テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
47
#ミステリー
鬼霧宗作
686
みおん
5,211
☆ Splatter Museum・初期の段階から沙和子の名前が隠されている5つの事件というのは決まっていました。
ただ、沙和子の名前だけ隠されているのも物足りないと感じ、他の要素も組み込みました。
その時は他の犯人達の名前も組み込んでいましたが……。
一つ一つの事件のボリュームが大きくなる上に流石にやりすぎだろうと思いボツに……。
代わりに事件発覚の要因となる三重の名前を引っかけとして残しました。
・事件にそれぞれ物語を残したのは読んでいただく際のヒントとして取り入れました。
事件現場だけでは何を示しているのか分かりにくいと感じたからです。
ただ、なぞなぞやクイズにするとこれは他のフィクション作品でも行っていることなので、せめて物語にすることで人によって色んな見方ができるのではないかと思い、一つ一つの事件を物語にしました。
その時に短編映画集の発想が浮かび、沙和子が映画監督を名乗るということにしました。
・10から数字が下がるのは開かずの番人で撞かずの鐘を取り入れた時に思いつき、10から数字が下がるようにして、その後に三重の名前の要素を取り入れました。
10から数字が下っていたのに、5以降を示す事件は?と思われる方もいらっしゃるかと思います。
ご安心ください。
これで終わりというわけではありません。
1.ノータリンの結婚式
・初期設定から、2人とも脳が抜き取られて里部のO型の血液が綾葉の頭に入っていたという流れは同じです。
本来は向かい合わせで、互いの頭と手を合わせた設定でした。
しかし、手掛かりとして物語を残す設定にした際に、カップル同士で殺されたのであれば結婚式に見立てようと思いつき、作中での内容になりました。
・最初の事件であるため、印象に残りやすいようにインパクトの強いものにしました。
赤の花嫁と白の花婿の文章は同じようだけど真逆の文章になるようにこだわりました。
2.~運命~最終楽章
・初期設定では木原の腹にレコードプレーヤーが入れられて、運命が流れていたという流れは同じです。
曲を運命にしたのは、英語でDestinyを示すためでした。
しかし運命の英語は他にもあり、曲としての運命の英語訳はSymphony No.5 c-minor。
運命が交響曲第5番であるため、この英語訳になることを知りました。
これではdを示すことはできない。
でもせっかく考えた事件だから無駄にしたくないと思っていました。
その時に思いついたのが、運命繋がりでタロットカードの運命の輪です。
運命の輪がルーレットになり、dieの文字を指し示してることにすればいいと思いつき、この要素を取り入れました。
初期設定での魚月は気絶させられていたか、刺し殺された予定でしたが、実行犯という設定が固まった時に彼女は自殺して、沙和子の手により運命の輪にされたことにしました。
・コーキュートスはなんらかの形で小説に出したいと思っていました。
作曲家が地獄に落ちることと不倫という裏切り行為をしていた美喜男に当てはまると思い、この場面で取り入れることにし、この事件ができました。
3.開かずの番人
・初期設定から殺された人物が金庫に入れられる流れは同じでした。
しかし現実的に考えて、人1人が金庫に入るのか?と思いました。
2つ目の事件で体を解体されるというのがあるため、もっと他の方法は無いかと考えた結果、体中の骨が粉々にされて入れられたことにしました。
その時に学を鍵にしようとアイディアを思いつき、ダイヤルの番号を手足に刻みました。
数字もただの数字だけでは物足りないと感じ、全て忌み数にして武が言ったように繋げると文章になるようにしてみました。
・沙和子の名前以外の数字を指し示す要素ですが、金庫だから宝とか入れてみたらどうだろうと思いました。
お金だとシンプルだし、金塊だと現実味がない。
結果、鐘の置物とかどうだろうと思いました。
そして鐘について色々と調べて、撞かずの鐘に辿り着き、その伝説を取り入れて物語を書きました。
4.自己陶酔型の狂数学者
・初期設定から体に23を示す計算式や年号が刻まれ、コピー機に挟まれていたことにしていました。
23エニグマはナンバー23という映画以外でのフィクション作品では用いられておらず、新鮮味もあり、暗号という意味ではうってつけの内容だと思い、取り入れました。
・腸で絞殺された設定は沙和子以外の犯人の名前を指し示す設定の手掛かりとして、このような殺害方法になりました。
その他の事件の手掛かりはボツにしましたが、より異常な犯罪に見せるためにこの事件ではあえてそのままにしました。
・この事件で1番悩んだのはどうやってアルファベットの23番目であるWを指し示すことでした。
その時にそれぞれのアルファベットの頭文字を持つ子供たちが様々な理由で死んでしまう、エドワードゴーリー氏の作品『ギャシュリークラムのちびっ子たち』のことを思い出しました。
それを物語の文章に取り入れようと思いましたが、なんとWはさむいさむい氷の中という内容……。
取り入れたいけど見立てるのが難しいと思いましたが、会社のクーラーを最大まで下げることで表現しました。
・他のボツ設定として、友和が幸運な数字が7であると気づく場面です。
実は紙に書かれた物語で明日、君がいないという一文がありました。
これは友和が見ていた映画のタイトルです。
この映画を見ていた場面は友和の心情や行方不明の学を表しただけではありません。
明日、君がいないというのは日本でのタイトルであって、本来のタイトルは2:37です。
これは自殺してしまった人物の時刻がタイトルになっています。
これで友和は原題を知っていたため、7を示しているのではないかと気づきます。
ただ、あまり映画で縛り過ぎると容疑者が絞られてしまうのではないか、やり過ぎではないかと感じ泣く泣くボツにしました……。
代わりに電卓と定規で7を示しました。
・初期設定では全く違う内容の事件でした。
それは2人の体に友和の名前がローマ字で彫られており、Kだけが大文字で目立つように記されて刺し殺されていたという設定でした。
それは4つ目の事件と被る上に、兄を守りたい沙和子が逆に兄が余計に疑われる事件を起こしてどうするんだと思い、1から考え直しました。
・Kを指し示すならと考えたときにこの蠱毒を思いつきました。
蠱毒はよくサスペンスやホラー等のフィクション作品で用いられたり、表現されるため、この話に合うだろうと思い、これを用いた事件にしました。
・ただ、蠱毒だけでは何か物足りない。
できるなら他の要素も組み込んでみたい。
そう感じた私は何か他の都市伝説等のことを考えた結果、SCPのことを思い出しました。
SCP Objectと呼ばれる怪奇現象や怪物等がSCP財団という架空の組織で管理されている設定のコミュニティサイトです。
以前にYouTuberのキリンさんが取り上げていたのをきっかけに知り、一時期は色々と調べて読んでいたことがありました。
何かヒントになるものがあればとSCP 蠱毒と検索したら、なんとこのscp-544-jp 孤独な放送室が検索結果に出ました。
漢字が違うのにって最初は思いました笑
この内容を読んでいくうちに色々とアイディアが思い浮かび、小田夫妻が蠱毒の壺の中からまるでアナウンスをしたかのようにし、友和に忘れてほしい人物の名前が呼ばれる内容にしました。
場所についてですが、当初は廃墟のデパートにしようと思っていました。
しかし、それでは元に近づき過ぎているという理由やあまり日本では廃墟になっているデパートは無いんじゃないか?という考えから他の場所を考えました。
日本によくある廃墟で放送室がありそうな場所で考えたところ、遊園地がいいだろうと思いました。
実際に日本では金銭的理由等で残されている廃墟の遊園地があります。
その案で方向を決めた時にまずどんな遊園地にしようかを考えました。
私自身がピエロが好きということもあり、ピエロが風船パフォーマンスをしたり、風船で彩られた場所にすることにしました。
ただそれだけだと物足りないし、もう少しオリジナルティーを出したい。
そう思ったところ風船繋がりで気球体験ができる遊園地はどうだろうと思いました。
気球を体験できる場所は多くありますが、遊園地で気球体験ができるところは調べたところありませんでした。
その事故が原因で潰れてしまったという理由付けにもなるため、気球体験ができる最初の遊園地という内容でこの場所が出来上がりました。
コメント
5件
うわ、これはすごい…!事件ひとつひとつにここまで細かい仕掛けと没案の歴史があったんだね。特に「運命」の英訳からタロットの「運命の輪」に繋げた発想の切り替えとか、SCPのリファレンスを自然に物語に落とし込んでるところ、ガチで刺さったわ。作者さんの設計力、マジでリスペクト。この解説読むとまた最初から読み返したくなる🔥