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「展示だけで充分じゃないか」
僕は極力手間をかけたくないので、そう提案する。
「それだと、インパクトが足りないのですよ」
「なら、料理研究会と同じで、試食だけでもいいんじゃ無いのか?」
亜里砂さんも、僕と同じで手抜きしたい模様だ。
でも。
「両方あってこそ、野外活動の説得力が出るんじゃ無いですか」
美洋さんに、そう返されてしまった。
1年生5人は、2対3で積極派が多い。
あ、そうだ。
その前に、一応、聞いておこう。
「先生、料理を作って食べて貰うような活動は、有りですか」
「ええ。ただし、模擬店みたいな感じでお金を取るのは禁止ですけれどね。これは高等部も一緒。だから無料で試食させる程度になります」
飲食物は禁止されていなかったか。
残念。
「もし試食用を出すなら、今まで以上に採取する必要があるぞ。出すメニューもわかりやすく簡単な物でないと捌ききれない」
先輩は若干、手抜き派に近そうな感じだ。
「ならスダジイのドングリがいいですね。学校の近くの山で取れますし、銀杏と違って食べられると言う事に意外性がありますから」
彩香さん。真面目に厳しい計画を考えないでくれ。
「ある程度セルフサービスにすれば、少しは手数が減るんじゃ無いか。煎って中身を取り出して味付けするのを、それぞれセルフでやれば。ポーダブルガスは5台くらいは用意できるし、小さいフライパンもそれ位は集まるだろう」
先輩がそう省力化の意見を出すと。
「それもいいですね。でもこんなに美味しものも作れるという見本も、やっぱり欲しいなと思います。パタピーみたいな簡単なのだけで無く、あのドングリ風味のクッキーなんかがいいですね。あとドングリ餅も」
美洋さん、何故そういう面倒なものを!
結局話し合いをした結果。
強硬派に、無難派が負け。やることが盛り沢山になってしまった。
「取り敢えず平日はパネルを作って、休みの日は採取だね」
元気よく彩香さんに言われて、ため息をつきそうになるのを堪えて。
「じゃあまず写真選ぼうか。植物なら生えているところ、魚なら釣った後の捌く前。あとは料理にした後の。それで整理して、配置を決めて、分担作って。拡大印刷かければ、A3かB4で何枚も貼ってつないで、大きい表示ができるから」
「あと、ドングリの皮むきとかも平行してやっておいた方がいいぞ。ドングリ粉とかが作れる分量を剥くのはかなり時間がかかる。専門の担当を決めるのは可哀想だから、皆でノルマ作って、文章作業の傍らちまちま剥いていく感じにした方がいいな」
そんな訳で1ヶ月後の文化祭に向けて、面倒な作業が始まってしまった。