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⚠️戦争賛美、政治的な意図は決してございませんのでご了承ください
⚠️史実とは一切関係ありません
⚠️私の妄想です。
⚠ATTENTION⚠
・BL
・ロシアメ
・病気パロ
・露が米に対して優しい
露→ロシア
米→アメリカ
加→カナダ
英→イギリス
医者
では、どうぞ⬇
✂︎——————キリトリ線—————–✂︎
国連本部。
広い会議室には、いつものように各国が集まり、アメリカの声が議論の中心で響いていた。
米「……で、この関税の引き下げなんだけどよ。貿易回すには――」
真面目な空気の中、突然、鋭い声が上がった。
加「兄さん!!それ大丈夫なの!?」
カナダの叫びが、会議中の空気を切り裂いた。
誰もが一斉にカナダを見る。
だが、当のアメリカ本人だけが、ぽかんと首を傾げた。
米「……いきなりどうしたんだよ、お前…」
アメリカは何も気づいていない。
しかし、カナダの指差した先ーーアメリカのこめかみから、赤い血がつう……と顎へ伝っていた。
ざわ、と会議室全体が色めき立つ。
英「アメリカ!!あなた……頭から血が……!!」
イギリスが椅子を倒さん勢いで立ち上がった。
顔は狼狽し、言葉が震えている。
米「は?血……?何の話だよ?」
アメリカは本気で分かっていない顔だ。
痛みに顔を歪めるどころか、浮かんだのは”困惑”だけ。
ロシアは、その横顔をじっと見つめていた。
最初は眉をしかめるように、次第に確信するように。
露『……痛みを感じていない……?』
胸の奥がざわついた。
嫌な予感――というより、ほとんど確信に近いものが、喉を締めつけた。
会議の進行が止まり、周囲がざわめき始める。
仏「アメリカ、大丈夫なの?」
独「顔色も悪いぞ…」
波「救護室に行った方がーー」
ロシアは誰よりも先に立ち上がった。
米「あー……ほらほら、大げさだって。別に痛くないし……」
アメリカが軽く立ち上がろうとした瞬間、膝がガクッと沈み込んだ。
ロシアがすかさず腕を伸ばし、倒れ込む身体を抱きとめる。
露「無理をするな。歩けないなら、オレが連れていく」
支える腕は力強く、でも驚くほど優しかった。
アメリカは反論する余裕もなく、その胸に身を預けるしかなかった。
医療室の無機質な光が、アメリカの顔色の悪さを一層際立たせていた。
「熱は……あるのに、本人は暑いって感じないの?」
「痛覚も鈍いどころか、ほとんど反応がない……?」
「これは……前例がないな……」
医療スタッフの声が次々と重なり、状況の異常さを浮き彫りにした。
アメリカはベッドに横たわりながら、ぼんやりと天井を見ている。
額の傷口を拭かれても、目を細めることすらしない。
ロシアはベッドの横に立ち、腕を組みながらもどこか落ち着かず、
その視線はアメリカから離れなかった。
露「アメリカ。オレが聞く。……本当に、寒さも暑さも、痛みも感じないのか?」
アメリカは少し考え込むようにして言った。
米「……嗚呼……最近、なんか変なんだよ。 シャワー浴びても温度が分からなくてさ。 熱いはずなのに“熱い”って分からない。
多分……ずっと前からちょっとずつ、おかしかったんだと思う」
言い終わるころには、アメリカの指先が小さく震えていた。
恐怖か、現実を受け入れようとする拒否反応か。
ロシアはゆっくりとアメリカの手を取った。
冷たくも熱くもない、ただ“温度が分からない手”だった。
露「……これは、ただの疲れじゃない」
低く、喉の奥から漏れたような声。
そこには怒りでも苛立ちでもなく、どうしようもない不安と焦りがにじんでいた。
医療スタッフが告げる。
「……病名は不明です。既知の症例にも、世界のどこにも一致がありません。
痛覚・温度覚・感覚全般の機能低下、進行性の可能性も高い……」
アメリカはゆっくりと目を閉じた。
米「……マジかよ……そんな病気、聞いたことねぇよ……」
その横顔は、普段の彼からは考えられないほど脆かった。
ロシアはベッドの傍で立ち尽くしたまま、ほんの僅かだけ息を震わせた。
露「……アメリカ。 お前は、一人で生活できる状態じゃない。」
アメリカが弱く笑う。
米「いやいや………世話なんていらねぇって。俺、平気――」
露「平気じゃない」
ロシアはその言葉を強く遮った。
しかしその目は酷いほど優しかった。
露「感覚が消えていく身体を……放っておけるわけがねぇだろ。
……オレが支える。生活も、 移動も、全部だ。」
アメリカは目を見開き、言葉を失う。
ロシアは落ち着いた声で続けた。
「守らせろ。……頼むから。」
その声音は、今までアメリカが一度も聞いたことのないほど真摯だった。
ロシアの大きな手が、アメリカの手の上に重ねられる。
強引さも威圧もなく、ただひたすら“支えたい”だけを滲ませる触れ方。
けれど――
アメリカは、その言葉に何一つ答えなかった。
ただ、ゆっくりと視線を逸らす。
白い天井を見つめたまま、ぎゅっと唇を結んで。
反論する強さも、茶化す余裕もない。
でもロシアに”頼りたい”と認める弱さも、まだ出せない。
静寂が医療室に落ちた。
ロシアはその沈黙を、拒絶として受け取ったわけではなかった。
むしろ、アメリカが何も言えないほど追い詰められているのだと理解し、
胸の奥がきゅうと締めつけられた。
露「……分かった。今は、何も言うな。」
ロシアはそう呟き、アメリカの横にそっと椅子を引き寄せる。
立ち去る気配はまるでない。
医療スタッフが診断の紙をまとめ、静かな声で告げる。
「…正式な診断名はありません。 症状は”痛覚鈍麻”“温度覚異常”“五感の段階的消失”…… 原因も不明です」
その言葉は、冷たく乾いた音で室内に落ちた。
アメリカは瞬きを一つしただけだった。
驚くでもなく、泣くでもなく、抵抗するでもなく。
まるで、心のどこかがついていけていないように。
ロシアは、彼が小さく呼吸を飲み込む音さえ聞き逃さなかった。
露「……アメリカ」
名前を呼んでも返事はない。
横顔はひどく静かで、けれどどこか”感情が置き去りになっている”ような表情をしていた。
ロシアは、その無反応が何より怖かった。
感情が動かないのは、
怖さで固まっているのか、
五感の喪失が心まで侵食しているのか……判断もできない。
だからただ、アメリカの傍にいるしかなかった。
露「オレは、ここにいる。 何があっても、お前の側に…」
返事は――また、なかった。
けれどロシアはそれ以上言葉を重ねず、
アメリカの手にそっと触れたまま、静かに目を伏せた。
アメリカの視線は天井に止まったまま、動かない。
自分の身体に起きていることも、
これから何が失われていくのかも、
きっとまだ理解できないまま。
――こうして、誰も知らない“謎の病気”が発覚した。
この日から、アメリカとロシアの関係は、
ゆっくりと、静かに変わり始めることになる。
続く…
✂︎——————キリトリ線—————–✂︎
おかえりなさい〜
短くて10か8話、長くて13か15話くらい…ですかね。
それくらい書く予定です。
《リクエストについて》
現在リクエストはお断りしています。今いただいてもお答えできませんのでご了承ください
では、閲覧ありがとうございました〜