん>
青『難しそう?』
青ちゃんが小声で声をかけてくれた。
赤『…こく、』
青『先生呼んで教えてもらう?』
赤『…、』
青『今日は特別に僕が教えてあげるね』
それから30分間、青ちゃんに教わりながらプリントを解いた。
先『はーい、終了です!みんな頑張ったね〜!』
プリントが回収されていく。
青『赤くんもお疲れ様!』
赤『うん、、』
青『次は僕居ないかもしれないから先生に聞くんだよ?』
先生に聞ける自信が全くと言っていいほど無い。
黄『ぁ、あの…、』
赤『ッはい、』
黄『僕も分かるので教えられます、』
赤『え…』
青『良かったじゃん!赤くん!』
赤『うん、っ』
黄『僕、黄って言います、高校2年生です!』
同い年だ…!
赤『お、俺も、2年生だよ』
黄『…!そうなんだ』
黄『同い年の男の子居なかったから嬉しいな、』
赤『…俺も、!』
黄『赤くんって漢字得意…?』
赤『苦手ではないかな、』
黄『ほんと…!僕漢字苦手だから次の時間で分からない時聞いてもいいかな、』
赤『いいよ、!』
先『じゃあそろそろ国語やるよ〜』
青『赤くん!他の患者さんの所行かなきゃいけなくなっちゃったから行ってくるね?』
赤『う、うん、』
青『また終わる頃に迎えにくるね』
迎えに来てくれるなら頑張ろう、
・
その後も黄くんに教えたり教わったりしてお昼の時間になった。
黄『赤くん、!』
赤『ど、どうしたの?』
黄『お昼、一緒に食べてもいいかなって、』
赤『いいよ!』
相手からお願いされるなんていつぶりだろう。
嬉しい。嬉しい嬉しい。
黄くんと話していると青ちゃんが来てくれた。
青『赤くんお疲れ様!』
赤『おつかれ、さま…?』
後ろに居るの誰だろう…
黄『橙さん!』
橙『おお〜、黄ちゃんお疲れ様』
黄『僕ね、お友達できたんです』
橙『そーなん!良かったなぁ』
黄『ごはんも一緒に食べます!』
黄『ね?赤くん』
赤『うん、食べる、!』
青『そうなんだ、じゃあ僕も一緒に居てもいいかな?』
赤『いいよ!』
黄『いいですよ、!』
橙『じゃあ青ちゃんに頼んだわ〜宜しくな』
黄『え、橙さんも一緒じゃないんですか、』
橙『ごめんなぁ、別の患者さんと約束してんねん』
黄『そうなんですね、』
橙『ほら!食べる時間なくなるで?』
黄『あ!忘れてた、赤くん一緒に行きましょ』
・
青side
お昼ご飯の時間になった頃、赤くんの居る教室を覗くと黄くんと会話していた。
表情も柔らかくなっていて安心。
橙『びっくりやな、』
青『っびっくりした』
橙『ごめんごめん笑』
青『何がびっくりなの?』
橙『あんな人と喋る黄ちゃん見たことないで』
青『そーなんだ、』
橙『入院したての頃は誰とも話せんくて担当の俺でさえちゃんと会話ができたの1ヶ月かかったわぁ』
青『成長だね、』
橙『せやなぁ、』
橙『トラブル起きんとええなぁ』
青『ほんとにそう。』
赤くんと黄くんの会話が落ち着いた所で赤くんに近ずいた。
・
数週間後。
赤side
院内学級に通い始めて黄ちゃんと仲良くなれた。
授業以外でも病棟のソファーが沢山ある所でお話したり軽いゲームをしたり。
今日も黄ちゃんと授業終わりに遊ぶ予定なんだっ。
青『赤くんおはよー』
赤『おはよ!』
青『今日は院内学級の日だけど行けそう?』
赤『黄ちゃん来るって言ってたから行く!』
青『お、そっか!仲良くなれて良かったね〜』
赤『うんっ』
・
朝ごはんを食べて支度をする。
支度と言っても着替えるだけだけど。
青『赤くん行こっか』
赤『うん!』
1人で行こうってチャレンジしたけどやっぱり迷子になって辿り着けないから青ちゃんに送り迎えをしてもらってる。
青『じゃあまた迎えに来るね』
赤『うん、いってきます!』
青『はーい、行ってらっしゃい』
がらがらっと音を鳴らして教室を入るとまだ黄ちゃんの姿は無かった。
遅れるなんて珍しいなと思いながら鉛筆と消しゴムを持ってプリントを見る。
解いていると分からない問題に当たった。
いつもなら黄ちゃんに聞くけど今は居ない。
なんで来ないんだろう。
嘘つかれた、?
俺ちゃんと来たのに。
なんで。
赤『…ッ』
黄ちゃんを探さなきゃ。
もしかしたらどこかで倒れてるかも。
じゃないと許さない。
赤『せんせ、』
先『赤くんどうした?』
赤『トイレ行ってきます』
先『行ってらっしゃい、場所わかる?』
赤『もう覚えました、』
・
黄ちゃんを探すために廊下を歩く。
知らない看護師さんを見つけた。
看『あら、どうしたの?』
赤『黄くんと話す約束してたんですけど、部屋どこでしたっけ、』
看『黄くんね〜、こっちだよ』
案内された病室の名札には黄ちゃんの文字があった。
入るか迷っていたらいつの間にか看護師さんはいなくなっていた。
とことこと病室に入るとベットで寝ている黄くんを見つけた。
赤『黄ちゃん!』
黄『…ぇ、』
黄ちゃんは目を丸くして驚く。
でも起き上がってはくれなかった。
赤『なんで来てくれなかったの!』
赤『約束したじゃん!』
黄『ぇ、ぁ、ごめ、ッ、』
黄『手、血でてるッ、』
黄『はっ、かひゅっ、』
〇『え!どうしたの2人とも!』
・
青side
院内学級の先生から赤くんが帰ってこないと連絡があった。
赤くんの病室もトイレも見たけどどこにも居ない。
黄くんが休みだって聞いて嫌な予感がした。
黄くんの病室へ向かうと途中で紫さんとたまたま合流した。
紫さんな黄くんの担当医で朝から鬱状態が酷く様子を見に来たそう。
病室に着きベットを見ると、
泣き喚く赤くんと過呼吸気味な黄くんが居た。
青『どうしたの2人とも!』
紫『黄くんは赤くんの血で発作を起こしてるから別の部屋に移そう』
紫『黄くん〜大丈夫だよ〜』
赤くんをこの部屋から出さなきゃ。
青『赤くん一旦外出ようね』
赤『やだ!黄ちゃん嘘ついたの!』
赤『俺のことはめようとした!』
赤『俺頑張って行ったのに!!!』
青『そうだね、頑張って行ったね、』
青『1回外で落ち着こうね』
黄くんにこれ以上負担をかけてはダメだと、少し無理やりだけど赤くんの手を取って外へ出た。
・
赤『離してよ!』
赤『どうせ黄ちゃんは俺との約束なんてどうでもいいんでしょ!』
青『そんなことないと思うなぁ、』
赤『嘘だ!』
青『赤くん落ち着くお薬飲もっか、』
赤『やだ!飲まない!』
赤『黄ちゃんなんか、!だいk…』
暴れないように抑えるので精一杯で口を抑えられないと焦った時、さっき呼んだ桃くんが来て口を塞いでくれた。
赤『んー!!!』
桃『赤、思ってないこと口にしないの』
桃『とりあえずこれ飲んで』
赤『やだ!飲まないってば!』
桃『水で飲まないと苦い液体口に入れるよ?』
赤『ん゙ぅー!』
数分かかったが桃くんの持つ水で薬を飲んでくれた。
桃『ん、えらい』
青『偉いね赤くん』
赤『ゔぅ、ひくっ、』
赤『黄ちゃん嫌いになっちゃったかなッ、ぐすっ』
桃『話聞いてあげるから部屋いこうな』
そのまま診察をしちゃうっぽいので赤くんの対応は桃くんにバトンタッチして腕の手当ができるものを取りに行った。
・
桃side
病室につき赤を座らせる。
多分数分後には腕の手当をしに青も戻ってくるだろう。
桃『何があったか話せる?』
赤『…、』
桃『黙ってちゃわからんよ』
赤『黄ちゃんは俺の事好きじゃないんだよ、』
ぜろひゃく思考になってしまうのも病気のせい。
赤『酷いこと言っちゃったし、。』
桃『そうだな、確かに黄くんは赤の言葉にびっくりしたし傷付いてしまったかもしれない。』
まだ酷いことをしてしまったという自覚があるのが救いだ。
桃『赤は黄くんが教室に居なくてどう思ったの?』
赤『不安だったの、裏切られたから、嫌われたかもって、』
桃『そっか』
桃『黄くんは今日朝から体調が悪くて紫先生が学級休ませたんだ』
桃『だから黄くんが休みたくて休んだことじゃないのはわかる?』
赤『うん、…』
ぽろぽろと涙を流し始めた。
赤なりに理解をして反省してるのだろう。
桃『赤が不安になりやすいのも全部病気のせいだから、病状が安定したらきっとその気持ちも少なくなる。』
赤『…ぐすっ、』
しんどかったなと頭を撫でると病室のドアが開いた。
青『赤くん腕の手当してもいいかな?』
引っ掻いたことによって瘡蓋になった古傷から血が出ていた。
赤『やだ、』
青『どうしてかな』
赤『このままがいい、』
桃『赤どうして?』
赤『見てたいの、』
自傷癖は治らないか、。
きっと傷口を見ると安心するのだろう。
桃『でもそのままにしてたら傷口に菌が入って膿むぞ』
赤『それでもいいもん、』
青『本当は絆創膏でいい傷だけどガーゼで固定してあげる、それだとどう?』
赤『…うん、いいよ』
絆創膏はダメでもガーゼや包帯なら良い。
きっと心の傷の重さを可視化したいのだろう。
青『桃くんもいい?』
桃『…いいよ』
後々直さなきゃいけないが今はそれで落ち着くならそうしてあげようと青の提案は否定しないことにした。
・
赤side
青ちゃんに傷の手当をしてもらって気が付けば夜ご飯の時間になっていた。
ご飯を食べて横になる。
今度黄ちゃんに会ったら謝ろう、。
・
数日が経ち、黄ちゃんに会えるかもって毎日学級へ行ったけど一日も黄ちゃんは来てくれなかった。
先『今日はこのプリントやろうね』
赤『…、』
プリントを見て解こうとするけど頭が回らない。
黄ちゃんに嫌われた。
だから来てくれない。
赤『はぁっ、はぁ、』
離れられた。
今度こそ仲良くなれると思ったのに。
赤『はぁっ、はひゅっ、はっ、』
先『赤くん!大丈夫だよ、落ち着こうね』
息ができない。
もういやだ。
赤『ぃやッ、はっ、かひゅっ、』
青『あかくーん!大丈夫だからねえ、』
青ちゃんだ、
青『深呼吸しよう!』
赤『はぁっ、はっ、ごほっ、』
慣れない呼吸で深呼吸を数回繰り返す。
赤『すぅ、っ、はっ、けほっ、』
青『そうそう、上手だね』
赤『すぅっ、はぁっ、』
赤『んぅ゙~ 』
涙が止まらない。
こんなことしたくないのに。
青『大丈夫大丈夫、今日は病室戻ろうね』
青ちゃんと手を繋ないで病室へ戻る。
・
青side
ナースステーションで作業をしていると院内学級からナースコールが来た。
急いで向かうと過呼吸を起こした赤くんが居て即座に対応する。
最近元気なかったからなぁ。
赤くんを落ち着かせると唸りながら泣きだしちゃった。
病室に戻してベットの上に寝かすと涙を流しながら髪の毛を引っ張る。
赤『ゔぅ、』
青『赤くん頭痛くなっちゃうよー、』
髪の毛を引っ張るのを辞めたと思ったら今度は昨日付けた傷を掻きむしる。
青『赤くん、ダメだよ』
青『血が出ちゃうよー?』
赤『うぅ゙、!』
赤くんの手を抑えながらナースコールを押した。
来てくれた看護師に桃くんを呼ぶように伝える。
数分後に桃くんが来てくれた。
桃『おまたせ』
桃『この状態になって何分ぐらい?』
青『10分くらい、中々落ち着かなくて』
桃『赤ー?聞こえる?』
赤『ゔぅー!』
桃『一旦手離してみて』
離した途端にまた古傷を引っ掻き始めた。
桃『赤ー、血でちゃうよ』
桃『だめだね、ミトン付ける』
桃くんが赤くんの手を握ってる間に急いでミトンを取って病室へ戻る。
青『おまたせ、』
桃『ありがと』
赤『やだぁ゙ッ!うぅ゙!!』
ミトンを手際よく付けて赤くんを解放してあげた。
桃くんが疲れちゃうからと頓服を飲ませてから医局へ戻って行った。
僕は赤くんが落ち着くまでそばにいることにした。
数十分後に赤くんがだんだん落ち着いてきて言葉もしっかりしてきてくれた。
赤『なにこれ!取って!!』
青『赤くんが体を傷付けちゃうから一時的に付けたの』
赤『もうしない!外してよッ!』
青『ごめんね、今日は付けさせてね』
青『今日は何が不安だったのかな?』
赤『…、ッ』
赤『わかんない!』
青『そっか、』
赤『うぅ゙ー!』
青『どしたどした、』
赤『きいちゃん来てくれないの!』
赤『おれ謝りたいのに!』
赤『きいちゃん離れていっちゃう!』
大号泣しながら教えてくれた赤くんの本心。
絶対に救くってあげたくてメモをする。
青『赤くんは黄ちゃんと仲良くしたいの?』
赤『したい…、でも嫌われちゃったの、!』
青『じゃあ、橙くんにその気持ち僕から言ってみてもいいかな』
青『赤くんが仲良くしたいんだって伝えたら黄くんも安心すると思うんだよね』
赤『…わかった、』
青『ん!ありがとう』
青『少し経ったら夕飯だからまた戻ってくるね。』
赤くんの病室を出て、橙くんの元へ行く。
・
青『あ、橙くん』
橙『おー、青』
青『ちょっと聞いて欲しいことがあって、』
橙『どしたん?』
青『赤くんが黄くんに謝りたいんだって』
橙『そっか〜、』
青『赤くんなりに葛藤して反省してまた黄くんと仲良くしたいんだって教えてくれたんだよね。』
青『その決意も気持ちも無駄にしたくなくて。』
橙『なるほどな。わかった。紫ーくんに聞いてみるわ』
青『ありがとう』
青『黄くん大丈夫そう?』
橙『うーん、最近鬱状態酷かったけど昨日今日は割かし安定してる』
橙『学級には行きたくなさそうやけど、』
青『そっかそうだよね、。』
橙『まあ赤くんと和解できたらまた行きたいって思うやろ』
青『そうだね、それを願うよ。』
・
夕食を持って赤くんの元へ戻る。
青『失礼しまーす』
赤『…』
青『どうしたの、しんどかった?』
手が使えないストレスからか腕が噛み跡でいっぱいだった。
赤『…、』
ぽろぽろと涙を流す赤くんの背中をそっと摩る。
青『ごはん食べれそうかな?』
赤『…、』
青『今日は豆腐のハンバーグだって~』
青『ほら、あーん』
口に近ずけるとパクッと食べてくれた。
ミトンが着いてて手が使えないから特別にフォークを貰ってきて僕が食べさしてあげる。
もぐもぐと小さな口で食べる赤くんにゆっくり食べさせる。
半分ほど食べた時、スプーンを近ずけても口を開けてくれなかった。
青『お腹いっぱい?』
赤『…こく、』
青『そっか、半分食べれたね、えらいえらい』
青『トレー戻してくるね』
トレーを戻して病室に戻るとまた赤くんが腕を噛んでいた。
青『ストップだよー、』
赤『んっ、ん゙ぅ、』
青『頭モヤモヤしちゃうね、嫌だね、』
ぎゅっと抱きしめて体を揺らしたり、両手を握ってマッサージしたり、少しでもリラックスできるように自分に出来ることをしてみた。
赤『…うぅ、』
青『お薬飲む?少しモヤモヤなくなると思うよ』
赤『…のむ、』
青『持ってくるから待っててね!』
珍しい、自分から薬を求めるなんて。
薬を貰うために医局へ向かう。
青『失礼します、桃先生いらっしゃいますか?』
桃『んー、どした』
青『赤くんが20分ぐらい落ち着きなくて色々マッサージとかしてたんだけど薬欲しいって言われたからさ』
青『ミトン付けてるから腕を噛んで自傷してる』
桃『わかった、薬持ってく』
・
赤side
ずっとモヤモヤする。
色んなことを考えては自分へ嫌悪感が溢れて。
いつもならリストカットをして収まっていた感情が自傷できない今、制御が出来ない。
青ちゃんに色々やってもらったけどずっと気持ちは変わらない。
しにたい。
その言葉が頭でいっぱいになる。
薬を飲んだら少しは楽になるのかな、。
・
桃『赤ー』
赤『…、』
桃『今どんな気持ちか言える?』
赤『…、しにた…い』
桃『そっか、』
桃『少し気分が安定する薬飲もうかね』
青『はい、お水ね』
赤『…ごく、』
桃『飲めたな』
桃『また何かあったらナースコール押して』
青『おやすみ赤くん』
桃『おやすみ』
赤『おやすみ、』
桃くんが俺の頭を撫でて部屋から出て言った。
ベットに入り目を瞑るとすぐに眠りに落ちた。
・
桃『赤おはよー』
赤『…ぅ、』
桃くんの声で目が覚める。
いつも桃くん達が来る前に起きてたのにな。
赤『…?』
桃『赤声出せる?』
赤『ぁー、』
桃『俺のことわかる?』
赤『ももく、』
桃『ん、良かった』
桃『めっちゃ寝てたね』
手元を見ると変な手袋は外されていた。
桃『少し頭すっきりした?』
赤『うん、した』
桃『良かった。多分よく寝たのは薬の副作用だろうな』
桃『心を落ち着かせる代わりに眠気が強くなる』
赤『そうなんだ、』
桃『今日は院内学級行けそうか?』
赤『…ッ』
色々思い出す。
いやだなぁ。
桃『黄くんが話したいってよ赤と』
赤『…ほんと、?』
桃『おん、俺はそう聞いた』
桃『紫先生と俺と黄くんと赤で話そうってことなんだけど赤はどう思う?』
赤『大丈夫…、だけど』
桃『だけど?』
赤『また、傷付けちゃうかも、ッ』
桃『んー、1回話す時に心の中でもいいしリアルでもいいから深呼吸して、今から言う言葉を聞いて相手はどう思うか考えてから話すといいよ』
赤『…わかった、』
桃『ん、えらい』
赤『…俺が変なこと言いそうになったら止めてね、』
桃『赤が自分で止めれなそうだなって思ったら止めるよ。』
赤『わかった、』
桃『10時半ぐらいに約束してるから飯食べちゃいな』
赤『こくっ、』
・
ごはんを食べ終わって着替えをした。
黄ちゃん怒ってるかな。
黄ちゃん呆れてるかな。
黄ちゃんのこと傷付けちゃったんだ、。
黄ちゃんのことまた傷付けちゃうかも。
<とんとん>
桃『赤聞こえる?』
赤『ぇッ、はぁっ、けほっ、』
桃『深呼吸しような』
無意識に息が上がってた。
桃くんと深呼吸をすると少しずつ落ち着いてきた。
桃『吸ってー、』
赤『すぅー、っ』
桃『吐いてー』
赤『はぁっー、、』
赤『すぅー、はぁー、っ』
桃『落ち着いた?』
赤『…こく』
桃『何があったの』
赤『…こわい、』
桃『怖い?』
赤『黄ちゃんと、会うの…』
桃『そっか、どうしてか分かるか?』
赤『絶対俺の事嫌いなんだよ、』
桃『嫌いだったら話したいなんて向こうから言ってこないんじゃない?』
赤『…でも、』
桃『赤は黄くんに何を伝えたいの?』
赤『謝りたいの、』
桃『じゃあ、まずそれを伝えな』
桃『嫌われてるのか嫌われてないのかはその後だよ』
桃『俺は嫌われてないと思うけどな』
赤『…わかっ、た、。』
桃『じゃあ、そろそろいこっか』
桃くんの後を着いて歩く。
着いた所はソファーが沢山ある場所で他の患者さんは居なくて独占状態。
ソファーに座っていると紫さんと一緒に歩く黄ちゃんが見えた。
紫『おまたせ〜!』
黄『…、』
桃『俺達も今来たところだよ』
赤『結構待ったもん、』
桃『赤ー?待ったって5分もないだろ』
またやっちゃった。
赤『ごめなさッ、はぁっ、はっ、』
桃『大丈夫大丈夫、落ち着いて』
桃『赤は何を伝えたいんだっけ?』
赤『…ッ』
黄『ぁ、あの、ッ』
黄『赤、ごめんね、ッ!』
赤『…ぇ、?』
なんで黄くんが謝ってるの?
なんで黄くんが泣きそうなの?
なんで黄くんが加害者みたいになってんの?
赤『なんで、謝るの…』
黄『僕が行けなかったから、赤傷付いちゃったんでしょ、?』
赤『黄ちゃんは体調悪かったって、言ってた…』
黄『確かに体調悪くて紫先生に言っちゃダメって言われてたけど、橙さんに頼んで赤に言ってもらえばよかったなって…、反省したの、』
赤『でも、ッ、でも、!』
黄ちゃんが謝ることじゃない、
俺が悪いのに、
桃『赤、1回涙拭いて落ち着いてみて』
赤『はぁ、ふぅっ、』
黄『ごめんなさい、赤』
赤『謝らないでよッ、!』
赤『俺が悪いのッ、ぐすっ、』
赤『俺が黄ちゃんのこと傷付けちゃったからッ、』
赤『俺のせいで学校来ないじゃんッ!ぐすっ』
桃『赤深呼吸だよ』
赤『ッ、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい、!』
赤『黄ちゃんごめんねッ、離れないで、お願い…ッ!ぐすっ』
また同じことの繰り返し。
なんも成長してないじゃん、。
黄『赤、いいよ。』
黄『ぼく離れないよ』
赤『ッ…ぇ、?』
黄『僕、自分の体調を管理できないから学級行ける約束できないけど、赤が居るならなるべく行けるように頑張るね!』
赤『うん、!おれも、おれも黄ちゃんのこと傷付けないように頑張る、!ぐすっ』
赤『本当にごめんね、』
黄『もう謝らなくていいんですよ、笑』
紫『2人とも仲直りできて良かった~!』
紫『黄ちゃん自分の気持ち言えて偉かったね』
黄『はい…、言えました、!』
桃『赤も、偉かったな』
褒められた、嬉しい。
赤『うん…!』
黄『僕この後学級行くけど赤はどうするの?』
赤『黄くんと一緒にいく、!』
赤『桃くん行ってきていい?』
桃『もちろん』
赤『やった、』
桃『じゃあ頑張ってな』
赤『うん!』
桃くんと紫先生に見送られながら院内学級へ2人で向かった。
黄『赤、桃先生と仲良いよね』
赤『俺の親戚なんだぁ、』
黄『そうなんだ、!?』
赤『そんなにびっくりする?笑』
黄『少し羨ましいな』
赤『もし、お互いここから出たらお友達になってくれる、?』
黄『…! もちろん!』
・
1年後、俺は病状が安定して退院した。
今日は月に1度の診察日。
青『赤くーん、』
赤『あ!青ちゃん!』
青『今日は熱や咳はありますか?』
赤『ないよ』
青『了解、今日もいつもの診察室ね~』
赤『わかった』
・
桃『おはよ赤』
赤『おはよ』
桃『何か変わったことか困ったことはある?』
赤『うーん、最近寝れない…』
桃『そっかいつ頃から?』
赤『ゆうて、4日前ぐらい』
桃『そっか、頓服の薬飲んでも寝れない?』
赤『2週間前には無くなっちゃう』
桃『じゃあ一日一錠だしとくわ』
赤『お願い、』
桃『学校は?どう?』
赤『何とか通えてるよ』
桃『そっか、じゃあまたなんかあったらLINEして』
赤『わかった!』
・
診察室を出ると見覚えのある子がソファーに座っていた。
赤『き、きぃちゃん、?』
黄『え、赤っ!?』
赤『会えたね、良かった、』
黄『会えたね、』
病院では個人情報の交換が禁止でお互いいつ退院したのかすら知らない状況だった。
いつか会えないかなって定期診察では少し早く来て少し遅く帰っていた。
赤『LINE、交換してもいい、?』
黄『うん!』
LINEを交換していると青ちゃんが近ずいてきた
青『あ~!2人とも会えたんだね~』
赤『会えた!』
青『今日は予約時間が2人とも近かったからもしかしたら会えるんじゃないかって思ってたよ~』
黄『会えてよかったです、笑』
赤『おれも!』
黄『あ、番号きた、またね赤』
赤『またLINEしてもいい、?』
黄『いいよ!沢山お話しましょうね!』
赤『うん!またね!』
・
それからは黄ちゃんとLINEしたり遊んだりお互いがお互いを受け入れられる関係になれた。
これからもずっと一緒。
end
コメント
2件
続きあるの嬉しすぎる!!!!(´;ω;`)ほんとに神でしかない(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)
最後あえて良かったー 仲良くお幸せに! びゃさんいつも素敵なストーリーありがとうございます!