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私と華ちゃんは猛ダッシュのおかげで遅刻することなく学校に到着できた。そしてガラガラと無機質な音を立てて引き戸を開けて教室の中へ。
すると、入るや否や、一人の女子のクラスメイトがやたらと興奮気味に私に話しかけてきた。確か、彼女の名前は水野さんだったったかな? まだ入学したてということもあって、私はまだクラス全員の名前を覚えてないのだ。
それにしても水野さん、一体どうしたんだろう?
「本当にありがとう、曽我部さん!」
水野さんは私の手を力強く握りながら感謝の言葉を贈ってきた。
「え? 私、お礼を言ってもらえるようなことなんかしたっけ?」
「したよ! したした! 曽我部さん、この前私の相談に乗ってくれたじゃない!」
「相談? あ! 思い出した! あれだよね、居残りで補習をさせられた時に好きな男子がいるって話してくれたやつ」
「そうなの、それそれ! あれから私ね、勇気を出して告白したんだ。そしたら彼とお付き合いできることになったの!」
……え?
「あんなにカッコいい人、私となんかじゃ釣り合わないと思って諦めてたんだけど、曽我部さんが相談に乗ってくれたおかげで勇気をもらえて! 全部、ぜーんぶ曽我部さんのおかげだよ!」
「そ、そうなんだ」
まただ。また不思議なことが。華ちゃんの時もそうだった。私に恋愛相談をしてきた人達は、何故か皆んなその恋が成就するんだ。確か中学三年生になったくらいの頃から。
なんなんだろう、これは。偶然にしてはあまりにも出来すぎている。
「よ、良かったね水野さん」
「うん! ありがとう!」
不思議なのはそれだけじゃない。そもそも、どうして皆んな、私なんかに恋愛相談を持ちかけてくるんだろうか。だって私は恋愛経験ゼロだから。普通、そんな人に恋愛相談なんてするだろうか? 不思議だ。本当に不思議だ。
でも、まあいいか。悪いことが起きてるわけじゃないし。
「あ!」
「どうしたの曽我部さん?」
そうだ! きっと今ならオーケーしてくれるはず!
「改めておめでとう、水野さん。それでね、私もちょっとお願いがあって。ぜひ、ぜひ! 今日提出予定の宿題を写させて――」
「優ぅちゃーん」
華ちゃんに襟元をグイッと掴まれて、水野さんからどんどん離されていく私。なんでそんなことするの! アイドルの握手会だってこんな乱暴に剥がしたりしないでしょ! せっかく恥を忍んでお願いしたっていうのに!
「水野さんが断りづらい状況になった途端、宿題写させてとかサイテーなことしないの! あ、水野さん。気にしないでいいからね」
「そ、そんなあ。じゃあ私は一体誰に宿題を写させてもらえば……って、引きずらないで! お願いだから! 見られてる! 男子に見られてるから! 男子の中に白馬に乗った王子様がいたらどうするのよ!」
「幼馴染の優しさだと思いなさい。あと、今の優ちゃんなんかに好意を抱くような男子がいるわけないじゃない。今朝も言った通り、もう手遅れだから。とりあえず、まずはその性格を直しなさい」
「酷いよぉーー!!」
『第2話 私の不思議』
終わり