テラーノベル
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「……なぁ、団長。一応確認するが、お前あの後、銀華の部屋に夜這いとかかけてねぇだろうな?」
その夜。
第七師団の医務室で、鼻に綿を詰められた銀華が不機嫌そうに寝たのを見届けた後、阿伏兎は神威を誰もいない執務室へ連れ込み、机をバンと叩いて問い詰めた。
「失礼だなあ阿伏兎。さすがにそんな野蛮なことしないよ。……今はね」
神威はソファーに深く腰掛け、両手を頭の後ろで組みながら、どこか上の空で天井を見つめている。
その瞳は、昼間のあの瞬間からずっと、どこか熱を帯びたようにトロンとしていた。
「阿伏兎。俺、あれからずっと考えてるんだけどさ」
「あん? 何をだよ」
「銀華が鼻血を出して、涙目で俺を睨んでた時のこと。……思い出すだけで、やっぱりここがすっごく熱くなって、頭の中がアイツの顔でいっぱいになるんだ」
神威は自分の胸をトントンと叩き、いつになく真剣な、だけどどこか陶酔したような声で言った。
「それでさ、阿伏兎に聞きたいんだけど。……人間って、自分の大好きなオモチャが壊れそうになってるのを見ると、もっと壊したくなるものなの? それとも、壊さないように、自分の部屋の奥の、誰にも見えない場所に鍵をかけて閉じ込めておきたくなるもの?」
「…………」
阿伏兎は盛大に頭を抱えた。
(直球だ。直球すぎて胃に穴が空く。コイツ、殺意だのオモチャだの言葉を濁してやがるが、言ってることは完全に『独占欲』と『監禁願望』じゃねぇか……!)
「……あのな、団長。逆に俺からお前に聞くがね」
阿伏兎は深くため息をつき、神威の前に回り込んでその顔を覗き込んだ。
「お前、もし銀華が他の男……例えば春雨の他の師団の奴らとかに、あんな風に泣かされてたらどう思うよ? 『あはは、銀華が泣いてる、ウケるー』って笑って見てられるか?」
その質問が出た瞬間。
室内の空気が、文字通り「凍りついた」。
神威の顔から、完全に笑みが消える。
青い瞳が刃物のように冷たく、鋭く据わった。凄まじい密度の殺気が部屋中に満ち、机の上の書類がビリビリと震える。
「……阿伏兎。冗談でもそんなこと言わないでよ」
神威は低く、地を這うような声で呟いた。
「銀華を泣かせていいのも、ボロボロにしていいのも、俺だけだよ。もし他の誰かがアイツの髪一根でも触ったら……その男だけじゃなく、そいつの所属する師団ごと、この宇宙から綺麗に消し飛ばしちゃうかな」
「ほら見ろ!!!!! 完全にソレじゃねぇか!!!!! 殺意じゃねぇよそれは!!」
阿伏兎は思わず叫んだ。
「いいか団長、お前が今抱えてるそのドロドロした感情はな! 世間じゃ【独占欲】って言うんだよ! アイツを自分だけのものにしたいっていう、立派な男の欲求だ!」
「どくせんよく……?」
神威は初めて聞く単語に、きょとんとして首を傾げた。
「そうだよ! お前は銀華をただの部下とか飯使いじゃなくて、『女』として手元に置いておきたいんだ。……まぁ、お前の場合はそこに最悪なサディズムが混ざり合って、とんでもねぇ歪み方をしてるがな!」
「へぇ……。俺が、銀華を『女』として……」
神威は自分の手のひらをじっと見つめ、それからニタァ……と、今日一番不気味で、だけどどこか嬉しそうな笑みを浮かべた。
「あはは、そっかぁ。独占欲か。……ねぇ阿伏兎、じゃあさ。どうやったら銀華は、俺だけのものになってくれる? やっぱり、力ずくでベッドに縛り付けちゃうのが一番手っ取り早い?」
「待て待て待て!!! 聞く相手を間違えるな、俺に犯罪の片棒を担がせるな!!」
阿伏兎は必死に神威の胸ぐらを掴んで揺さぶった。
「お前がそんな物騒なアプローチしてみろ、銀華の奴、ビールどころか本気で暗殺用の毒を飯に混ぜてくるぞ! アイツは15歳だが、中身はあの通り現実主義の塊なんだからな!」
「えー、毒は困るなぁ。銀華のご飯美味しいし。……じゃあ、お酒で釣ったら大人しく縛られてくれるかな?」
「お前の中で『縛る』のが前提になってんのをまず直せ!!」
夜が更けるまで、神威の歪んだ恋のカウンセリング(という名の、阿伏兎による必死の犯罪抑止活動)は続くのだった。
コメント
1件
読み終えました! この回、めちゃくちゃ面白かったです。 神威、完全に無自覚ヤンデレ化してる…! 「俺だけが銀華を泣かせていい」って台詞、台詞自体は殺意の塊なのに、阿伏兎のツッコミで「独占欲」ってラベリングされると途端に恋愛感情に見えてくるのがもう。笑ったのが「縛るのが前提」な発想のままなところで、阿伏兎の必死の犯罪抑止活動が泣けてきます。銀華の15歳の現実主義っぷりも作品のバランスをいい感じに保ってて、この歪み具合が癖になるエピソードでした!
#銀魂夢
色々するオタク
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