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3 - 第1話:ドローンの夜

2025年11月18日

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第1話:ドローンの夜
倉庫の屋根の上、冷えた風がコードを鳴らしていた。

サンタ技術部の青年・大河(たいが)は、ドローンの制御端末を覗き込みながらモニターを調整している。

短く刈り上げた髪に風が当たり、薄いパーカーの上から赤いベストを羽織っていた。瞳は焦げ茶で、少し眠そうな目つき。だが指先は正確に動き、空のイルミネーション配置を整えていく。


背後から、ママさんバイヤーの岸本が顔をのぞかせた。

ふわっとした茶色の髪をニット帽に押し込み、手にはトイザらスの紙袋。頬が寒さでほんのり赤い。


「相変わらず、寒いところでやってるのねえ」

「温かい部屋でプレゼント包む方が羨ましいですよ」

大河は笑いながらも、モニターから目を離さなかった。


「今年はドローン、何台飛ばすの?」

「二十機。新しい型も混ざってる。……ほら、サンタの影、動くでしょ」


岸本は画面をのぞき込み、空を流れる光の群れを見上げた。

トナカイの輪郭がゆっくり描かれ、サンタのソリが滑る。


「ほんとに、夢みたいね。うちの子、あれ見るのがいちばん楽しみなんだから」

その言葉に、大河は小さくうなずく。


「俺も、子どものころ、これを見て信じてたんですよ。サンタって、本当にいるんだって」


夜空の風が止み、

二人は同時に空を見上げた。

赤く瞬く光が一つ、ほかのドローンよりも高く、静かに浮かんでいた。

まるで、本物のソリのように。

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