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#イラスト
しおもも
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ガランとした会議室に、冷徹な声が響き渡った。
「説明を求めます、イギリス。この流出した経済データと、あなたの署名が入った計画書……これでもまだ、白を切るつもりですか?」
糾問の口火を切った国を筆頭に、円卓を囲む各国の視線が一斉にイギリスへと突き刺さる。そこにはかつてのような親愛の情は一切なく、ただ不信感と敵意だけが渦巻いていた。
「ですから……っ、私は何度も申し上げている通り、そのようなデータには一切見覚えがありません! 完全に捏造されたものです!」
イギリスは立ち上がり、必死に声を張り上げた。手元のアジェンダを握りしめる指先が、微かに震えている。
「見覚えがない、で済まされる段階はもう過ぎているんだよ」
いつもなら冗談を言って笑わせにくるアメリカすら、今はひどく冷めた目で彼を見つめている。
「声も筆跡も、親父のものと完全に一致しているんだ。このまま君が関税交渉の裏でオレたちをハメようとしていたなら、オレだって黙ってはいられないな」
「アメリカ……あなたまで、私を疑うのですか……? 私たちが築いてきた信頼は、そんな不確かなデータ一つで壊れるものだったのですか!?」
「データが不確かじゃないから、みんな怒ってるんだろ!」
激しい怒号が飛び交い、イギリスの言葉は容易にかき消されていく。
他国からの容赦ない糾弾の嵐に、次第に言葉を詰まらせていった。反論しようと開いた唇が、情けなく震える。
「……みなさん、少し冷静になりましょう」
その時、僕がわざとらしく、けれど毅然とした態度で席を立ち、イギリスの前に進み出た。
「フランス……っ」
すがるように僕の服の袖を掴むイギリス。その怯えた小動物のような手つきが、たまらなく愛おしい。
「まだ彼が犯人だと決まったわけじゃない。こんな出所不明のデータに踊らされて、一国を吊るし上げるなんて、国際社会の品格を疑うよ。今日のところは、一度頭を冷やすべきだ」
僕が周囲をたしなめると、各国は不満そうに舌打ちをしながらも、渋々資料を片付け始めた。
「……チッ、今日のところは引き上げるが、納得したわけじゃないからな」
「イギリス、次までに明確な証拠を出せなければ、相応の制裁を覚悟してもらう」
一人、また一人と国々が部屋を去っていく。誰もがイギリスを避けるように、冷たい背中を向けて。
やがて、広い会議室には、僕とイギリスの二人だけが取り残された。
「……っ、う、うう…………」
張り詰めていた糸が切れたように、イギリスはその場に崩れ落ちた。仕立ての良いスーツの膝が床につき、抱えていた資料がバラバラと散らばる。
「イギリス……」
「どうして……どうして、誰も私の言葉を信じてくれないのですか……。私は、本当に、何も、していないのに……っ」
大粒の涙が、彼の白い頬を伝って床に落ちた。いつもはプライドが高く、毅然とした紳士である彼が、子供のように肩を震わせて泣いている。その涙を見るだけで、僕の胸は歪んだ加虐心と、独占欲で満たされていく。
僕は床に膝をつき、泣きじゃくるイギリスをそっと後ろから抱きしめた。
「可哀想に、イギリス。みんな酷いよね。君がどれだけ否定しても、最初から聞く耳を持たないんだ」
「フランス……、私、私はどうすれば……。皆に嫌われて……、もう、どこにも、私の居場所なんて……っ」
「居場所なら、ここにあるよ」
僕は彼の耳元に唇を寄せ、とびきり甘い声で囁いた。
「みんなが君を嫌っても、僕だけは君を愛している。君の味方は、世界で僕一人だけだ。ねえ、だからもう、あんな奴らのところへ行かなくていいじゃない」
「……あ、なただけ、が……」
イギリスの涙に濡れた琥珀色の瞳が、ぼやけた視界で僕を捉える。
「そうだよ。僕だけが、君の真実を知っている。僕の腕の中にいれば、誰も君を傷つけられない。ねえ、イギリス……僕に全部、委ねて?」
「ひ、ぐっ……、フランス……、お、願い、します……。私を、助けて……っ」
限界まで追い詰められたイギリスは、僕の胸に顔を埋めて激しく泣き崩れた。
その身体を強く抱きしめながら、僕は彼の見えないところで、勝利の笑みを深く深く浮かべていた。
コメント
1件
うわ、これ……めっちゃ胸糞悪い展開だけど、めちゃくちゃ好きだわ。フランスの「僕だけが君の味方」って囁き、完全に計算尽くでイギリスを依存させてる感じがゾッとする。追い詰められたイギリスの涙と震えがリアルで、読んでてこっちまで苦しくなった。ずもん、心理描写の解像度エグいな。続きが気になりすぎる🔥