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眠狂四郎
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『無詠唱の氷姫』
第一巻 無詠唱の少女
プロローグ
――雪は、すべてを包み隠す。
真っ白な雪が静かに降り積もる冬の日。
アシュリカ王国でも有数の名門貴族、ルミアーナ公爵家の屋敷は深い悲しみに包まれていた。
屋敷中に響くのは、使用人たちのすすり泣く声だけ。
「旦那様……奥様……」
幼い少女は何も分からないまま、棺の前に立っていた。
銀色の髪。
宝石のような蒼い瞳。
雪よりも白い肌。
まだ五歳になったばかりの少女――
ツララ・ルミアーナ。
「……お父様?」
返事はない。
「……お母様?」
静かな部屋に、その小さな声だけが響いた。
隣では、一人の少女がツララの手をぎゅっと握っていた。
黒く艶やかな長い髪。
少し年上の少女。
専属メイドのねねだった。
「お嬢様……」
ねねの瞳にも涙が浮かんでいた。
「お嬢様は、私がお守りします。」
幼い約束だった。
けれど、その言葉は生涯変わることはなかった。
その夜。
屋敷の庭で、一人泣いていたツララ。
「どうして……」
「どうして、お父様とお母様は……」
涙が雪に落ちた、その瞬間。
空気が凍りつく。
ピシッ……
庭の池が一瞬で氷に変わる。
木々には白い霜が広がり、花は透き通る氷の結晶へと姿を変えた。
そして。
「……え?」
ツララの手から、青白い光が溢れる。
本来、魔法には詠唱が必要。
誰もが知る世界の絶対のルール。
しかし。
ツララは一言も詠唱していなかった。
誰にも教わっていない。
それでも魔法は発動した。
――無詠唱。
世界の常識ではありえない奇跡。
遠く離れた場所で、その異変を感じ取った者がいた。
漆黒の玉座に座る、一人の影。
「……始まったか。」
その低い声に、闇が揺らめく。
「伝説の力が、再び目覚めた。」
その瞳は、雪降る王国の方角を静かに見つめていた。
まだ幼いツララは知らない。
自分の力が、世界の運命を大きく変えることを。
そして数年後。
アシュリカ王国王立魔法学院への入学をきっかけに、第一王子ルーク・アシュリカとの運命の出会いが訪れることを。
これは、一人の少女が「無詠唱の氷姫」と呼ばれ、やがて王国十二星第一星となり、世界を救うまでの物語。
コメント
1件
え〜〜!!もう冒頭から涙腺やばかった😭💦 幼いツララが棺の前で「お父様?」「お母様?」って呼びかけるシーン、想像しただけで胸がぎゅーってなる…。ねねちゃんの「お嬢様は私がお守りします」って約束も尊すぎるでしょ!!そこからの無詠唱発動シーン、めっちゃかっこよかった!!まだ5歳なのに運命が動き始めてる感じがエモすぎる✨ 王子様との出会いが待ち遠しすぎるんだけど!?次話も絶対読むね🔥