テラーノベル
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仕事終わりの送迎車。最後列のシートには、阿部亮平と宮舘涼太が並んで座っていた。
車内は暗く、他のメンバーは前の席で寝ているか、スマホを見ている。
宮舘は窓の外を流れる夜景を眺めながら、無意識にこめかみを指で押さえていた。
明日のロケの段取りを頭の中でシミュレーションしているのだろう。彼の眉間には、うっすらと縦皺が刻まれている。
「…涼太」
静寂を破ったのは、隣の阿部だった。
彼はスマホから視線を外し、宮舘の手元をそっと、けれど確実に握った。
「……ん?どーしたの」
「考えすぎ。脳のCPU、使いすぎだよ」
「……明日のシミュレーションをしていただけだよ。備えあれば憂いなし、と言うだろ?」
宮舘は淡々と返すが、阿部は納得していない様子で首を横に振った。
「データによるとね、今の涼太は稼働時間が長すぎてパフォーマンスが落ち始めてる。このまま考え続けても、効率が悪いだけだよ」
「……手厳しいなぁ」
「事実だから。……だから、今の時間は強制シャットダウン」
阿部はそう言うと、握っていた宮舘の手を引いて、強引に自分の肩に宮舘の頭を乗せた。
「……ちょ…と…阿部…?」
「明日の天気は晴れ、気温は22度。ロケの進行表は俺が全部頭に入ってる。涼太が心配してる導線も、スタッフさんの動きも、俺が全部把握してるから」
阿部の声は、いつもの優しいトーンだが、そこには絶対的な自信と、少しの支配力が混じっている。
「……だから、涼太は今、何も考えなくていい。俺という外部メモリに全部預けて、ただ休んで」
「……ふふ、言い方」
宮舘が小さく笑う。
けれど、その提案はあまりに合理的で、そして何より心地よかった。
「王」として常に先頭に立つ自分が、何も考えずに誰かに全てを委ねられる時間。
「……じゃあ、阿部先生にお任せしようかな」
「うん、任された」
宮舘は全身の力を抜き、阿部の細くもしっかりした肩に体重を預けた。
阿部は満足そうに、宮舘の手を自分の膝の上で包み込み、親指でその手の甲をゆっくりと撫でた。
「…涼太の手、冷たいね」
「そうかな」
「温まるまで、こうしてる。…着くまで寝てていいよ」
「…ありがと。おやすみ、阿部」
「おやすみ、涼太」
車が揺れる。
論理的な彼氏に管理され、思考を手放した国王は、久しぶりに深い安らぎの中で眠りに落ちていった。
コメント
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ついにあべちゃんがコンピューターみたいになっちゃった笑 続き待ってます