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彼女の体に月明かりが差し込んだ。すると、彼女の姿は人間に変わっていった。彼女は体を小刻みに震わせ、僕に目を合わせようとしなかった。罪人。彼女はもう、夜人ではないのだ。普通なら父上に報告するべきと考えるだろう。しかし、今の僕にそんな考えは浮かばなかった。ただ、守りたいという思いが、強まるばかりだった。僕は彼女を、ベルを抱きしめた。隠すように、守るように…。
「大丈夫。僕が守る」
え?っと私は心の中で呟いた。守る?私を?もう夜人でなくなってしまった私を?思いもよらない王子の言葉に、私はどうすればいいかわからなかった。だけど、私をやさしくつつみこんでくれた王子の体温は、あたたかく、やさしかった。私はなにも言わず、ただ、静かに、時間が流れるのを待った。