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あの事件から数週間後の出来事。今日の担当執事であるベリアンに起こされ、いつも通りの爽やかな朝____ではなく


《ねぇ、貴女私の事が見えるのよね?協力してくれない?》


目覚め最悪の朝となった。目の前に現れた首なし女のせいで私の爽やかな朝は消え去り、その上、首の断面からは血が垂れだし、骨やその他の血管が見える為、大変グロい。こんなのは見慣れてるのではって?確かにね、こういう幽霊なんて散々見てきたよ。うん。私幽霊も怪異も食うしね。でもさ、朝目覚めて1番初めに見たのがこれだぞ?想像してみて?最悪でしょ?


《なんで遠い目をしているの?》

「あのねぇ…流石に目覚めてから最初に見るのが首から血を流した女の人だったらびっくりするだろがい。っていうか何より気分が悪い」

《あら、そうなのね。ごめんなさい》

「はぁ……悪いけど、私、慈善活動とかやってないの。自分に被害が被らないなら協力しない。藪蛇はごめんだしね」

《貴女にも関係のあることよ。ここの森の少し奥に、人の顔をほった石?が置いてあったのよ。それを動物が壊してしまって、封じ込めていた物を解き放ってしまったの》

《それで、貴女に関係があると言ったのは、その放たれた霊…というより、怨念かしら?それが少しずつこのお屋敷に近ずいているみたいなのよ。恐らく貴女と、このお屋敷の住民のせいかしら。人より変わった魂をしているわ》

「へぇ、魂視えるの?見た目によらず、結構上位の霊っぽい……ま、事情は分かった。でもさ、協力して、って事は何か貴女も被害に遭ってるの?」


魂が視える霊は珍しくないが、殆どの霊は視えない。そういった霊は視る、というより感じるという方が正しい。霊は死んでから数十年の間は、肉体を持たない魂が安定しない為、他人の魂を視ることが出来ないのだ。よって、数百年漂っている霊や神だけが魂を視る事が出来る。そうでなくても視えるとしたら、それはとんでもない類の怨霊という事だ。


(私を見て逃げださないってことが何よりの証拠か)

《…あの禍々しい気配がそこら中に感じて、落ち着いていられないの。私はこの森から離れられないし、何とかしたいのよ》

「あー、地縛霊の1種か。その格好だし、頭を探してとか言うのかと思ったよ」

《頭の事はもう諦めているわ。どういう原理か分からないけれど、景色は見えるもの》

「まぁそこは気にしてもしょうがないという事で…いいよ、協力してあげる。まずは自己紹介から始めようか」

《初めまして、ミキよ。二重ぱっちりのお目目が特徴なの宜しくね》

「顔がねぇだろお前」

《そうだったわ忘れてた》

「忘れるものなの…?…私は……まぁ、悪魔執事の主だよ。適当に呼んでいいからね。」

《わかったわあーちゃん》

「お待ちになって???」

《なんで?悪魔執事の主だからあーちゃん、可愛いでしょ?》

「ああ…うん。なんかもうそれでいいや」


なんだろう、このマイペースっぷりは。天然か?天然枠はバスティンで埋まっているだ定員オーバーだぞ。キャラ被りは重要だどうしてくれる……って頭なしだからキャラ被りは起こしてないか。ならいいのか。……いいのか?

そんなどうでもいい考えはさておき、協力するとなったらまず情報収集だ。どんなものか分からなければ対処の仕様がない。最近霊力をめっっっちゃ使ったのであまり霊力は使わないでおきたい。御札持っとこ。


「それで、人の顔が彫ってあった石…お地蔵みたいなものかな…。詳細が分かれば何を封じてたか分かるかも……その石に彫られてた人は複数人だった?」

《人数まではあまり気にしてなかったらうろ覚えだけど…確か4、5人程度だったわよ?》

「ふむ…表情はあった?」

《あったわ。苦しそうな顔をしていたわね》

「怒ってるとかではなく?」

《間違いないわ》

「それなら結構絞れるけど…それでもちょっと多いな。封じ込められてたのはその怨霊だけ?」

《いいえ、何か箱が入ってたわ。怨霊って言うのね?あの怨霊はその箱から出てきた様に見えたわよ》

「その箱の中身は見た?」

《ええ、動物がその箱を触ってしまって、その衝撃で蓋が外れたから見たわよ。ブレスレットみたいな感じで、丸い平べったい玉の上に赤色で文字が書いてあったわ。なんて書いてあったか読めなかったけれど……》

「うわ、あれしかないじゃん…っていうか、よくそんなに覚えてるね?」

《珍しい物だったから記憶に残っているのよ。あそこまでの禍々しいオーラ見たこと無かったもの》


あーね、と納得する。あれは恨みの念が強いから1度見たら記憶に残るだろう。基本あれは数百年、数千年というとても長い時間を掛けて浄化させて行かなければならない程だ。


「それを相手にするって事は、霊力を使わずに解決するのは難しそうだ…」

《やっぱり、厄介な物なのかしら?》

「超厄介だよ。その動物呪いたいくらい」

《呪いの塊みたいな貴女が言うのであれば相当なのね》

「…それもわかっちゃう?」

《普通の幽霊でもそう思うわよ》

「デスヨネー。じゃ、その場所に案内してくんない?本体を完全に浄化させれば、その飛び出した怨霊も消えるよ」

《そうなの?それじゃあ案内するわ》

「ん。……その間にここにこられたらヤダな。式神置いていくか」

「急急如律令 白虎!お前に頼みた…………ってなんで白狐までついてきてるの」

《白狐をお呼びしたようなので♡》

「漢字が違う。絶対分かってて来たでしょお前」

《なんのことやら》

「しらばっくれるな…ってまぁいいか。じゃ、2人に仕事だ。この屋敷に強力な霊が迫ってきている。住民を全て守れ。怪我ひとつとしてさせるなよ」

《承知。その任務、我が完璧にこなしてみせましょう》

《この狐めにお任せください。きっと此奴より私を呼んだ方が良かったと思われますよ》

《勝手についてきたくせにしゃしゃりでるな。主に迷惑が掛かるであろう》

《黙れ猫》

《ふん、短気だな。これだから狐のような阿呆は困る》

「おい、人前…霊前だぞ。口を慎め」

《申し訳御座いませぬ。こうなってしまっては仕方がない、行くぞ狐》

《私に指図するな猫。主、私共は結界を貼ってくるうえ、失礼致しますね》

「頼んだ。…ごめんね、あの二人仲悪いの」

《あら、面白かったわよ?それより、私は貴女の口調が迷子なのが気になるわ》

「そこは気にしないで。別に普通に話すけど、仕事となるとああいう口調になっちゃうんだよ」

「ってそんな事より早く行こうよ。ベリアン達にも言っとかないと」

《それもそうね。それじゃあ行きましょ》


というか、いきなり首なし女性を連れていっても大丈夫なのだろうか。ベリアン達はあの事件以降、幽霊や怪異といった物達と縁を結んでしまった為、これからも被害が増えるだろう。それに対抗するかのように、皆にも大なり小なり霊に対する何かしらの能力が身につき始めた。……いやそれ以前に朝から首なし女性は見たくないか。グロい。そんな事を頭の隅で考えながら1階組の部屋へ向かう。時間早いし、寝起きの悪いベリアンは多分寝ているであろう


「おーい、3人共起きてる〜?」

「あ、主様!おはようござ…ってうわぁぁぁぁぁ!!!!な、なんですかそいつ!!」

「なんだ、敵襲か?」

「違う違う、武器降ろして。……んっと、この人はミキさんって言うの。ちょっと困り事があって、それを解決しに行ってくるって事を伝えに来た」

「そうか。…行先は?」

《この森の奥よ》

「ここ、結構動物がいるんで危ないですよ?俺、付き添いましょうか?」

「いや、ロノは朝ご飯の準備あるでしょ。それなら朝暇そうな…ラムリかラト、ボスキ辺りについてきてもらうから大丈夫だよ。ありがとね」

「そうか…同行できねぇのは残念だけど、その代わりに美味い弁当作りますね!」

「主様、俺はついて行くぞ」

「はぁ!?バスティンてめぇ、ずりぃぞ!」

「ずるくない。丁度動物を狩りに行くところだ。主様の用事の帰りにでも狩りは出来るだろう」

「あ、それならバスティンについて来てもらおうかな」


私達が話していると、声が大きかったのか、枕に顔を押し当てたベリアンのくぐもった声が会話を遮るように聞こえた。枕から顔を逸らして見えた整った顔立ち。それを少し歪ませて、「ん〜…」と低い声を出す。しばらく動かずにいたが、次第に目を擦りながら起き上がった。


「んぅ……もう朝ですか………」

「おはようベリアン。いい朝だねぇ」

「はい、おはようございま………っありゅじさま!?お、お見苦しい所を…!!すぐ着替えて参ります!!」

「ちょ、ベリアンさんここ俺らの部屋!!出ていっても着替えられないですよ!!落ち着いて下さい!!!」

「主様、ベリアンさんが着替えられないから取り敢えず外に出てくれないだろうか」

「あぁ、うん。ごめんね」


数分外で待っていると、少し頬を赤くさせたベリアンが「お待たせしてしまい申し訳ございません。私になにか御用でしょうか?」と聞いてきた。恐らく青が少し赤いのは爆速で身支度を整えたのと、寝起きの自分を見られてしまった事による羞恥心から来るものだろう。可愛いやつめ。


「ああ、この幽霊に頼まれちゃってね。それで今から森へ行くんだけど…」

「幽霊さん?どちらに………っきゃあ!」

「女子か!!!!」

「まぁ、そりゃビビるよな」

「ベリアンさん、大丈夫か?」

「あ…コホン、失礼しました。それで、森へ行くんですよね?でしたら、執事を何人か付けた方が宜しいかと」

「それ、さっき話し合って、バスティンについてきてもらうことになった。大体数時間で帰ってくるから、そのつもりでいてね」

「かしこまりました。では___」


二言三言会話を交わし、その話題を終了した。数十分程で支度を終わらし、お昼に食べるようにとロノ特性のお弁当を手渡された。先程ご飯を5杯程おかわりしたバスティンは手渡されたお弁当を凝視している。まだ食うつもりか。

それから2時間くらい森の中を歩き続け、目的の場所に到着した。私は普通の状態でも体力あるし、動ける。バスティンは言わずもがな。疲れないはずのミキの方がわたわたと後ろをついてきた。森の中というのにヒールなんて履いているから、と思ったけど屋敷の中で浮遊して移動していたのを思い出す。「浮遊できるんじゃないの?」と問うと、『そうだったわ忘れてた』と聞いたことのある返答が返ってきた。浮遊したミキが先導してくれたおかげで思ったより早く到着できたのだ。


《これがそうよ。何かわかるかしら?》

「__やっぱり、間違いない。となると、箱の中にあるはずだけど………その箱がない。森の動物が興味を示したかで持ち去ったのかな」

「なにかまずいのか?」

「まずいねぇ。あれを付けちゃったらその動物確実に死んじゃうし…というか、場所がわかんない。箱自体にも封印が施されてるから気配も薄いだろうし………」

「屋敷には式神がいるから大丈夫だとして、まずは捜索からか」

「よく分からないが、箱を探せばいいんだな?」

「そ。手分け……は万が一があるから、一緒になって行動するか。これくらいの箱を探して欲しいの」

「わかった」

《ねぇ、結局あの石の下にあるのは何?さっきからあれとか言っているけれど…》

「あぁ、あれはね___」











「髪被喪、だよ」







【読まなくていい設定】

主人公:七鬼 聖香(ななき せいか)

目覚めのいい朝を邪魔されたのでやや不機嫌になったが、引きずってても仕方ないのですぐ切り替えた。

ロノの作る料理は美味しくて好きなので屋敷を出ていく時はルンルン気分だった。



ミキ・フュールウ

目覚めのいい朝を邪魔したが本人は自覚なし。指摘されて気付いたが、まぁいっかとすぐ本題に切り替えた。

首なし幽霊。数百年前に男性に殺されて森に埋められ、その恨みから浮遊霊になった。だが数十年もの年月が経つにつれ、恨みも薄れて自分を殺した顔すら忘れた人。元の性格から結構忘れるの早かった。

死んでからご飯なんて食べてなかったけど、主人公とバスティンからお供えという形で久しぶりに食べた。めっちゃ美味しくて感動してちょっぴり泣いた。涙でないけど。

この作品はいかがでしたか?

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コメント

9

ユーザー

白虎と白狐の絡みが好きすぎる… そして今回も神ってますね続き楽しみにしてます!体調には気をつけて下さい!

ユーザー

どぉも!髪被喪が読めなかった漢字弱者のハムさんです! ミキさんのキャラが好きすぎるw恨み持ってたのに忘れるって...お茶目かよ!可愛いかよ!

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