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毎日夕方学校から帰ると
キラリは陽子の家にいそいそと
自転車を漕いで向かいます
裏道を走りながら
さっきまでいた学校の前を通り過ぎ
中学も最終学年近くになると
社会科の授業も地域密着型になり
キラリは自分の住んでる町が
日本でもモノ作りが盛んな
町工場が集結している
モノ作り日本一の町であることをこの頃初めて知りました
少路地を進んで小さな工場がずらりと並ぶ
工場地帯に入ると 風の「匂い」が変わります
大概の工場はドアを開けっ放しで
忙しく働く職人さんの姿が見えます
あちこちの小さな工場から立ち登る
黒煙の匂い 機械の油 鉄を焼く匂い
キラリはすっかりこの匂いに慣れてしまって
さらに自転車を漕いで奥へ進みます
「〇〇製鉄所 〇〇金型 」など
看板に書かれている文字はどこも似たり寄ったりで
工場の規模もどこも同じようなもので
おそらく初めて来る人は絶対迷うだろうなと思える
少路地を奥へ進むと
ひときわ大きくそびえ立つ大きな工場が見えます
黄緑色に塗られ2階と3階が住居の
コンクリート製のこの工場は
陽子の家でした
キラリが陽子の家の前の駐輪場に自転車を止めると
玄関から陽子が出てきました
「キラリちゃん! ちょうどよかった
家に呼びに行こうかと思っててん
今日 職人さんがお誕生日の人がおってな
おかあちゃんが
みんなでお祝いしようって
焼肉するねんて!
だから今からお姉ちゃんの車で
お肉屋さん行くねん
キラリちゃんも一緒に行こ! 」
キラリは躊躇して言いました
「え・・・・あたしも入ってええのん? 」
陽子はキラリの両肩をつかみました
「あたりまえやんか!!
おかあちゃんがキラリちゃんも呼んだりって
言うてるのよ
だから 食べていき!! 」
キラリは笑顔で答えました
「 ありがとう 陽子ちゃん! 」