先程の金髪の男に渡された紙に書かれた通りの場所へつくと、大きな門と重たい木の扉が私を出迎えた。
見上げると、
「飛鳥馬流道場」
と書かれている。
私は勇気を出して分厚い木の扉を叩いた。
返事はない。
「すみませーん」
扉の隙間にピッタリと顔をくっつけ、私は中に向かって叫んだ。
やはり返事はない。
私はどうしていいかわからないまま、門の前に座り込んで、しばらくうずくまっていた。
西日も傾きはじめ、遠くから烏の鳴き声が聞こえてくる頃、私の視界に、一人の大人の影が伸びてきた。
見ると、そこには和服姿の、髪の長い男性がいる。
その人こそ、ここの道場の師範だった。
私はおそるおそる、身寄りがないことと、見知らぬ男にここに来るように言われたことだけを伝えた。
名前を聞かれたので、一瞬迷ったものの、私は母親の苗字を名乗ると、
師範はそれを聞いてほんの僅かに、片方の眉毛をぴくりとさせた。しかしそれ以上何も言わず、黙って重い木の扉を開けた。
こうして、私の第三の家での生活が始まった。
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つ、ついに再会…?(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`) 今既に感動の涙が…(泣)