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消える町

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消える町

1 - 第1話 目覚め

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2025年08月27日

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だいぶ前に書いていた作品です。
良ければ見てもらえると嬉しいです。



目を覚ました瞬間、胸の奥に違和感が広がった。

寝室はいつも通りだ。

机の上には昨日の夜に開けたままの参考書と、半分残ったペットボトルの水。

床には脱ぎ散らかした靴下。窓のカーテンからは、白っぽい朝の光が差し込んでいた。

だが、音がない。

普段なら、隣の家からは小学生の子どもが支度をするドタバタ音や、母親の呼ぶ声が聞こえてくる。

遠くの国道を走るトラックのエンジン音、鳥のさえずり、テレビのニュース。

それらがすべて消えていた。

まるで耳が塞がれたかのように。

静寂の中で、自分の心臓の音だけがやけに大きく響いていた。

ドクン、ドクン、と胸の内側から突き上げる音。

呼吸を整えようとしても、逆に乱れていく。

僕は布団を蹴飛ばし、玄関のドアを開け放った。

朝日を浴びた住宅街が広がる。

アスファルトは朝露を吸い込み、淡い光を反射している。

風が植え込みの葉を揺らし、青空には雲ひとつない。

しかも人影が、ない。

家の前の道は通学路だ。

普段なら小学生の集団が賑やかに通るはずの時間帯。

けれど、ランドセルの色も、声も、足音も存在しない。

気味の悪い沈黙に背筋が冷たくなり、僕は無意識にポケットからスマートフォンを取り出した。

画面には無情な二文字――「圏外」。

通話アプリを立ち上げて母の番号を押す。

だが画面は一瞬待機の後、ぷつりと暗転したように応答しなかった。

発信音すら鳴らない。

「……嘘だろ」

かすれた声が自分の喉から漏れる。

だがそれすらも、空気に吸い込まれて消えていった。

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