コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ピピピとうるさく何かが鳴った。
すぐにそれがスマホの目覚ましの音だと気づいた俺は、タイマーを止めベットからのっそりと起き出す。 スマホのホーム画面を見ると、6時15分と表示されていて、朝練があと45分で始まることを悟る。
俺は昨日のことを思い出して、隣の部屋の扉を叩こうか迷った。
お母さんの怒鳴り声と花音の消えそうなか弱い声。思い出すだけで頭がジンジンと痛む。
扉の前で耳をすませてみると、花音の気持ち良さそうな寝息が聞こえた。
俺は黙って先に学校に向かうことを決めた。
「お〜い、奏!もう起きてるんだろ?早く降りてこいよ!」
窓を見ると、部活の知り合いが何人かで俺の家の前で待っていた。
「もうちょっとで準備できるから!待ってて!」
自分の声で花音が起きてしまうことを配慮し、少々小声で返した。
彼らは呆れたようにやれやれといったポーズを取り、「下で待ってるからな」と言ってくれた。
俺は「ありがとう」と爽やかに返すと、朝練に行く準備をした。俺にはもったいないくらいのいい仲間たちだ。少し待たせても嫌な顔一つせず快く受け入れてくれる。
寝巻きから制服に着替え、お弁当を作り、髪をセットするという一連の流れを効率的に素早くする。
最後に花音の顔を一目見ようと思い、彼女の部屋のドアを開けた。