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#めめこじ
雫
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絶対辰哉
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プレゼン当日まで、あと二日。
オフィスには朝から張り詰めた空気が流れていた。
照と辰哉も、それぞれ資料の最終確認を進めている。
仕事は順調だった。
順調だからこそ。
二人とも、それ以外のことを考えてしまう。
────────
昼休み。
辰哉は一人で屋上へ出た。
少し風に当たりたかった。
フェンスにもたれ、街を眺める。
「ここにいたんだ」
振り返ると照がいた。
手には缶コーヒーが二本。
💛「飲む?」
💜「ありがと」
缶を受け取る。
開けようとしてラベルを見る。
ブラック。
💜「……また?」
照は思わず笑う。
💛「間違えた」
💜「絶対わざと」
💛「本当に間違えた」
そう言いながら、自分のカフェオレと交換した。
💛「はい」
💜「ありがと」
二人でベンチに座る。
風が静かに吹き抜けた。
────────
しばらく無言だった。
不思議と居心地は悪くない。
照が空を見上げながら口を開く。
💛「五年間」
💛「何してた?」
辰哉は少し考える。
💜「普通だよ」
💜「就職して」
💜「毎日仕事して」
💜「休日は寝て」
💜「気付いたら五年経ってた」
照は静かに聞いている。
💜「照は?」
💛「俺も似たようなもん」
💛「仕事ばっかり」
💜「彼女とか」
言った瞬間。
辰哉は少し後悔した。
聞かなきゃよかった。
照は少しだけ笑う。
💛「いない」
💜「……一回も?」
💛「一回も」
辰哉は思わず照を見る。
💛「付き合おうって言われたことはあった」
💛「でも」
照は缶コーヒーを見つめる。
💛「誰かといる未来が想像できなかった」
辰哉の胸が熱くなる。
💜「……そっか」
それ以上は聞けなかった。
もし理由を聞いたら。
期待してしまうから。
────────
午後。
資料室。
辰哉は棚から昔の企画資料を探していた。
その中で、一冊のファイルが落ちる。
パサッ。
中から一枚の写真が滑り出た。
「あ……」
高校時代の文化祭。
制服姿の学生たち。
その端で笑っている二人。
照と辰哉だった。
「懐かしいな」
照も写真を拾い上げる。
💛「こんなの残ってたんだ」
辰哉は写真を見つめた。
あの日。
文化祭が終わった帰り道。
初めて手を繋いだ。
誰もいない校舎裏で。
照が照れながら手を差し出してきた。
その時のことを、今でも鮮明に覚えている。
💜「……若いね」
💛「今もそんな変わってない」
💜「いや変わってるよ」
💜「俺なんてシワ増えたし」
💛「増えてない」
即答だった。
💛「笑った顔も」
💛「何か考える時に眉寄せる癖も」
💛「何も変わってない」
辰哉は目を逸らした。
そんなところまで覚えているなんて。
💜「見すぎ」
💛「見てたから」
照も照れくさそうに笑う。
────────
夕方。
オフィスへ戻る途中。
辰哉はポケットの中の写真をそっと見つめた。
「持ってていいよ」
照がそう言ってくれたから。
五年間。
止まったままだった時間。
でも。
写真の中の二人は笑っている。
今の二人も。
あの頃みたいに笑える日は、きっともう遠くなかった。
コメント
1件
第8話、読み終えたよ! 屋上での缶コーヒーのやりとり、絶対わざとだよね(笑) でもそこから照が「見てたから」って言うのがもう…ズルいわ。 過去の写真が出てきて、二人の間にある五年分の静かな距離がじわじわ縮まってく感じがすごく良かった。 次、どうなるんだろう。続きが待ち遠しい🔥