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周りの景色も地形も変わっている。
カーキ色をした土や光る石もなく、ここは盆地でもない。
でも目の前にある鍾乳洞への入り口の形に変わりはない。
なんだろうか……前に見たセーフゾーンの柱を思い出すな。
「ここが……目的地なのですね」
「ああ。どうしても確認しなくちゃいけないんだよ」
そう、素直に上に行けばもっと早かった。さっさと皆に会いたかった。再会の喜びを分かち合いたかった。
ここに来たのも、無駄骨になる可能性が高い。
それでも、俺はここで確認しなくちゃいけないんだ。
入口に入るため、一歩踏みだす。
だが――、
「ちょっと待ってください」
ひたちさんが制服の裾を掴んで制止する。
なんで……なんて無粋な事は言わない。迷宮で警戒を促された時、それは必ず意味がある時だからだ。
耳を澄ますと、カチカチと音がする。迷宮の怪物か?
確かに出会ったっておかしくはない。そもそも目覚めた時から会っているじゃないか。
狭い虫の巣の様に曲がりくねった空洞。苔の様な緑色でとにかく滑る。
戦う場所としては最悪だが、音からするとそれ程大型じゃない。
まあここはジャンプすれば頭をぶつけそうな程に狭い。あまり大型のモンスターには出会わないだろう。
逆に通路全体を占めるような蛇やワームのようなのに出会ったら最悪だけどな。
「お気を付けください。来ます!」
ひたちさんが茨の様な棘だらけの鞭を垂らす。
いや待て。ここでそんなものを振り回されても困る。
だが抗議よりも先に、それは現れた。
多分だが、真上から見たら六角形だろう。
放射状に広がった6本の脚。まるでロボットのようなフォルムの多脚生物。いや、生物? これは違う。明らかに機械だ。
上に付いているのは半透明で、青く輝く電球のようなもの。見た所武器のようなものは付いてはいないが……。
「セポナ様は下がってください!」
「え、下がるってどっち!?」
まあ確かにそうだ。音は洞窟全体に反響し。目の前から来るのが全てとは限らない。
「取り敢えずそこだ!」
俺はセポナの襟首を掴むと、鍾乳洞への入り口に放り込んだ。
同時にひたちさんの鞭が風を切って唸る。
いやだからこんな狭い所で――と思ったのも一瞬の事。鞭は壁をすり抜け、俺をすり抜け、迫り来る多脚の2体を纏めて絡めとると、そのまま天井へ叩きつけた。
正しくは叩きつけられたのは多脚の機械だけ。鞭の先端は、とっくに壁の中へと消えていた。
同時に巻き起こる爆音と衝撃波。言うまでもない、あれが爆発したのだ。
狭い空間を、痛い位の衝撃と熱さが吹き抜けていく。
「うわ!」
咄嗟に爆風の一部をスキルで外すが、それでも熱い。
あまり使いたくは無いが、多分使わなければそれどころじゃないだろう。
と言うか、エロボンテージのひたちさんは!? ……平気ですね、ハイ。
ひたちさんの青い瞳の奥に、淡く紋章のようなものが光っている。
そして体の方は無傷だ。鞭と防御、どちらが彼女のスキルなのだろう。
だがそんな事を考える間もなく、左右からカチカチと新たな多脚が迫ってくる。
地上だけじゃなく、横や天井もお構いなし。あの足で突き刺しながら進んでいるのだろうが、それにしたって不気味だ。
「あれは何なんだ! モンスターなのか?」
「スキルです。誰かは分かりませんが、地上にいる10人の誰かです!」
「そいつはまいったな。わざわざこんな所まで来たって事か。なら、俺の予想は当たっているのかもしれないな」
「成瀬様もあの入口へ!」
「いや、俺は大丈夫だ。ここでひたちさんに万が一の事があったらどうにもならない。今はどちらが欠けてもダメだ」
「仕方がありませんね」
剣を抜き、ひたちさんの反対側を警戒する。
こういう時、飛び道具や盾があれば良かったんだがな。
「集まってきます! ご注意を!」